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食のコラム&レシピ

【半歩プロの西洋料理】夏はカレー!?

01<西洋>半歩プロの西洋料理

2017.07.19

【半歩プロの西洋料理】ってどんなコラム?



「夏はカレー」なのだそうである。

そういえば、よく手にする男性向けの料理雑誌は毎年6~8月号でカレーの特集をするし、カレーを題材にした新刊が出るのはこの時期が多いように感じる。

ちょっと本棚をのぞくとこの始末、「カレー」という文字のある本だけで20冊以上出てくる・・・。

雑誌で紹介されるカレーは「何日もかけて煮込んだ」とか、「何十種類ものスパイスを組み合わせたオリジナルブレンドのカレー粉を使用した」的な手間暇をかけて、数多くのスパイスを使って作られたものや、複数のだし汁を合わせた濃厚な味わいのものが多い。また、新刊のカレーの本を見ると独特のテクニックや素材に対するスパイスの組み合わせなどを解説してくれているのだが、レシピとにらめっこしながら作る羽目に陥り、再現するのが難しいようである。

わが家のカレーではあるが・・・。この濃度が夏場はいやである。

私自身、決してカレーは嫌いではないが、この暑い季節に、濃厚でご飯の上にかけると上にのるような、しっかりとしたとろみのあるカレーを食べたいとは思わないし、食べる端から汗をかくようなたっぷりとしたソースのカレーも願い下げである。そうするとつい外食になり、外食するなら本格インドレストランで、更にはせっかくだからもう一品・・・とエスカレートしがちである。

夏場、個人的には、ソースにあまり濃度がないものや、ソース自体の少ないこういったものがいい。

なじみの無い方は、本格的なインドレストランでの食事には気後れするかもしれないが、近ごろは冷房が効いて明るい内装の「カフェ」でも十分に本格的なインド風のカレーにお目にかかることも多い。そんな「本格的」に見える「インド風カレー」を手軽に作れるように、市販のカレー粉を使うのではなく、控えめに数種類のスパイスだけを合わせたシンプルなスパイスの使い方をご紹介してみたい。

それにはまず最低限必要なスパイスを知り、そこに何をプラスすればよいかを考えることが大切である。

インド料理を作る際にはこういった「スパイスボックス」を準備して、ここから必要に応じて使う。

先ずカレーの香りと味には、クミンとコリアンダーの粉末を使用する。この2つがそれぞれスパイス全量のうちの1/3強を占めるように配合すると味がまとまりやすい。カレーの辛味には基本的に粉末の赤とうがらしを使い、素材によっては黒こしょうなども使う。これらはあくまでも「辛さの好み」にあわせて加減したい。カレーの色はターメリックが中心で、高級感を出すためにサフランを使用することもあるが、ターメリックは他のスパイスのまとめ役にもなるので、トマトを使った赤いカレーにも必ず入れたい。分量はクミンやコリアンダーの1/3~1/2程度がよい。

ということで、私なりの基本のカレーミックスの配合は、クミンとコリアンダーは大さじ1ずつ、ターメリックは小さじ1~大さじ1/2、赤とうがらしが小さじ1/4~1/2となる。ターメリックはソースの量が多いときは控えめに、少ないときにはやや多めに配合し、赤とうがらしは出来上がりの辛さをイメージして加減する。辛さに関しては、あくまでも個人の好みによって調節したほうが美味しく食べられるので、インド風のカレーは辛いものだと思い込まず、自分の好みに合った「美味しいと感じる辛さ」でオリジナルなものを作ってもらいたい。

必要最低限のカレー用スパイス。ここに野菜ならクミンシード、肉なら月桂樹とシナモンスティックを加える。

そして本格的に見えるカレーを作る際には、粉に引いていない原形のままのスパイスを少量入れてみるとよい。その際には主材料にあわせて様々な効果が期待できるものを準備したい。

例えば野菜を多く使うときには消化を助けるクミン、肉を使うときには臭い消しの効果を持つ月桂樹の葉やシナモンスティックを使うといった具合である。カレーとともに食べるごはんには爽やかな香りを演出するグリーンカルダモン加えたり、シナモンスティックや月桂樹の葉でコメのぬか臭さを消したりといった工夫をすると、より本格的になってゆく。

最後に、食べる際にはフレッシュな香りや酸味、青臭さを補うハーブや香味野菜などを添えるとより本格的になる。たとえば身近にあるレモン汁や刻みねぎなどで試してみると、これまでとは一味違ったカレーが楽しめると思うので、ぜひチャレンジしてみてほしい。