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連載コラム 怖くない、怖くないインターナショナルクッキング
和・洋・中と並び、世界には美味しい料理が数多くありますよね。「食べたことはあるけど作り方を知らない」とか、「作ったこともあるけど何か物足りない」ってことないですか?ちょっとしたスパイスを加えることで、料理の味付けはガラリと変わります。スパイシーな料理からちょっと珍しいデザートまで紹介しましょう。
帽子をかぶったスープ!?
   世界に名高いフランスを代表する料理人、ポール・ボキューズ( Paul BOCUSE )。彼が作った料理のひとつに「スープ・オ・トリュフ・ノワール・ヴェ・ジェ・ウ Soupe aux truffes noires V.G.E.」というスープがあります。フランス共和国大統領、ヴァレリ・ルネ・マリー・ジスカール・デスタンValéry René Marie Giscard d’Estaing(在任1974年5月19日〜1981年5月10日)のために、エリゼ宮での午餐会に出されたものです。このとき、大統領はポール・ボキューズにフランス料理の大使という名目でレジョン・ドヌール勲章 Légion d’Honneurを授与しています。1975年2月25日火曜日のことです。

“スープ・オ・トリュフ・ノワールV.G.E.”
フランス風きのこ(トリュフ)のスープ、のパイ包み焼き
“スープ・オ・トリュフ・ノワールV.G.E.”
フランス風きのこ(トリュフ)のスープ、
パイ包み焼き
 
ボキューズのトリュフスープの形の陶器。こんがり焼けたパイの部分も陶製です。
ボキューズのトリュフスープの形の陶器。
こんがり焼けたパイの部分も陶製です。
 
レストラン「ポール・ボキューズ」にて
レストラン「ポール・ボキューズ」にて
   その中身ですが、最上級のコンソメをベースにし、小さく角切りにした野菜、フォワ・グラ、ブレス産の鶏肉、そして“黒いダイヤ”とも呼ばれるトリュフの輪切りをふんだんに加えたものです。これを器に入れ、パイ生地をかぶせて卵黄を塗り、オーブンで焼き上げます。オーブンの中でパイ生地は徐々に膨らんで色づき、気球のように丸く焼き上がります。スープの器が帽子をかぶったような形になり、こんがりとパイ皮に焼き色がつけばでき上がりです。これをすぐにお客の前に運ぶのですが、慌てて食べようものならば舌が火傷をおこしてしまいます。まずはスプーンでパイ皮に、それが入るくらいの丸い穴を一つか二つ開けます。スプーンで切り離されたパイはスープの中に落ちてしまいますが、これがスープの浮き身となります。まだ慌てないで下さい。落ち着いて、その穴から漂ってくるかぐわしいトリュフやフォワ・グラの香りを鼻で感じ、次にゆっくりとスープを一口味わいます。オーブンの中ですべての材料が重なり合い、混ざり合い、熱々の逸品に生まれ変わっています。 というような料理を1981年当時、私もレストラン・ポール・ボキューズの本店でフランス人の料理人たちに混じって作っていた事を鮮明に覚えています。
   しかしながら今回はこの料理を作るのではありません。現在の私の担当であるエスニック料理の一つとして、ロシアの「きのこのつぼ焼き」を紹介しましょう。同じように、器に入れたきのこのスープに生地で蓋をして焼くという料理です。



“きのこのつぼ焼き”
ロシア風きのこのスープ、パン包み焼き
“きのこのつぼ焼き”
ロシア風きのこのスープ、パン包み焼き
   さて、料理を紹介する前に、まずロシアの生活には欠かせないダーチャについて、少し触れておきましょう。ロシア人を理解する上で必ず知っておいてほしいものの一つに、「ダーチャ」の存在があります。「菜園付き別荘」と訳されていることが多いようですが、日本の別荘とは基本的には大きく異なります。家庭菜園の付いている木造小屋とでも言えばよいのでしょうか、都心から少し離れた郊外にダーチャ用の土地を買ったり、あるいは借用地が散在しています。そこに寝泊りできる木造小屋を建て、自家栽培で果物や野菜などを作るのです。さらにスペースがあればバーニャというサウナ小屋を作り、疲れた体を休めます。ロシア人にとってダーチャは決して特別なものではなく、多くの庶民が所有するごく当たり前のもので、かつ日常生活とは切り離せない癒しの場となっています。春が来て、植物の新芽が顔を出す頃には、ロシア人は毎週末のようにダーチャに足を運ぶようになります。それから夏にかけて、野菜および果物を栽培するのですが、この収穫物は、そのほとんどがこの先やって来る厳しく長い冬を乗り切るための保存食(酢漬けや塩漬けなど)となります。 本来はこのようにして保存された「きのこの塩漬け」を使うと程よい酸味がつくのですが、今回は各家庭で手軽に購入できるきのこ数種類を使っておいしいスープを作りましょう。またパイ皮ではなく、ロシアで生きていく上で最も大切な食べ物、パン生地をかぶせて焼き上げています。帽子のように丸くてふわふわに膨らんだパンは、空腹になった胃袋と人の心を豊かに満たしてくれる事でしょう。



このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ きのこのつぼ焼き

スパイスの魔術師
人物 三木 敏彦
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