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【独逸見聞録】 ハチミツの保管方法 ~ハチミツ(其の五)~
2018年03月16日

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<【独逸見聞録】ってどんなコラム?>

ハチミツは、保管状態が良ければ、数年間保存することも可能である。
「熱」や「光」、「湿気」などに敏感なので、一般的には「湿度の低い冷暗所」が保管に適している。
ハチミツの蜜源の種類や、その構成成分によっては、時間の経過と共に、部分的に結晶化が進んで固まることもある。それによって外観は変化するが、品質の低下や劣化ではない。
今回は、キッチンで馴染みのある香草の花蜜からなるハチミツの種類と、ハチミツの用途や保管方法について紹介する。


★香草のハチミツ(Kräuterhonig:クロイターホーニッヒ)
調理に用いられる香草類は、「キューヘンクロイター(Küchenkräuter)」と呼ばれ、乾燥品の他、小さな鉢植えなどでフレッシュなハーブも出回っている。
葉や茎、種子などと比べると、それらの花の印象は薄いが、実は、この香草類からなるハチミツの種類は少なくない。

キッチンで馴染みのある香草類の花蜜からなるハチミツ
キッチンで馴染みのある香草類の花蜜からなるハチミツ。



☆ラヴェンデルホーニッヒ(Lavendelhonig)
ラヴェンデルブリューテンホーニッヒ(Lavendelblütenhonig)、ラヴェンデルホーニッヒは、シソ科ラヴァンドラ属、半木本性植物の「ラヴェンダー」の花蜜からなるハチミツである。
主な産地は、フランスのプロヴァンスやスペインなど。

色:    濃黄色
香り:  優しいラヴェンダーの香り
風味:  軽い渋味と酸味、穏やかなシナモンの様な風味
用途:  パンに塗る他、ヨーグルトやデザートの甘み付けに

ラヴェンダーホーニッヒは結晶化し易いので、 攪拌してクリーム状に加工されることが多い。



☆ヴィルトラヴェンデルホーニッヒ(Wildlavendelhonig)
ヴィルトラヴェンデルブリューテンホーニッヒ(Wildlavendelblütenhonig)、ヴィルトラヴェンデルホーニッヒは、「野生ラヴェンダー」の花蜜からなるハチミツである。
主な産地は、ヨーロッパ南部、地中海沿岸地域。

色:   透明感のある淡褐色
香り:  明確なラヴェンダーの香り
風味:  スパイシーだが、穏やかで優しい渋味と酸味
用途:  パンに塗る他、焼成や調理、ドレッシングに

ヴィルトラヴェンデルホーニッヒ ヴィルトラヴェンデルホーニッヒ
ヴィルトラヴェンデルホーニッヒは流動的で、時間が経過しても結晶化し難い。



☆ロースマリンホーニッヒ(Rosmarinhonig)
ロースマリンブリューテンホーニッヒ(Rosmarinblütenhonig)、ロースマリンホーニッヒは、シソ科に属する常緑性低木の「ローズマリー」の花蜜からなるハチミツである。
主な産地は、フランスやスペインなどの地中海沿岸地域。

色:   オレンジ色
香り:  控えめな、甘い花の様な香り
風味:  心地良く穏やかなカラメル風味
用途:  パンに塗る他、焼成や調理、ドレッシングに、またはチーズに添えて

ロースマリンホーニッヒは流動的で、時間が経過しても結晶化し難い。



☆テュィーミァーンホーニッヒ(Thymianhonig)
テュィーミァーンブリューテンホーニッヒ(Thymianblütenhonig)、テュィーミァーンホーニッヒは、シソ科イブキジャコウソウ属の多年生植物の「タイム」の花蜜からなるハチミツである。
主な産地は、地中海沿岸地域やニュージーランドである。


色:   オレンジがかった褐色
香り:  スパイシーなタイムの香り
風味:  スパイシーでフレッシュな、甘みのある渋味と酸味
用途:  パンに塗る他、焼成や調理に、またはチーズに添えて

テュィーミァーンホーニッヒ テュィーミァーンホーニッヒ
テュィーミァーンホーニッヒは流動的で、時間が経過しても結晶化し難い。



☆コリアンダーホーニッヒ(Korianderhonig)
コリアンダーブリューテンホーニッヒ(Korianderblütenhonig)、コリアンダーホーニッヒは、セリ科の一年草の「コリアンダー」の花蜜からなるハチミツである。
主な産地は、ヨーロッパ南東部、バルカン山脈など。

色:   暗黄色
香り:  力強くスパイシーな香り
風味:  甘く、軽くてフルーティーなミントの様な風味
用途:  パンに塗る他、チーズに添えて

コリアンダーホーニッヒ コリアンダーホーニッヒ
コリアンダーホーニッヒは結晶化し易いので、 攪拌してクリーム状に加工されることが多い。



☆オレーガノホーニッヒ(Oreganohonig)
オレーガノブリューテンホーニッヒ(Oreganoblütenhonig)、オレーガノホーニッヒは、シソ科の多年草の「オレガノ」の花蜜からなるハチミツである。
主な産地は、ヨーロッパ南部と南アメリカである。

色:   オレンジ色から琥珀色
香り:  軽いオレガノの香りを持つ、控えめな花の香り
風味:  フルーティーで、甘みのある渋味と酸味
用途:  パンに塗る他、調理に

オレーガノホーニッヒ
オレーガノホーニッヒは流動的で、時間が経過しても結晶化し難い。

高い酸の割合によって発生する、名状し難い口内感覚を持つ。



☆マヨラーンホーニッヒ(Majoranhonig)
マヨラーンブリューテンホーニッヒ(Majoranblütenhonig)、マヨラーンホーニッヒは、シソ科の多年草の「マジョラム」の花蜜からなるハチミツである。

色:   黄褐色
香り:  レモンの様なフレッシュな香り
風味:  柑橘系のフルーティーな、軽い渋味と酸味
用途:  パンに塗る他、焼成やマリネに

マヨラーンホーニッヒ マヨラーンホーニッヒ
マヨラーンホーニッヒは結晶化し易いので、 攪拌してクリーム状に加工されることが多い。





★ハチミツの用途(Verwendung von Honig)
一般的には、ジャム(Konfitüre:コンフィテューレ)やマーマレード(Marmelade:マルメラーデ)などと同様に、「ブロートアウフシュトリッヒ(Brotaufstrich)」として、バター(Butter:ブッター)と共にパンに塗られることが多い。シリアル(Müsli:ミュースリ)や果物(Obst:オプスト)の甘み付けにも用いられる。

乳製品とも良く合い、クヴァルク(Quark)の様に淡白なフレッシュチーズ(Frischkäse:フリッシュケーゼ)やヨーグルト(Joghurt)に添えるだけでなく、山羊のチーズ(Ziegenkäse:ツィーゲンケーゼ)や羊のチーズ(Schafskäse:シャーフスケーゼ)の様な、癖の強いチーズに合わせることもある。

コーヒー(Kaffee:カフェー)やお茶(Tee:テー)などの温かい飲み物は勿論、スムージー(Smoothie:やスムーディー)やカクテル(Cocktail:コックテール)などの冷たい飲み物の甘み付けにも用いられる。

この他にも、サラダ(Salat:ザラート)のドレッシング(Dressing)や、野菜や肉、魚などをマリネする際のマリネ液(Marinade:マリナーデ)など、応用範囲はとても広い。

ハチミツ中の果糖は、非常に保水性が高いので、焼き菓子に用いるとしっとりとした食感に仕上がり、乾燥し難いという利点がある。


★ハチミツの保管(Lagerung von Honig)
適切な保管状態であれば、ハチミツの品質を低下や劣化させずに、長期間保存することができる。
ハチミツの構成成分を、可能な限り保つためには、グラスなどの密閉容器に入れて、無臭の、湿度の低い、涼しい場所で、光を避けて保存しなくてはならない。
理想とされる温度は10~15℃で、湿度は60%以下。上下の振り幅が少ない安定した環境下で保管することが望ましい。
湿度の高い環境では、しっかりと容器の蓋を閉めていても、ハチミツは周囲の空気から水分を吸収してしまう。この条件下では、酵母菌の増殖による発酵のリスクが否めない。

「熱(Hitze:ヒッツェ)」、「酸素(Sauerstoff:ザウアーシュトッフ)」、「光(Licht:リヒト)」
この3要因に一番敏感なのがビタミン類(Vitamine:ヴィタミーネ)で、中でもビタミンCやビタミンB1が影響を受け易い。酵素(Enzyme:エンツィーメ)は、熱の影響を受け易く、40℃以上になるとその効力を失い始める。これと比べると、ミネラル成分(Mineralstoffe)は、この3要因には影響を受け難い。

上記の条件を充分に満たしていても、長期の保存期間を経ると、ハチミツの糖分が結晶化することがあるが、品質の低下や劣化ではない。
一般に、果糖の割合が高い場合は結晶化し難く、液状または粘性の低い状態が長く保たれる。
ブドウ糖の割合が高い場合には結晶化が進み易く、低温では固まってしまうことも多い。
また、ハチミツ中に花粉が多く含まれる場合にも、固まり易くなる。

底の部分から、徐々に結晶化したハチミツ 底の部分から、徐々に結晶化したハチミツ
底の部分から、徐々に結晶化したハチミツ。

瓶を傾けると、上部は未だ結晶せずに液状を保っているのが良く分かる。

ハチミツが結晶化、または凝固した場合には、間接的に温めることで、元の状態に戻すことができる。
ハチミツの入った容器の蓋を外し、結晶が溶けて均一な状態になるまで、湯煎を利用してゆっくりと慎重に温める。この際に重要なのは、容器中のハチミツが熱くなり過ぎないことで、ミツバチの巣箱の温度である40℃を越えないように、注意しなければならない。


★ハチミツ用スプーン(Honiglöffel)
ハチミツを容器からすくうためのハチミツ用スプーン(Honiglöffel:ホーニッヒレッフェル)は、「ホーニッヒヘーバー(Honigheber)」や「ホーニッヒアウフネーマー(Honigaufnehmer)」とも呼ばれる。

通常のスプーンの形以外では、先端がスパイラル状になっている製品が多い。
この「ホーニッヒシュピラーレ(Honigspirale)」には、木製、金属製の他、プラスティックやシリコン製もある。ハチミツの粘度との相性によって、使い易い素材や形のものを選ぶと良い。


木製と金属製のハチミツ用スプーン 木製と金属製のハチミツ用スプーン
木製と金属製のハチミツ用スプーン。



金属製のハチミツ用スプーン
金属製のハチミツ用スプーンは、柄の部分が曲がっていて、容器の縁に掛けられる。

写真のスプーンは横掛けタイプだが、縦に掛けるタイプもある。

 
木製のハチミツ用スプーン 木製のハチミツ用スプーン
木製のハチミツ用スプーン。柄の部分を回転させて、先端の溝にハチミツを絡めて持ち上げる。



クリーム状に加工されたハチミツ クリーム状に加工されたハチミツ
液状や粘度のあるタイプのハチミツよりも、クリーム状に加工されたものの方が、パンに塗り易い。
パンの断面に大きめの気泡がある場合でも、その穴から流れ出たり、垂れたりし難いので食べ易く、
小さな子供にも容易に扱える。

このコラムの担当者

Kimiko Kochs

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