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連載コラム 半歩プロの西洋料理
「半歩プロ」をテーマに家庭でできる西洋料理を紹介するこのコラム。まずは個性豊かな担当シェフの声をどうぞ。「フレンチって難しくないよね」「語るで〜!」「対談がしたい!」「研修先のレストランではなー」。えー、お話し中すみません、それは「家庭でできる」料理なんですよね?みなさーん、聞いてますかー?だからテーマがあるんだってばっ!守って下さいよ〜っ!
レストラン研修☆探検隊
   フランス第2の都市、リヨン。ソーヌ川とローヌ川に囲まれた、美食と芸術の街です。多くのビストロが立ち並び、人々の活気に満ち溢れた市内。郊外には自然に囲まれたのどかな村が多く、リヨン市内から車で10〜20分程の小さな町には、ミシュランガイドにより認められた歴史ある星付きレストランが数多く点在しています。その内のひとつであり、私がフランス校学生時代に研修をしたレストラン「ラ・ロトンド」を紹介しようと思います。

   ラ・ロトンドは、フランス各地で経営展開しているカジノのリヨン店内にあります。
カジノ外観

カジノ外観

場所はリヨンの市内から8kmほど西へ向かったシャルボニエール・レ・バンという小さな小さな村。花々と多くのみどりに囲まれた村の中心部から少し離れたゆるやかな丘の上に、真っ白な外壁にアールデコ調の優雅な建物がひっそりと建っています。1階はカジノ、2階にはラ・ロトンドをはじめ、宴会場、ビストロ風レストラン等があります。カジノの隣には、近年オープンした全8室のスパ付きの超高級リゾートホテルがあり、フランス国内はもちろん、世界中のリッチな方々がこのリゾート地を目指して昼夜問わず通ってきます。


   レストラン・ラ・ロトンドは1992年にオープンし、15ヵ月後に1つ星を獲得。オープン当初から高級レストランとして有名だったそうです。総支配人のフレデリック・ファス、全レストランの総料理長兼ラ・ロトンド・シェフのフィリップ・ゴヴローを筆頭に現在約15人の従業員が働いています。

広く殺風景な厨房とは対照的に、華やかなレストラン内   広く殺風景な厨房とは対照的に、華やかなレストラン内

広く殺風景な厨房とは対照的に、華やかなレストラン内


   レストランの席数はその日によって変動があるものの、平均約50席。週末にはディナーにもかかわらず2〜3回転するほど予約でいっぱいでした。そんなラ・ロトンドで提供しているメニューは、コッテコテのフランス料理!!!・・・という感じではなく、フランス全土の特産物を用いたクラシックなフランス料理をベースに、中東・アフリカ圏のテイストを織り交ぜたスタイル。

タジンヌ土鍋。このストックがゼロになるくらいの日もしばしば・・・

タジンヌ土鍋。このストックが
ゼロになるくらいの日もしばしば・・・

   スペシャリテは、「大きなモリーユのカエル包み エクルヴィス添え」「ブルターニュ産オマールのタジンヌ」「シャラン産鴨の丸焼き 鴨の小さなタルト」の、主に3品。その他にもエクルヴィスや鳩等を使ったオードブル、スズキやルジェ(ヒメジの類)を使った魚料理、ブレス産の鶏、ブルターニュのプレサレという羊を使った肉料理・・・と、選ぶのも一苦労するほどのバリエーションの豊かさ。ちなみに、タジンヌというのは北アフリカの代表的な料理で、肉や野菜などの煮込みを独特な三角形の土鍋にいれて作られる料理。素材に含まれる水分を外に逃がすことなく仕上がるのが特徴です。

   ラ・ロトンドではこのタジンヌ鍋に、ゆでたオマールを丸ごと1匹と少量のタジンヌ用だし汁、付けあわせを入れ、オーブンで仕上げて提供しています。かなりの手間をかけて仕込むこの料理は、1人前で約96ユーロと高価ではあったのですが(ちなみに日本円だとおよそ15,000円になります)、毎晩必ず5セット以上はオーダーの入る人気料理です。更に季節の特別メニューや宴会特別メニュー等もあり、数多くのオーダーを聞き分けられるようになるまでは大変!!

   ちなみに、厨房はレストランホールの裏手にあり、広さは大きな会議室程。その中はオードブル、魚、肉、デザートと区切られていて、私たちフランス校の研修生は、毎期決まって魚のセクションに配属されて半年間を過ごします。いつも鼻歌を歌っているファブリス、中堅でお調子者のジョナタン、そして辻の研修生の3人で怒涛のサービスと戦う日々です。始めのうちは一日中簡単な処理のみの仕事内容・・・。だんだん話すスピードにもなれて、周りを見れるようになってきたところで、徐々に、火の入れ方やソースの作り方etc.と、さまざまな体験をさせてもらえました。

   主に担当していたのは、1日の注文数の3分の1以上を占めるオマール料理!研修中は魚料理担当というより、もはやオマール担当と言ってもいいくらい大量のオマールを調理していました。オマールは冷蔵庫内ストックのほかに、厨房とレストランの境目の生け簀で約20尾ほど常備しています。ディナーが混み合った夜にはオーダーが叫ばれる度に、タモ(釣り用の網)とステンレスボウルを抱えて生け簀までダッシュした事もしばしばでした。

   そんな私が感じたラ・ロトンドの料理は、味、火通し、盛り付けのすべてにおいて計算され尽くされたもの!厨房内でタイマー音が止む事はありませんでした。料理人はもちろん、サービス人やお客様も含めて全員が常に求めていたのは、「一番いい状態」!サービスの見せ方も特殊だったように思います。

   また、ラ・ロトンドの料理で忘れてはいけないのが、塩のしっかりと効いた料理であった事!!シェフの味付けがもともと濃い目なのと、必要以上に煮詰めて仕上げるソースの濃さといったら、日本人の私には少し泣きたくなるような味でした。

鴨の丸焼きはお客様の前でさばく   鴨の丸焼きはお客様の前でさばく

鴨の丸焼きはお客様の前でさばく


   早朝から夜中まで慣れないフランス語の中での研修・・・。落ち込む事も少なくはありませんでした。始めはかなりの苦痛でしたが、緊張をほぐしてくれたのはおいしい賄い料理でした。ラ・ロトンドの賄いはオードブルの人が当番制で作っていたのですが、サラダ、煮込み料理やくず肉のステーキのようなものが主で、かなり日本人好みの味付けに近く、短い休憩時間でしたが、心安らぐひとときでした。中でも私が好きだったのが「お米のサラダ」。

   日本人の研修生を気遣ってか(またはシェフの好物なのか?)、毎日のように作ってくれていました。毎日、仕込んだものから出たくず野菜や肉の切れ端がソテーされたものが入っていたので、レストランサイドとしてもロスを最小限に留められて、更においしいと言うことで大人気でした。


   レシピ編では、このような思い出の味である「お米のサラダ」を、日本でも簡単に手に入る材料で、カラフルに再現しようと思います。


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ お米のカラフルサラダ

マイペースなりんごっ娘
人物 長根登美子
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