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【半歩プロの西洋料理】オーベルニュ地方、自然との共同生活
2012年09月19日

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<【半歩プロの西洋料理】ってどんなコラム?>

 

 

2011年の9月から11月末までの約2ヶ月間、私はオーベルニュ地方にあるレストランで研修をしていました。研修前の私のオーベルニュ地方に関するイメージは、自然がいっぱい、特に有名な観光地はない…といった感じで、これといった印象はありませんでした。

 

しかし、2ヶ月という短い期間ではありましたが、生活をしてみると前言撤回、すばらしい魅力にあふれていることに気付きました。

そんな魅力を今回は少しだけ、私の視点からではありますが紹介させていただきたいと思います。

 

オーベルニュ地方はフランスのちょうど中央に位置し、中央山塊とも言われています。フランス校シャトー・ド・レクレールのあるリエルグ村からこの地方へ向けて南西方面へ車を走らせると、オーベルニュ地方の中心地、クレルモン・フェランを過ぎたあたりからこの地域ならではの風景が広がっていきます。

 

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オーベルニュ地方の山々

 

ここはフランスでも唯一火山地帯であったため、その名残をとどめる荒々しい岩肌や険しい山々の景観はもちろん、緑あふれる森、そして美しい川、渓谷…とにかく大自然が広がります。 

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美しい川も流れます。夏は川下りやロック・クライミングなど、アウトドアスポーツが盛んに行われています。

 

 こんな大自然に囲まれているので、分かりやすい観光スポットを求めてやって来る観光客などはほとんどいません。フランス人でも自然と触れ合いたい、自然大好き!ないわば一部のファン達に支持されている地方でもあると思います。

私が研修していたレストランがある町、ショード・ゼッグはヨーロッパ一の熱い源泉がでることから温泉を求めて老若男女、湯治客が絶えませんでした。

私は研修に行くことになってから初めてこの温泉のことを知りました。

 

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湧き出る源泉

 

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山間の小さな町、ショード・ゼッグ

 

山に囲まれているので冬の寒さはとても厳しいものになります。私が研修していた10月にも、気温はマイナスを表示することも…そんな寒さや日ごろの疲れを癒すためにも、私もたびたび温泉に入りに行きました。

 

研修先のレストランで使う食材には、この土地の食材へのこだわりが多く感じられました。

例えばレストランで欠かせない香草類。常時20~30種類ほど置いてあるのですが、足りなくなることもしばしば…。そんな時はお昼の休憩に入る前にシェフからタッパーを渡されます。そして笑顔で「よろしく」の一言。つまり、休憩中に町や裏山に生えている香草を取って来いということです。

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山や町によく取りに行った香草類。  左の香草は「シストゥー」と言って、標高の高さや気候が関係していてこの地方でしか取ることのできないものです。爽やかな草の香りがする香草です

 

そして、こんな頼みごとも。「来週の特別メニューに使うセップ(きのこの一種)を帰り道で探してきて」なんてことも。いやいや、セップなんて生えてないよと言うと、「去年はあったから」と。実際に帰り道に山を歩いていると本当にありました。私は実際に生えているのも取れたてのものを見るのも初めてでしたが、その香りのすばらしさと実際に食べた時の美味しさは今でも忘れません。

 

この地方は牧畜でも有名です。牛、羊、豚などをはじめ、チーズも有名。

 

 

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この地方のチーズ。この写真のものは「カンタル」「ライオール」など硬質タイプのチーズです。

 

そして私が一番とりこになった食材がオーブラック牛。日本でいうブランド牛のようなものでしょうか…。車で走っているとそこかしこにオーブラック牛がいることいること。ゆっくり寝そべっていたり、険しい山肌を簡単に歩いていたり、美味しそうに草を食べていたり…。

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オーブラック牛                         2ヶ月間隔で牧草のあるところを移動させているそうです

 

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山だろうと何だろうと牛達は突き進みます。力強い!

 

とにかくその優雅な振る舞いと、力強い足腰を見るたびにとりこになっていきました。この牛の肉の特徴はなんと言っても赤身の美味しさ。噛めば噛むほどにうまみが広がって、あごが痛くなるくらい噛んでもとりこになってしまう、そんな美味しさでした。

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よく食事をしたビストロのオーブラック牛のステーキ。2人前で1kg!

 

そしてこのステーキに合わせる付け合せの定番といったらただ一つ、「アリゴ」です。

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(左)アリゴ。フレッシュタイプのチーズを使うことによってこの伸びが生まれます (右)原料となるトム・フレッシュ(写真中央)。このチーズなくして、アリゴは作れない!

 

アリゴはジャガイモのピューレとこの地方のチーズ、トム・フレッシュを使って作る有名な地方料理です。レストランのみんなと食事をしに行っても食べる前はみんな「食べ飽きた」と言っているのに注文するとみんななぜか「アリゴ」。なんで?と聞くと「アリゴ以外にないだろ」と言われる始末です。なんだかんだ言ってもみんな大好きなんですね。

 

その土地で生活をしてみて初めてわかること。自然に囲まれて、言ってしまえば“何もない”場所ですが、だからこそ感じることのできる人と人との触れ合いや、優しさをとても感じました。この土地の人々は、みんなが生まれたこの場所がすごく好きで誇りを持っているんだと思います。

今回ご紹介する料理は、研修先のシェフに教わったこの地方の料理です。フランス校でも同じような料理を作ったことがあったので最初は私が一人で作ったのですが、シェフが一喝。「これはオーベルニュのものではない!」そして次の週、シェフ直々に教わりながら一緒に作った思い出の料理です。

これのどこがオーベルニュ風なの?と聞いても「この作り方がトラディショネル(伝統的)なんだ」と言われてしまい、はっきりとした理由は分かりませんでしたが、シェフの力説から察するにかなりのこだわりがあるようでした。

この地方でなじみ深い素材ばかりを使った、体温まる料理。この素朴な味を味わうと、今でもあの山と牛と川と…大自然の景色が頭に広がります。

このコラムの担当者

金子 歩

このコラムのレシピ

シュー・ファルシィ

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