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【ビバ!!ベバレッジ】パナマ共和国・ゲイシャ種の世界
2012年06月15日

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<【ビバ!!ベバレッジ】ってどんなコラム??> 

 

 

よく耳にするブルーマウンテンやブラジル、ハワイコナなどのコーヒーの名前は産地の名前で、品種は全てティピカ種やブルボン種である。しかし、最近人気があるパナマの”ゲイシャ”は、”ゲイシャ種”という別の品種で、エチオピア原産の野生種の風味を今も保っている。

 

今回は、東京カフェバッハ内で行われたパナマ共和国ボケテ地区の“ゲイシャ種”のカッピング(テースティング)の内容を紹介する。

 

カッピングは、水洗式(ウォッシュト)5種、自然乾燥式(ナチュラル)3種、半水洗式(パルプドナチュラル)1種にそれぞれ適切な焙煎を施し、抽出した状態で行われた。このカッピングの目的は、農園ごとのゲイシャ種に優劣をつけるのではなく、それぞれの特色を理解し、お客様にどのように薦めるか?販売する側が知識をどのように生かすか?と言う観点がポイントだった。

 

先に、ゲイシャ種について少々触れておく。
パナマ共和国のゲイシャ種は、エチオピア南西部にあるゲシャという村が原産地である(この村はアラビカ種の原産地でもある)。村の名前から「ゲシャ」と言われていたが、各国に伝わるうちにゲイシャとなった。
パナマにはケニア、タンザニア、コスタリカを経由して広まった。1963年、ドンパチ農園の先代オーナーが個人的にパナマに持ち込んだり、1975年から1980年にかけてパナマ共和国の農水省が農民に配布したりして、それぞれの農園で広まった。
つまりパナマのゲイシャ種は、全てが同一の木から栽培されたものではない。その為に現在、農園ごとに栽培されているゲイシャ種は香りや味が違っている。
また、ゲイシャ種はもともとパナマ共和国において多く栽培されていた品種ではない。その理由は、パナマの農園は畑の傾斜が急で、よく熟したコーヒーチェリーを1粒ずつ収穫することが難しい環境であり、また、ゲイシャ種が収穫量の少ない品種にあるためだった。その為に多くの農園は多収穫種に植替えをすることが多かった。このような状況で、それぞれの農園では他品種と混在して少数の木が残っているだけだった。
しかし近年、ゲイシャ種の希少価値が高いことが分り、作付面積を増やす傾向にある。これから更に生産量が多くなると見られる。コーヒーは種からコーヒーチェリーが収穫出来る木に至るまで3年を要する。現在、各農園にはゲイシャ種以外の品種も植えられているので、収穫に際して他の品種と間違いがないように木に目印を付けている。
パナマで生産されるゲイシャ種は現在、国際審査員により高い評価を得たものが輸出用で、その他のものはパナマ国内で消費されるか、観光客が手土産として購入する状況にある。

 

【ゲイシャ種のカッピング】
1)生豆の色の特色及び香りや味の特色
①水洗式(ウォッシュト)
精製過程では発酵槽を使用せずに果肉除去機で「ミューシレージ」と言う果肉と内果皮の間のヌメリをとる。
このヌメリを取るには発酵槽を使用する場合もあるが、これは大量の汚水を河川に排出し環境への深刻な問題となる。
また、発酵槽の水温によって発酵させる時間が違い、精製に長時間を要して効率も悪い。

 

<ベルリナ農園>
生豆色の深さNo.1 他の農園に比べセンターカットがくぼんでいる。”ゲイシャ種”以外の香りが残る

 cafe1.jpg

 

<アウロラ農園>
生豆色の深さNo.2 ドンパチ農園からの種で栽培されたことより香りやテイストはかなり似ている

cafe2.jpg 


<エスメラルダ農園>
生豆色の深さNo.3 線の細い酸味と後味に紅茶の渋味と旨みを感じる

 cafe3.jpg

 

<ママカタ農園>
生豆色の深さNo.4 チェリーや紅茶の香りに透明感のある渋味を感じる

cafe4.jpg 


<ドンパチ農園>
生豆色の深さNo.5 香りは干柿。舌先に感じる酸味がすっと消えて甘みが残る

cafe5.jpg 

 

②自然乾燥式(ナチュラル)
ボケテ地区は霧が発生するなどの湿度があるため、発酵に伴う独特の香りを引き出している


<ドンパチ農園>
生豆色の深さNo.1 香りは強いが発酵臭ではない。口に含んだ瞬間に熟成された渋味がある。後味は軽い

cafe6.jpg 


<ロスラオネス農園>
生豆色の深さNo.2 ドンパチ農園とママカタ農園より香りや味、ボディ感が弱い

cafe7.jpg

 
<ママカタ農園>
生豆色の深さNo.3 ほのかに花やフルーツの香り、甘みを感じる

 cafe8.jpg 

③半水洗式(パルプドナチュラル)
果肉除去機で完熟豆の果肉を除去し、ヌメリのついた状態で3~5日乾燥、脱穀。
イタリアのエスプレッソに用いる豆にも、ボディ感を強くする為に使用されている。

 

<ママカタ農園>
まだら模様が生豆及び焙煎後も目立つ。ハチミツのような甘味とコク、香りに深みがある

 cafe9.jpg 

 

2)焙煎
ゲイシャ種の焙煎は、加熱による酸味を主とする味の変化を秒単位で意識しなければならない。そこには熟練された技術が必要である。
また、ベストタイミングのポイント(煎り止め)は、水洗式は狭く、自然乾燥式は広い。とは言うものの5秒、10秒と言う非常に短時間での話しとなる。

 

3)カスカーラ(コーヒーベリー・ティー)
完熟したコーヒーチェリーの外皮と果肉を天日乾燥をした非常に珍しいもの(エンポリオ農園)。紅茶のようにして飲む。
乾燥した状態の香りは「梅干」やプラムを連想させた。また、味は果肉の甘味が強く残り、香りはラズベリーのようだった。

 

4)ゲイシャ種のコーヒーゼリー
まず、貴重なゲイシャ種をコーヒーゼリーにした事に驚きを感じた。
水洗式と自然乾燥式の2種が用意されていた。香りや味(酸味、コク)は自然乾燥式が水洗式よりも強く感じた。
また、添えられたグランマルニエ風味のシロップはゲイシャ種の酸味に柑棋系の香りがとても合っていた印象だった。

 

カッピングを終えて、ナッツなどの香りや苦味という一般的なコーヒーとは違い、独特な香りと透明感のある酸味に特徴があるゲイシャ種は、レストランでの食後や製菓店のイートインのシーンで”ワインのようなコーヒー”などのプレゼンテーションが出来ると感じた。
ワインとコーヒーは全く結びつかないイメージに面白さがあると思う。
実際にイメージコピーではなく自然乾燥式のゲイシャ種には赤ワインの香りや渋味が存在する。

このコラムの担当者

マエストロ 寺尾雅典

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