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【独逸見聞録】リキュールの種類 ~リキュール(其の弐)~
2010年03月30日

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<【独逸見聞録】ってどんなコラム?>

リキュールには様々な種類がある。
日本では、香味成分のタイプによって、「果実系リキュール」、「香草・薬草系リキュール」、「ナッツ・種子系リキュール」、「特殊系リキュール」の4種類に大別されることが多い様である。
今回は、添加材料によって、果物から造られた「フルフトリキューァ」、卵や乳製品を利用した「エムルジョンリキューァ」、薬草や香辛料を用いた「クロイターリキューァ」を中心に紹介する。


薬草や香辛料を用いたリキュール

★フルーツリキュール(Fruchtlikör:フルフトリキューァ)
この項目には、フルーツジュースを添加した「フルフトザフトリキューァ」や、フルーツを浸け込んだ「フルフトアンザッツリキューァ」も含まれている。

◆フルフトザフトリキューァ(Fruchtsaftlikör)
フルフトザフトリキューァは、そのリキュールの名前の元となった果物の果汁を、最低20%含まなければならない。実際には、25~30%の果汁が使用されることが多い。
他の果物の果汁や、天然香料の添加は認可されているが、色素については、原則的に認められていない。合成香料の添加も、同様に認可されていない。
規定によると、パイナップル(Ananas:アナナス)、クロイチゴ(Brombeere:ブロムベーァレ)、イチゴ(Erdbeere:エァトベーァレ)、サクランボ(Kirsche:キルシェ)、フサスグリ(Johannisbeere:ヨハニスベーァレ)、コケモモ(Heidelbeere:ハイデルベーァレ)とキイチゴ(Himbeere:ヒムベーァレ)から造られるフルフトザフトリキューァは、25%vol.以上のアルコール分を含まなくてはならない。
製品名の元となった果物の挿絵を、ラベルに使用することは許可されている。

◆フルフトリキューァ(Fruchtlikör)
通例では果汁の割合が、製品の20%以下である。このリキュールの香りは、果汁や果肉、抽出液から成り立っている。

◆フルフトアンザッツリキューァ(Fruchtansatzlikör)
フルフトアンザッツリキューァは、蒸留酒などのアルコールと砂糖に、果物を浸け込むことによって造られる。果物は、元の大きさのままだったり、細かく切ったりと、その種類に応じて使い分けられる。使用する果物の割合については、特に決められていない。
このリキュールは、主として家庭での製造の枠内に留まるが、果物農家や、若干の規模の小さな蒸留所でも製造されている。

★乳化リキュール(Emulsionslikör:エムルジョンスリキューァ)
乳化リキュールのグループに属するのは、「アイァーリキューァ(卵)」、「ザーネリキューァ(生クリーム)」や「ミルヒリキューァ(牛乳)」、「ショコラーデンリキューァ(チョコレート)」などである。
エムルジョンスリキューァは、濃い液状からペースト状であるが、澱粉やシロップによって濃度を付けることは禁じられている。また、法律で決められている最低量の20%vol.以上のアルコールを含まなくてはならない。


マジパンのリキュール(左)と卵のリキュール(右)

◆アイァーリキューァ(Eierlikör)
アイァーリキューァは、「アドヴォカート(Advocaat)」とも呼ばれ、乳化リキュールに属する。
農産物から造られたエチルアルコール、出来上がり製品1リットル当たり140g以上の卵黄、150g以上の砂糖、また蜂蜜から構成されている。アルコール含有量の最低基準は14%vol.で、リキュールの一般基準値よりも低い。
乾燥卵黄や化学処理された卵黄の使用は認められておらず、低温殺菌、または冷凍卵黄から製造される。卵白や全卵、生クリームや牛乳の添加は認められている。
傷み易いので、開封後は冷蔵庫で保管する。

●アイァーヴァインブラント(Eierweinbrand)
上記のアイァーリキューァと、ほぼ同様の規定が通用する。ただ使用するアルコールについては、100%ワインの蒸留酒(Weinbrand:ヴァインブラント)でなければならない。ワインの蒸留酒を使用した場合には、「アイァーヴァインブラント」とラベルに記載することができる。

●リキューァ・ミット・アイツーザッツ(Likör mit Eizusatz)
一つの例外を除いて、アイァーリキューァと同様の規定が通用する。この製品は、1リットル当たり最低70gの卵黄を含有している。

●アイァーコクテール(Eiercocktail)
これは、味覚上の理由により、製品1リットル当たり、最低70gの卵黄を含有しているリキュールである。「コクテール」という概念について詳しい規定はなく、色々な種類のリキュール状の製品に対して使用されている。
アイァーコクテールを基礎として造られ、色々な味の特徴(マジパン、フルーツ、ワイン、ナッツの風味など)を持っていて、様々な色で販売されている。


復活祭前のこの時期には、チョコレート菓子のフィリングとして、
また、ソース代わりとして、果物やアイスクリームと合わせれば、簡単にデザートにも活用できる

◆生クリームのリキュール、牛乳のリキュール
(Sahnelikör, Milchlikör:ザーネリキューァ、ミルヒリキューァ)
ザーネリキューァとミルヒリキューァは、乳化リキュールの一種である。
生クリーム中の乳脂肪分は10%以上でなければならず、その使用量は「ザーネリキューァ(Sahnelikör)」では製品の15%以上、「リキューァ・ミット・ザーネ(Likör mit Sahne)」の場合には10%以上と決められている。

◆チョコレートリキュール(Schokoladenlikör:ショコラーデンリキューァ)
ショコラーデンリキューァは、生クリーとチョコレート、またはチョコレートパウダーを添加した乳化リキュールである。アルコールの基礎部分になるのは、ワインの蒸留酒(Weinbrand:ヴァインブラント)、コニャック(Cognac:コーニャック)、またはラム酒(Rum:ルム)である。
大抵20~25 %vol.のアルコールを含有し、製品1リットル当たり220g以上のチョコレートを含んでいる。

★クリーム・リキュール(Creme-Likör:クレーム・リキューァ)
例えば「ブロムベーァ・クレームリキューァ」の様に、該当する果物の名称が付けられている「クレーム」の呼称を持つリキュールでは、最低糖分含有量が、1リットル当たり250gである。
「カシス・クレーム(クロスグリのリキュール)」の場合のみ、糖分含有量が1リットルにつき400g以上と定められている。
例外は、牛乳または乳製品を添加した製品で、「クレーム」の名を持つこともあるが、それらは、製品1リットル当たり250gの最低糖分含有量という法則には縛られていない。

★カカオ~、カフェ~、ティーリキュール
(Kakao-, Kaffee-, Teelikör:カカオ~、カフェー~、テーリキューァ)

1リットルの「カカオリキューァ」には、40~60gのカカオ豆、「カフェーリキューァ」には、50~60gの焙煎したてのコーヒー豆が使われている。
また、「テーリキューァ」には、製品1リットル当たり30~50gの紅茶が使用される。

★薬草・香辛料のリキュール
(Kräuterlikör, Gewürzlikör:クロイターリキューァ、ゲヴュルツキューァ)

このグループに属するリキュールは、植物や果物からの抽出液や、天然香料、芳香油などから成り立っている。専門用語では、根、樹皮、種子、外皮、果実、花、香草、樹脂など植物の一部は、「生薬(Droge:ドローゲ)」と呼ばれ、特別な製法によって成分を抽出される。同単語には、「麻薬」という意味もあるが、ここでは全く無関係である。

薬草エキスによる苦味から、「ビッターリキューァ(Bitterlikör)」とも呼ばれている。また、このグループには、各地の修道院で発達した「クロースターリキューァ(Klosterlikör)」も属する。中世末期頃、医者や修道士達によって、治療薬として製造され始めた。先ず、薬草の抽出液をアルコールに溶かすことによって、保存期間の延長が試みられた。薬草は大抵苦味が強かったので、蜂蜜や砂糖を添加してこれを和らげ、飲用に適する工夫が重ねられた。その後も修道院は、各地でリキュール製造の発展において、指導的な役割を果たしていった。


食後に飲まれる代表格のクロイターリキューァで、どちらも20mlの小瓶。
キュマーリング(左)とウンダーベルク(右)

クロイターリキューァは、食欲を刺激し、消化を促進する効果があると言われている。食後酒として好んで飲まれたり、ロングドリンクの構成要素となったりしている。
薬草を使用していると言っても、所詮「医薬品」ではなく「嗜好品」である。売り上げ向上のために、あからさまな健康促進効果を示唆する記述を、ラベルに記載することについては禁止されている。
「マーゲンリキューァ(Magenlikör)」や「マーゲンビッター(Magenbitter)」などの名称の表示については、認可されている(マーゲンは直訳すると「胃」のこと)。
これらのリキュールついて、「薬局中の薬棚を網羅した(quer durch die Apotheke)」様な味だと主張する人達もいる。「言い得て妙」な表現である!

エレファンテンガイスト(Elefantengeist)という名のクロイターリキューァ。51%vol.という高いアルコール度数で、専用の小さな陶製の容器に入れて火を点け、熱くなったら火を消して飲む。火傷に注意!

<コラムの担当者>
Kimiko Kochs

<バックナンバーはこちら(2005年6月~2009年6月>

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