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食のコラム&レシピ

【好吃(ハオチー)!中国料理】謎の「一根麺」を食べたいの?

06<中国>好吃(ハオチー)!中国料理!

2010.02.17

<【好吃(ハオチー)!中国料理!】ってどんなコラム?>

塘:今回の担当は増吉先生です。前回の紹介にもありましたが、彼は麺打ちのスペシャリストです。今回はなんと素人でもできる、手打ち麺で面白いものを紹介してくれるということです。それは「一根麺(イーゲンミェン)」という謎の麺です。これは聞くところによると、一本の非常に長い麺だそうです。実に面白そうですよね。それでは、増吉先生よろしく。

増吉:はい、はいわかりました。待ちに待った麺ですね。張り切ってまいります。ところで、「一根麺」とは一つの麺生地を長く長く、非常に長く細く延ばして作ります。日本語で言うと「一本麺」となりますか。普通この麺は、麺の先端をラーメン鉢の縁にかけて置いときます。それをすすると、あれよあれよと口に入っていき、最後までがんばってすするとなくなるというものです。「長寿麺」と呼ぶときもあり、細くとも長い人生を送れるように願いをこめて、おめでたい席でふるまったりします。たまたま旧正月(2010年は2月14日)に近いし、ちょうどいいですね。

塘:なるほど、どんな麺かわかりました。でも、麺を打つのに大きな包丁とか要りそうな気がして大変そうですが、どうでしょうか。
増吉: そうですね。包丁は特に要りません。生地を延ばして麺にしますが、包丁は使わずすべて手を使って延ばします。麺生地も材料は小麦粉と塩と水だけ、あとは要りません。麺台はあってこしたことがありませんが、麺を練れるスペース(きれいなテーブル)があればそれ以上は望みません。ただひたすら捏ねて腰を出すこと。腰が出たらそれを棒状に延ばして渦巻状にし、油の入った容器に入れて生地を休ませる。次は手で少し延ばして別の容器に移し、また生地を休ませる。最後は、手でギュンと延ばして沸騰している湯に投げ入れ、ゆでて出来上がり。

鍋に麺を投入しているところ(増吉先生)

塘:ふ~ん、そうか。そうめんの製造工程と最初のほうは似てるな。まったく手軽とはいかないけれど、面白そう。
増吉:そうですよ。まったく同じです。竹の棒に引っ掛けて延ばせばそうめんになるけど、そこまでなると技術が要りますね。

塘:まぁ、簡単に言うけど。延ばすときに何かコツがあるのかな。
増吉:そうですね。最後に鍋に投入するときの延ばしには微妙な力加減が必要です。右手の引っ張る力が入りすぎるとちぎれるし、力が入ってないとうまく延びない。同時に左の指で麺を挟むのですが、これも挟み加減が重要。挟み方が強いとブチッと切れるし、弱いと滑ってうまく延ばせない。指の引っ掛け方と格好は下の写真を参照してください。

左手の格好。挟むというよりはほとんど添えているといった感じで軽くはさむ

右手の格好。軽く麺を挟む。ギュンと鍋の方向へ投げるよう延ばしていく。

増吉:後はやってみること!これは感覚のものなのでなんとも言えません。でも、誰でも何回かやったら、すぐこつはつかめると思います。くじけずにがんばってください。

塘:おお!まるで職人みたいな言いぐさですね。
増吉:実は一度こんな風に言ってみたかったんですよ。でも、本当のことですよ。やってみないとわからない感覚って料理の世界にはたくさんあります。

塘:そうだな。僕らも調理実習の授業のとき、生徒に対して「怖がらずに失敗してもいいからやってみな」とか言うときもある。成功し続ける人はいない。失敗してこそ人は伸びる。うむ、うむ。

増吉:おお!今回のコラムはちょっと哲学。
塘:そうでしょう。ちょっとは見直したか?わっはっは(大笑い)。
増吉:それを言わなきゃ見直したのに・・・。

<コラム担当者>

土佐の麺吉 増吉 雄樹

<このコラムのレシピ>
一根麺の中華風つけ麺

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