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「料理人は“かっこいい”職業だと子供の頃から思っていました。フランス料理を選んだのは、世界最高の料理というイメージがあったからです。」料理人を志した理由について、そう答えてくれた藤谷シェフは、気さくな人柄ながらも料理に対しては純粋かつ一途な姿勢を貫く人物です。
藤谷氏の経歴を聞くと、料理人としては順風満帆のように感じますが、実際は苦難の連続だったといいます。辻調理専門学校卒業後、19歳の時にフランス料理の世界に身を投じ、23歳で上京、知人の紹介を経て24歳の若さでイタリア料理店のシェフに就任しました。店は繁盛したうえに、仕事の待遇も良かったので、「天狗になっていた」というシェフですが、あるテレビ番組に映し出された最新のフランス料理を見て、一転“自分は取り残されている”と痛烈に感じることになったのです。「料理の最先端を走り続けたい」という理想と現実の板ばさみで悩み続けたシェフは改めてフランス料理を学ぶことを決意し、スイスを経てフランス・パリの『ステラマリス』や『ジョルジュ・ブラン』、ロワール地方の『ベルナール・ロバン』などでフランス料理の本質を学びます。フランスでの経験を通じて自信を取り戻した藤谷氏は、地元広島にて本場さながらのフランス料理を提供するも、お客が求めるものと自分が求めるもののギャップに再び悩まされる日々が続きます。こうした日々に転機が訪れたのは、アメリカ・シカゴにある『チャーリー・トロッターズ』で働いてみないかという友人の紹介でした。「藁にもすがりたい一心」だったというシェフは『チャーリー・トロッターズ』で働くことを決意。この決意こそが「料理人としてのターニングポイントになった」とのこと。
『チャーリー・トロッターズ』での経験について、「そこで過ごした半年間の日々は驚きの連続でした。例えば、調理場に冷凍庫がないのです。なぜなら仕込みは当日必要な分だけ行い、ストックを一切しないからです。フランスのグランメゾンでは考えられないことです。素材に対するアプローチや調理のプロセスも異なりました。ここでの経験をきっかけに、フランス料理はかくあるべし、という先入観がなくなりましたね」と語ります。チャーリー・トロッター氏の料理哲学を受け継ぎ、「料理をする楽しさを取り戻した」というシェフ。彼が作る料理はいったいどのようなものなのか。次のページで詳しく紹介いたします。
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