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中国料理TOPへ好吃(ハオチー)!中国料理! コラム一覧へ
連載コラム 好吃(ハオチー)!中国料理!
北京料理、上海料理、四川料理、広東料理、点心と5つのジャンルを、それぞれ担当の厨師(料理人)、点心師(点心専門家)が、中国での体験を交えながら料理の作り方とそれにまつわる話を紹介します。まずは、基本的な料理から始めましょう。
冬瓜と五目材料の蒸しスープ
八宝燉冬瓜


冬瓜と五目材料の蒸しスープ

   
  香港の夏、市場に冬瓜がずらりと並び、季節を感じる時です。冬瓜は夏が旬なのに、なぜ冬の瓜と書かれるのでしょうか。冷暗所に置いておけば、冬まで保存が出来ることからきています。これは冬瓜の皮が固いので水分が失われず品質が落ちにくいからです。夏になると、日本でもスーパー、八百屋で売られています。
冬瓜の彫刻(1)
冬瓜の彫刻(1)
小さい頃、田舎で冬瓜の身を大きく切り、薄い醤油味で煮込んだのを母が作っていましたが、微妙な薄味が大人の味で、子供の私には美味しいともなんとも思えなかったものです。味が淡白なので味を含ませるのに手間がかかるため、家庭では食卓に登場することがめっきり少なくなりました。
  香港ではこの時期になると、各レストランのメニューに冬瓜料理が登場します。冬瓜を器にした蒸しスープ「冬瓜盅」は冬瓜の味がしっかり楽しめ、見た目にも豪快な料理です。中に入れる具材は様々です。高いものはフカヒレを入れることもありますが、一般には、鶏肉、豚肉、エビ、シイタケなど旨みが出る材料のほか、旬のフレッシュの蓮の実、夜来香が入っています。蓮の実は花が散った後、ガクの部分が肥大して実がなります。フワフワのガクを割り、グリーン色の実を取り出し、皮をむくと白い実が出てきます。

   「月に切なくも 匂う夜来香・・・・・・恋の花」と歌われている夜来香は、名前の通り夜に黄色の花が開き、ほのかに甘く爽やかな香りを放ちます。スープには香りの弱い薄〜い黄緑のつぼみの根元の硬い部分を取り除き、浮き身として使います。夏の市場で籠に詰められて売られていた可愛い花、残念ながら日本では簡単には手に入らないようです。

冬瓜の彫刻(2)
冬瓜の彫刻(2)
  冬瓜のスープは下ごしらえに時間がかかり、また少人数では食べきれないので、予約でしか受け付けないお店も多々あるのですが、私の研修先のマンダリンホテルはさすが一流、注文があれば即座に提供できるように、スープの入った冬瓜が2〜3個常に蒸し器に入っていました。オーダーが届くと具を入れて出来上がりです。冬瓜は大中小と用意していたのですが、大は先端を少し削って1個を丸のまま使います。これは8〜10人用。中(6人用)と小(4人用)は1個を2:1で切り分けて、それぞれ切り口を上に向けて使うとは、なかなかのアイデアです。これらを準備していて登板を待っているのですが、声がかからない時は、蒸し器の蓋を開けると蒸し過ぎで倒れ、無残な姿になってしまいます。これでは売り物にならないので、「食べてよいですか?」と聞くと、「ダメ」という答えが返ってきました。なんと、すり身にしてスープの具にするのです。なるほど。サービス精神旺盛、無駄はつくらないという香港人の精神がここでも発揮されています。でも、やっぱり冬瓜の味を楽しむには大きな固まりをいただくのが一番ですよね。

上部に切り込みを入れた冬瓜   側面に切込みを入れた冬瓜
上部に切り込みを入れた冬瓜   側面に切り込みを入れた冬瓜

   冬瓜の切り口の飾り包丁をよくご覧下さい。切り口の表面にギザギザを入れている店もあるのですが、上に飾りの材料をのせるので、マンダリンでは外側に切り込みを入れています。冬瓜は口一杯までスープを満たしておくのですが、スープが蒸発すると液体に接していない部分の水分が抜け、外側の皮は変化しないので、当然身の部分が凹むことになります。上を真っ平らにしておくと凹みにくいという利点もあります。
  香港では一般に銀器に入れてだされるので、冬瓜の表面に彫り物をするということ
食卓の演出
食卓の演出
は余りありませんが、繊細な彫刻を施してテーブルの飾りとして出されたり、台湾では内部にひびかないように切り込みの浅い飾りが入れられたりすることもあります。また、冬瓜の食べ方には2通りのサービス方法があります。ひとつは、ある程度スープがなくなると、その部分の冬瓜を大きく切って別皿に盛り、塩を振ってスプーンで身をすくいとって食べます。もう1種類は、冬瓜の肉を削り取りスープの具として、スープと一緒に小碗に取り分けるのです。

   冬瓜は95%が水分で消化もよく、カロリーも最も低い野菜の部類に入ります。暑気払い、熱を冷ます効果があるので、夏バテした身体にはぴったりです。
   今回の冬瓜と五目材料の蒸しスープは、作りやすいように器の大きさに合わせて作ります。それと、香港ではカエルのもも肉が入っています。大きな食用ガエルではなく、小型のトノサマガエルですが、中国語で田鶏と言われるように、鶏肉に似たあっさりした味です。
 

このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 冬瓜と五目材料の蒸しスープ

マンダリン 河(フォー)
人物 河合鉱造
中文之星
人物 福冨奈津子
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