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連載コラム とっておきのヨーロッパだより
辻調グループ校には、フランス・リヨン近郊にフランス料理とお菓子を学ぶフランス校があります。そこに勤務している職員が、旅行者とはまた違った視点から、ヨーロッパの日常生活をお届けします。
イタリア・アルバで白トリュフを堪能!
   北イタリアの西部、アルプス山脈を挟んでフランスに面するピエモンテ州、冬季オリンピックが行われた州都トリノから南東に約50kmの所にアルバという町があります。白トリュフの産地として世界的に有名です。このアルバで毎年10月から11月にかけて開催される白トリュフ祭り(Fiera Internazionale del Tartufo Bianco d’Alba)に行ってきました。今年で78回目となるこのお祭り、白トリュフの競売の他にも、その年のトリュフ・オブ・ザ・イヤーを決め、そのトリュフを採った人の表彰もあるそうです。もちろん白トリュフの一般向けの販売もあり、ぜひ1つ買って帰りたいと意気込んでアルバへ向かいました。

アルバに入ると大きなオブジェが!   町中がとてもにぎやかです

アルバに入ると大きなオブジェが!

 

町中がとてもにぎやかです


   アルバの町に入ると、まず大きな白トリュフのオブジェが出迎えてくれます。そして会場に向かう前にアルバの町並みを探索してみることにし、商店街の通りを歩いていると、どこからかあの何とも言えない香りが漂ってきます。なんと道端の小さな露店でも白トリュフが売られているではありませんか。意外な場所での突然のご対面に少々舞い上がりながらも店のおじさんに話しかけると、みんな親切にそして誇らしげに白トリュフを見せてくれたり、香りを嗅がせてくれます。町中がお祭りムードで、トリュフ以外にもいろいろな露店が並んでいてとてもにぎやかです。

会場のパラタルトゥーフォ   会場中が白トリュフの香りでいっぱい!

会場のパラタルトゥーフォ

 

会場中が白トリュフの香りでいっぱい!


まるで宝石のように並べられてます

まるで宝石のように並べられてます

手頃なサイズ(30〜40g)で1個12000〜16000円!

手頃なサイズ(30〜40g)で
1個12000〜16000円!

   白トリュフの香りにすっかり夢中になったところで、いよいよ会場に向かいます。会場はパラタルトゥーフォPALATARTUFOという名の言わば展示場のようなところです。入場券を買って中に入ると、会場が屋内ということもあり、いっそう強い白トリュフの香りが立ち込めます。そして、まるで宝石のようにガラスケースの中に並べられた白トリュフが。香りが逃げないように、乾燥しすぎないように、あるいは目を離したすきに盗られないようにとの配慮からなのでしょうが、近くで見ているとガラスケースを開けて手にとって見せてくれます。気になるお値段はというと、100gで350〜400ユーロで売られていました。他にも会場内では、白トリュフや黒トリュフのオイル、トリュフ入りのパスタやサラミ、ピエモンテ州のワインやチーズ、ハム等、いろいろな物もありました。

トリュフ風味の詰め物入りパスタ各種   トリュフオイルなどの瓶詰製品

トリュフ風味の詰め物入りパスタ各種

 

トリュフオイルなどの瓶詰製品


   トリュフとは、広葉樹(ブナ科コナラ属、シナノキ科シナノキ属、カバノキ科シデ属やハシバミ属、ヤナギ科ポプラ属等)の根に菌根を作り、育つと地中で塊状になる子実体です。大きく黒トリュフ、白トリュフに分けられ、それぞれ複数種あり、フランス・ペリゴールの黒トリュフ(Tuber melanosporum)とイタリア・アルバの白トリュフ(Tuber magnatum)が特に有名です。
   もともと人工的な栽培は無理と言われていたトリュフですが、実は黒トリュフが育つためのある条件を整えることによって栽培が可能とされています。実際にフランスで出回っている多くの黒トリュフはトリュフ園で収穫されたものです。しかし、年々収穫量は下がってきており、その希少価値から値段も高額になるわけです。
   一方、白トリュフの方はと言うとまだ栽培の成功には至っていないため、希少価値がより高く、値段もさらに高くなるそうです。黒トリュフの約2.5〜3倍の値段になります。ちなみに、今までで1番高価だったものは2007年にイタリアのトスカーナ州のピサ近郊で採れたもので、重さは約1.5kg。掘り起こすのに1時間以上を費やしたそうです。オークションに出品された際に22万ユーロ(当時で約3600万円)で落札されたそうです。
   黒トリュフと白トリュフでは値段も違いますが、香りもまったくの別物です。香りを例えるのは難しいところですが、黒トリュフは海苔の佃煮に、白トリュフはよく、にんにくやガスに例えられることが多いです。そう言うとなんだかどちらも安っぽく聞こえますが、とにかく強烈でありながら人を惹きつける香りであることは確かです。

白トリュフ風味卵のココット焼き

白トリュフ風味卵のココット焼き

   白トリュフ祭りを楽しんだ後で、アルバの近くにあるレストランで白トリュフを頂きました。まずは、バーニャ・カウダソース(にんにくとアンチョビのソース)と白トリュフ風味の卵のココット焼き。もともと白トリュフとの相性のよい卵とにんにくの組み合わせなので美味しくないわけがないのですが、使われている卵がパスタ・ジャッラPasta giallaという名で、タヤリンTajarin(ピエモンテの手打ちパスタで、タリアテッレTagliatelleよりも細いタリオリーニTaglioliniのピエモンテ方言)等のピエモンテの手打ちパスタを作る専用の卵らしく、黄身の色がオレンジで味もいつも食べ慣れているものよりも濃厚ですごく美味しい。
   その後、いよいよお待ちかねの白トリュフのタヤリンです。ただ塩ゆがきし、バターを絡めただけのパスタが運ばれてきたところに、専用のトリュフスライサーを使って目の前で白トリュフをたっぷりとかけてくれます。レストランでは重さを量って売るので、サービスの人がお客さんに“これくらいにしますか?もっとですか?”などと聞きながらスライスしていきます。ですからたっぷりとかけてもらえば、もらうだけ値段もどんどん上がっていくわけです。このレストランでは1gで4ユーロと原価奉仕でしたが、値段はレストランによってさまざまです。熱いパスタの上に乗るとまた一段と白トリュフの香りが上がってきます。その香りは黒トリュフの芳醇な香りとはまた違い、少々刺激的でインパクトのある香りです。白トリュフ以外に何も加えず、ただシンプルに香りと味を堪能させて頂きました。


トリュフスライサー   タヤリン パスタの上に白トリュフをたっぷりと!

トリュフスライサー

 

タヤリン
パスタの上に白トリュフをたっぷりと!


白トリュフのせ目玉焼き

白トリュフのせ目玉焼き

   コースで他にも肉料理なども頂きましたが、最後に特別に出して頂いた一品にやられました。ただ目玉焼きに白トリュフを乗せただけのものです。卵と相性がよいのだから、きっと美味しいだろう、しかしレストランで目玉焼きはまず出してもらえないだろうと思っていました。これも先ほどの卵と同じなのですが、今度は他にソースもなく、白トリュフの量も違うのでまったく違った味わいです。白トリュフの香りがよりいっそう引き立ちます。ああ、毎朝これを食べたいなあと思いつつ幸せな一時はあっという間に過ぎてしましました。
   香りも値段も最高級な白トリュフ。一度食べるとまたいつか食べたいと想わせてしまうその魅力。この季節にイタリアを訪れることがあれば、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。



 

コラム担当

西洋料理担当
人物 本田 孝成
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