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【半歩プロの西洋料理】EUのカツレツ巡り
2015年01月14日

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 <【半歩プロの西洋料理】ってどんなコラム?>

 

※ある日の調理場にて

 

アラッシ:さあて、今日の賄いは何を作ろうかな~っと。

あまちゃん:私、<トンカツ>が食べたい。

レジェンド:俺は<ビーフカツ>がいいなぁ。

親方:今日は子牛肉を仕入れたから、試作を兼ねて<子牛のカツレツ、ウィーン風>を作ってみなさい。

レジェンド:あの<ウィンナー・シュニッツェル>とか言う料理ですかね。

親方:う~ん?ウィーンのやなしに、フランス料理のウィーン風やで。

レジェンド:えっ、どう言う意味ですか?同じ料理ちゃうんですか?

親方:ちゃうねん。フランス料理のものは茹で卵やらパセリやらのデコレーションをするねんけど、ウィーンのものはデコレーションがのうて、薄うて大きなパン粉焼きだけのもんや。語りついでに、<ウィンナー・シュニッツェル>には諸説あるけど、元々はイタリアの<子牛のカツレツ、ミラノ風>が元祖なんて説もある。フランスへは<ウィーン風>言うてることからも、そのあとに入ってアレンジしたんやろな。

レジェンド:ちょ、ちょっと整理していいですか。今、登場したのはイタリアの<子牛のカツレツ、ミラノ風>、ウィーンの<ウィンナー・シュニッツェル>とフランスの<子牛のカツレツ、ウィーン風>ですよね。おもろいですねこのEUカツレツつながり。

あまちゃん:親方。そもそもカツレツってなんですか?カツレツもそうですが、カツだけが語尾に付く<チキンカツ><メンチカツ><串カツ>の、あのカツって何ですか?

アラッシ:共通するのはパン粉をつけて油で揚げる?

親方:そもそも食肉の背ロースの部分を肋骨にそって切ったものを英語では、<カットレット>、仏語では<コートレット>と呼ぶんだけど、これが日本に伝った明治・大正の頃に<カツレツ>と訛ったんちゃうかと言われている。それにパン粉をつけたものもカツレツと呼び、更にその後、色んなもんにパン粉をつけて揚げる料理にも<カツ>とだけ短縮形を付けて<~カツ>と呼ぶようになったらしい。

アラッシ:だから異なる料理との融合形、<カツカレー>や<カツ丼>も存在するわけですね。

レジェンド:それは更に進化したカツ軍団ですね。

あまちゃん:でもカツの材料は殆どが肉系ですよね。魚系はカツとは言わないんですかね。

親方:そうやなぁ、近年<えびカツ>なんて言うのも耳にするようになったけど、一応ルールが存在するんやろな。そうそう、ちょっと待ってて古い文献があるはずや。

 

レジェンド:<西洋料理實習の手引>。わっすごっ!昭和13年の発刊になってるわ。年代ものですね、全体に変色してますし。        

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<西洋料理實習の手引>  著者 小澤融覺  昭和十三年四月十三日 發行 

 

 

 

あまちゃん:昭和13年って、私生まれてないです。

親方:さすがに私も生まれてへんしな、誕生の20年前やな。

レジェンド:この本は親方の20年後。ぼちぼち仲間かぁ。

親方:ぼちぼち仲間って、なんの仲間やね?とにかく、この文中の<ビーフカツレツ トマトソース>のところに「これは、フライのカツレツであつて、パンをつけて揚げる肉の料理の標準であります。」と書いてある。つまりこの頃には、ビーフカツレツはフライやけど単独でカツレツとだけ呼ばれるものは、まだフライやない。

アラッシ:ふんふん。カツレツはフライじゃない。

親方:それから、またややこしくするけど<ポツク チヤツプ>のところには・・・。

あまちゃん:<ポツク チャップ>と言う料理が分かりません。

親方:<ポークチャップ>のことで<骨付き豚ロースのソテ>だと思って聞いて。「チヤツプと云うのは、一種の形の整った肉の切身を云うので普通にカツレツに切ると云ふのと同じ理由なのであります。つまり豚とか、羊とか、鶏とか比較的骨の小さいものを、骨を着けて形ちよく、切身にした場合にこの語を使つて、何々のチヤツプと云つたわけなのであります。だから此の料理をカツレツと云つても差支へないのです。」と書いてある。

あまちゃん:ルーツが見えてきた。

親方:この本を見る限りカツレツは、骨付きの肉を形容した言葉から来てるから、時代は流れても材料が肉であることは譲れんところかな。

 

※その後、チャップとカツレツは違うものを指す言葉になったと考えられます。でも、その 

チャップも最近は目にすることが少なくなりました。 

 

レジェンド:勉強になります。親方。

親方:いい機会や、昔、オーストリアで食べたカツレツの写真も探してみよか。

 

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創業15世紀のウィーン最古のレストランと言われる、Griechenbeisl(グリーヒェンバイスル) 

で食べたWiener Schnitzel(ヴィナー・シュニッツェル) 

※つけ合わせはなく、カットレモンのみ。 

 

 DSC01061.JPG 

803年創業、ザルツブルグにある<ヨーロッパで最古のレストラン>と言われる、Stiftskeller St.Peter

(シュティフツケラー・ザンクト・ペーター)で食べたWiener Schnizel(ヴェナー・シュニッツェル) 

※カツレツの下にじゃがいもとアスパラガスのゆがいたものが一緒に盛られていた。

 

 P1020807.JPG 

ドイツのベルリンで急遽一泊することになり、予約なしで飛び込んだビストロ、Ottenthal(オッテンタール)で食べたWiener Schnizel(ヴェナー・シュニッツェル) 

※つけ合わせにフライドポテトと生のキュウリのスライスとパセリ、レモンスライス。なんとカツレツは2枚。

 

 DSC01018.JPG 

12世紀頃からの歴史を持つと言われるウィーンの広大な地下の酒場(ケラー)Zwölf-Apostelkeller(12使徒のケラー)で食べたTruthahn Cordon Bleu(七面鳥のコルドンブルー)

※七面鳥にエメンタールチーズとハムの薄切りを挟んでカツレツにしている。付け合せはフライドポテトとカットレモン。

 

あまちゃん:この<七面鳥のコルドン・ブルー>ってなんですか?

親方:七面鳥にチーズとハムを挟んでカツレツにしてあるねん。

 

レジェンド:もう、お腹すいてきた。アラッシ!俺も手伝うから今日は色々と作ろう。

あまちゃん:<七面鳥のコルドン・ブルー>もできますか?

親方:豚肉で<はさみカツレツ>にして代用させたらええよ。これは私が作ったろ。

 

 DSC_0037.JPGのサムネール画像

子牛のカツレツ、ウィーン風 Escalope de veau à la viennoise(フランス料理) 

 

 DSC_0031.JPG 

子牛のカツレツ、ザンガラ(ジプシー)ソース添え Escalope de veau, sauce zingara(フランス料理) 

 

 IMG_1996.JPG 

子牛のカツレツ、ミラノ風 Costoletta alla milanese(イタリア料理:ロンバルディア州) 

※衣にパルメザンチーズを使用している。 

 

 IMG_1999.JPG 

子牛のカツレツ、ボローニャ風 Costoletta alla bolognese(イタリア料理:エミリア・ロマーニャ州) 

※カツレツの上に生ハムとグラーナ・テネーロチーズを乗せて温めて溶かしている。

 

IMG_2002.JPG 

子牛のカツレツ、ヴァルドスターナ風Costoletta alla valdostana(イタリア料理:ヴァッレ・ダオスタ州) 

※カツレツの上にフォンティーナチーズを乗せて温めて溶かしている。 

  

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ポーク・カツレツ 

1976年に大阪の某ホテルの総料理長に教わったもの。 

※表面にパルメザンチーズを振り、つけ合わせはスパゲッティとインゲン豆のバターソテーを添える。ソースはトマトソースを使用している。 

 

IMG_1986.JPG 

トンカツ 

※たっぷりの油でサクッと揚げて、キャベツの千切りを添える。洋食の定番的存在。トンカツソースとの相性が素晴らしい。 

 

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チキンカツ 

※鶏の骨付き胸肉のカツレツ。ソースにメートル・ドテル・バターを使用しました。 

 

IMG_1985.JPG 

 はさみカツレツ

※チーズとハムとピクルスを挟んでカツレツにしました。ソースはトマトソースを使用しています。

 

アラッシ:いっぱい出来て、今日はカツレツのワールドカップやぁ。

レジェンド:さあ、食べよ。

あまちゃん:いただきま~す。

レジェンド:親方。<豚肉のはさみカツレツ>を明日のランチメニューにします。レシピを書き出して下さい。

親方:それはいいけど、子牛も豚肉も「試作し過ぎやろ!」もう今日の分も無いがな。

このコラムの担当者

小川 寿

このコラムのレシピ

豚肉のはさみ揚げ

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