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【半歩プロの西洋料理】ミモザの花咲くころ
2014年02月26日

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<【半歩プロの西洋料理】ってどんなコラム?>

 

2月になってもまだまだ寒い日が続く今日この頃。フランスもまだ寒い日が続きます。そんな中、フランスでは1月の終わりごろから春の訪れを告げる花が咲き始めます。ミモザの花です。

 

ミモザ

 

ミモザは南仏のコート・ダジュール辺りにたくさん自生していて、車で走っていると南仏の山々に黄色い花を咲かせているのを見ることができます。

ミモザがフランスにやってきたのは19世紀半ばごろ。ミモザの原産地であるオーストラリアから運ばれてきました。そして南仏のこの地域の土壌、気候がミモザと合い、各地で野生のミモザが育ちます。今では、南仏の各地域に「ミモジスト」と呼ばれるミモザ栽培農家がいて、フランス各地の市場へミモザのブーケを出荷しているほど、南仏の春を象徴する花として定着しています。

このコート・ダジュールには「ミモザ街道」と呼ばれる約130kmにもおよぶ街道があり、今でもたくさんの自然が残っていて、野性のミモザを見ることができます。

ミモザ街道

 南仏のミモザ街道の地図。オレンジの線がミモザ街道です。

 

冬から春へと季節が変わる頃、キリスト教の国々では謝肉祭(カーニバル)や復活祭(イースター)といった宗教行事に端を発する祭が続きます。いずれも春の訪れを喜ぶ楽しい行事として知られています。フランスでもこれらの祭りを賑やかに楽しみますが、特に南仏の町では、 春の訪れを告げるミモザにちなんだ「フェット・ドゥ・ミモザFête de Mimosa(ミモザ祭)」が2月に開催され、大いに盛り上がります。

ミモザ街道の出発地点になっているボルム・レ・ミモザBormes les MimosasからグラースGrasseまでの各町々で大小さまざまなお祭りが開催されていますが、もっとも規模が大きく、有名なのはマンドリュー・ラ・ナプールMondelieu-la-Napouleのミモザ祭りではないでしょうか。マンドリュー・ラ・ナプールは「ミモザを知るための8ヶ所」※注1に指定されている町です。この町のお祭りは、毎年地元で栽培されたミモザの花約12トンを使って作られる山車のパレードがあったり、ミモザのブーケや蜂蜜を売る屋台が並んだり、ミス・ミモザコンテストなども開催されます。山車のパレードでは、選ばれたミス・ミモザが花を投げる、といったイベントもあります。その他、夜になるとイルミネーションを使った、昼間とは一味違った幻想的なパレードを見ることができます。

 

ミモザ祭り以外で、この時期に行われる有名なお祭りといえば、ニースNiceの謝肉祭(カーニバル)※注2です。ロッパの三大カーニバルのひとつと言われ、毎年たくさんの人が訪れます。毎年違ったテーマが決められ、テーマに沿った大きな山車(高さ12m、幅3mほど)がたくさん作られ、こちらも昼と夜とパレードが行われます。ニースのカーニバルはとても有名で人気なので、会場となる広場などの観覧席は全席有料の指定席になっています。

 

ニースのカーニバルの夜のパレード

ニースのカーニバルの夜のパレード。暗闇から山車が怪しげに登場します。この年(2011年)のテーマは「地中海の王」でした

 

このニースのカーニバルは歴史も古く、1830年に当時のサルデーニャ王国※注3の国王と王妃のためにパレードが行われたところから始まります。このパレードもカーニバルの始まりを知らせるためでした。その後、1872年まではそれぞれのインスピレーションのままに仮装した大勢の人たちが卵や紙ふぶきなどを投げあうような、羽目をはずして楽しむお祭りとして盛り上がっていました。1873年にニース市の後援をもとに「祭委員会」が初めて作られ、より祭りとしての広がりを作るような企画準備をしていくことになり、現在のような山車のパレード、有料の観覧席など現代的なカーニバルのアイディアが出されたそうです。

 

私は夜のパレードに参加しましたが、きらびやかに光り輝くパレード(というか、ショー?)はとても楽しく見ごたえがありました。さらにみんなが各々仮面をかぶったり仮装したりして、カーニバルグッズとして会場で売られているスプレーや紙ふぶきを買い、知らない人にでもとにかく投げあう!かけ合う!! 最初は衝撃ですが、小さい子供からお年寄りまで笑顔でかけあっていて、自分もかけられるとなぜかやり返したくなる、そんな感じです。

 

カーニバルの最終日には山車が燃やされ、盛大な花火で幕を閉じます。

 

ラスト

ラストはライトで照らされ、紙ふぶきが飛びまくります!

 

 

夏にはたくさんの人が集まることで有名な南仏。冬の間は寒くて人も少なく寂しい感じですが、このにぎやかなお祭りが開催されるとたくさんの人が南仏を訪れ、一瞬寒い冬を忘れさせてくれます。そして「もうすぐ春がやってくる」と人々の心をわくわくさせてくれるのです。

冬のニース

冬のニース。夏には多くの人々でにぎわう海辺のメインストリート「プロムナード・デ・ザングレ」も冬は人がまばら。

 

今回は南仏、特にニースなどでよく食べられるパン、ピサラディエールをご紹介します。イタリアのピッツァに似ていますが、味付けのベースにトマトでなく、甘くなるまで炒めた玉ねぎを使うのが特徴です。アンチョビにオリーブとのせる具材はいたってシンプルですが、南仏を凝縮したような滋味深い味わいとなります。焼き立てのピサラディエールをほおばって、ミモザが咲きカーニバルに浮き立つ早春の南仏に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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注1:ミモザ街道の中にある町で特にミモザが多く、見ごたえのある町が指定されています。マンドリュー・ラ・ナプールの他、ミモザ街道の出発点のボルム・レ・ミモザや香水で有名なグラースなどがあります。

ミモザ街道のHP(フランス語)http://www.beyond.fr/themes/routemimosa.html

 

注2:カーニバルの語源には諸説ありますが、一般的には「肉を取り去る」という意味のラテン語「Carnem Levare」だといわれています。キリスト教の国では日曜を除く40日間の精進潔斎をする前にたっぷりの食事を楽しむ習慣があり、この時期に仮面舞踏会、ダンスなど様々なイベントが同時に開催されていました。

 

注3:18世紀から19世紀にかつて存在した王国。領土は現在のイタリアとフランスにまたがり、サルデーニャ島、ピエモンテ、サヴォワ、ニースを統治していました。

このコラムの担当者

金子 歩

このコラムのレシピ

ピサラディエール

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