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連載コラム とっておきのヨーロッパだより
辻調グループ校には、フランス・リヨン近郊にフランス料理とお菓子を学ぶフランス校があります。そこに勤務している職員が、旅行者とはまた違った視点から、ヨーロッパの日常生活をお届けします。
“プロストProst(乾杯)!!”世界最大のビール祭り
ビールを飲みながらの昼食

ビールを飲みながらの昼食

   ドイツにはうまいビールとソーセージという僕個人の勝手なイメージがあり、そこで行われるこの行事を逃す手はないと、ミュンヘンに世界最大のビール祭りを体験しに行きました。
   会場に行く前に、ミュンヘン市内の広場を散歩してみました。そこにもビールスタンドがあり、昼食にソーセージやハム、ニシンの酢漬けを挟んだサンドイッチを片手にビールが飲めます。そこには会社勤めのサラリーマンからお年寄りまで様々な人々がビールを飲んで楽しそうに会話をしています。

   このビール祭りはオクトーバーフェストOktober Fest、またはヴィーズンWiesn(バイエルン語で「緑地」)と呼ばれ、1810年、この時のバイエルン王国皇太子ルートヴィッヒ1世とザクセン・ヒルトブルクハウゼン公女テレーゼの結婚を祝って競馬大会が開催され、これに感動した皇太子が翌年から毎年、祝宴を開くようになったのが始まりといわれています。この競馬大会を行った場所はテレ−ジエンヴィーゼTheresienwiese(テレーゼの緑地)と名づけられ、現在もミュンヘンの中心街より少し離れたこの広大な緑地で開催されます。ビールテントのほかにも移動式とは思えないくらいの大規模な移動遊園地が隣接されていて、子供も楽しむことが出来ます。

民族衣装ディルンドルを着た女性

民族衣装ディルンドルを着た女性

   会場にはドイツ・バイエルン地方の民族衣装を着た人々がたくさんいます。女性が着ているのはディルンドルDirndlというバイエルン地方の民族衣装で、日本でいえば浴衣のようなものだそうです。男性のほうはレダーホーゼLederhoseという皮のズボンをはいています。
   今年の開催期間は9月22日から10月7日までの16日間。始まりの日は10月の最初の日曜日から逆算した2週前の土曜日の正午で、市庁舎前で行われるミュンヘン市長の乾杯の合図“オザプスィツO’zapft is”(樽を開けるぞ〜!という意)で開催が宣言されます。
   毎年600万人の人が訪れ、約600万リットルのビール、50万羽以上の鶏のグリルが食べられるそうです。ちなみにオクトーバーフェストの第1回目は皇太子の婚礼を祝う競馬大会だけだったそうで、遊具等はなく、1880年、ビールの販売が許可され、そこに遊具が置かれるようになり、1896年に始めてビールテントが立ち、後に世界最大のビール祭りになったといわれます。

   お祭りの間、ここで飲まれるフェストビアー(この祭りのために醸造された特別な物)は、モルト(麦芽)を多く使い、アルコールも少し高めになっています。このビールはミュンヘンを拠点に置くごく限られたメーカーしか作っていません。
   会場内には各メーカーのテントが14張、大きなテントでは1万席を超え、その総席数はなんと96985席!!(2007年度)ものすごい数の人々がこの特別なビールを求めて世界中からやってきます。(僕もその1人です。)
レーベンブロウのビールテント   人でごった返すビールテントの中

レーベンブロウのビールテント

 

人でごった返すビールテントの中


マス(1リットル入りジョッキ)

マス(1リットル入りジョッキ)

   これだけの席数がありながら、平日の昼間でもなかなかこのテントの中には予約をしなければ席が確保できません。予約をしていない人たちは外にあるテーブルの空席を探して座ります(これもなかなか空いていません)。運よく座れたら、早速、ビールを頼みます。ここで出てくるビールはマスMaßと呼ばれる1リットルの大きなジョッキでしか出てきません。大きいジョッキのため、中には2人で1杯のマスを分けて飲んでいる人もいます。
   おつまみはというと、先ほども少し触れましたがヘンデルHendlという鶏のグリルです。半身で出てきて、皮はパリパリ、肉はジューシー、少し塩辛いくらいの味付け、ビール好きにはたまらない味です。もちろんソーセージとプレッツェBreze(「ブレッツェル」のバイエルン訛り)というパンも共にいただきます。
皮がパリパリの鶏のグリル   ハーゲルザルツ(あら塩の粒)がついたプレッツェ   焼きソーセージ、ザワークラウト添え

皮がパリパリの鶏のグリル

 

ハーゲルザルツ(あら塩の粒)がついたプレッツェ

 

焼きソーセージ、
ザワークラウト添え


天使の矢の方向にトイレ

天使の矢の方向にトイレ

   ちょっとトイレに行きたくなったら広大な敷地内で天使を探します。その天使が弓を引いて構えている先にトイレがあるというわけです。急を要する人には本当の天使に見えるかもしれませんね。ちなみに“00”はトイレを意味するそうです。

   テント内は夕方から夜に掛けて最高潮を迎えます。ビールと雰囲気に酔った人々がそれぞれのテーブル、ベンチの上に立ち、会場内にいるバンドの音楽にあわせて性別も国も関係なく踊ります。民俗音楽から最近の音楽まで演奏する音楽は様々ですが、15分に一度くらいは乾杯の唄「アイン・プロージット・デ・ゲミュートリッヒカイトEin prosit der gemütlichkeit(楽しく飲もう! 心地よく飲もう!)」がかかります。
バンドの音楽に合わせて踊り出す

バンドの音楽に合わせて踊り出す

それにあわせて近くにいる人たちと「プロストProst(乾杯)!!」をし、再び踊りだします。
   様々な国の人が言葉の壁を越え、ビールで皆が1つになる最高の祭りでした。

   皆さんも機会があれば是非!! 来年(2008年)の開催期間は9月20日から10月5日です。オクトーバーフェストのホームページ上では既にカウントダウンが始まっています・・・。

 

コラム担当

エスコフィエ校 製菓部
人物 高浦 智
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