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【独逸見聞録】ブロートの販売重量と保管方法 ~大型パン(其の参)~
2012年03月28日

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【独逸見聞録】ってどんなコラム?

以前にも紹介したが、ドイツでは対面販売のパン屋が圧倒的に多い。そこで交わされる会話に良く出てくるのが、「プフント(Pfund)」である。単位記号は「lb」で、500gの短縮形として用いられる。秤などの計測装置の目盛りは、グラムやキログラムで書かれていて、公式単位としては使用されていない。今回は、ブロートの販売重量と、家庭での保管方法について紹介する。

★ブロート重量(Brotgewicht)
切り分けずに、丸ごと販売される「ブロート(Brot)」の重量は、250g以上と決められている。従って、重量が250g以下のチャバッタ(Ciabatta)やフラーデンブロート(Fladenbrot)などは、ブロートではなく、「クラインゲベック(Kleingebäck)」に分類される。

ブロートの重量に、法律による定義は存在せず、任意の重量で製造、販売することが許されている。規定がある訳ではないが、顧客にとって一読で理解できる様に、販売の際には統一された重量で提供される。一般のブロート重量は、500g、750g、1000g、1250g、1500g、2000gである。ボリュームの大きなヴァイツェンブロート(Weizenbrot)の重量は、大抵の場合250~500gである。

大きなブロートは、半割りまたは四等分にして、販売することもできる。売り場に置いてある、価格計算機能付きの電子秤でブロートを量り、実際の重量に換算し直して販売する。

★ブロートの重量表示(Gewichtskennzeichnung der Brote)
ブロート重量は、容易に認識し、明確に読み取れる様に提示しなければならない。

◆包装されていないブロート(Unverpackte Brote)
通常、ブロートは丸ごとの状態で、包装されずに提供されている。この場合には、「ブロートレガール(Brotregal)」と呼ばれる販売用の棚に、重量表示付きの価格票(Preisschild:プライスシルト)を掲示する。または、直接ブロートの上に、専用のラベル(Etikett:エティケット)を貼ったり、帯(Banderole:バンダロレ)を巻いたりする。丸ごと購入する場合には、紙で包んだり、紙袋に入れたりする。スライスを希望する場合は、切り口からの乾燥を防ぐために、小さな空気穴が数箇所開いたビニール袋に入れてクリップで留める。
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何れも500gのヴァイツェンミッシュブロート。
左は、丸ごと購入した場合で、紙袋に入れられている。
右は、専用の機械でスライスした後、空気穴の開いたビニール袋に入れたもの。

◆包装済みのブロート(Brote in Fertigpackungen)
事前にスライスされたブロート(Schnittbrot:シュニットブロート)は、丸ごとのブロートと比べて、小さな重量単位で提供することが許されている。通常は125g、250g、500gで、包装を含まない正味重量である。包装済みのブロートでは、ブロート重量がその他の必要記載事項と共に、包装の上に、表示されていなければならない。

★ブロートの重量コントロール(Gewichtskontrolle bei Broten)
販売の際に表示されたブロートの公称重量(Nenngewicht:ネンゲヴィヒト)との誤差は、度量衡法(Eichgesetz:アイヒゲゼッツ)で定められていて、僅かに下回っている場合にのみ許されている。時間経過に伴って、乾燥が進むと誤差が大きくなるため、食品検査官による重量検査の際には、新鮮なブロートを用いることになっている。

ブロート製造過程において、発酵や焼成などによる重量損失(その大部分は水分)を「ゲヴィヒツフェァルスト(Gewichtsverlust)」と呼ぶ。例えば、ブロートの焼き上げ重量を500gに設定した場合、損失分を予め加算しなければならないので、約600gの生地重量(Teiggewicht:タイクゲヴィヒト)が必要とされる。それでも、誤差なく正確に焼き上げるのは困難である。実際には「公称重量」よりもやや重めに焼かれることが多いが、大幅に下回ることがない様に、コントロールが必要とされる訳である。

 表示されたブロートの公称重量     下方に許可された誤差の最高値   
100g ~ 200g (Schnittbrot) 9%
200g ~ 300g 18g
300g ~ 500g 6%
500g ~ 1000g 30g
1000g ~ 10000g 3%

 

 予定重量(Sollgewicht)     最低重量(Mindestgewicht)
125g 113g (Schnittbrot)
250g  232g 
500g 470g
750g 720g
1000g 970g
1250g 1212g
1500g 1455g
2000g 1940g

 

★ブロートの新鮮さを保つ方法(Frischhaltung der Brote)
最適な保存状態の場合、ブロートの種類によって、以下の様に新鮮さが保たれる。
ヴァイツェンブロート、ヴァイスブロート(Weizenbrot, Weißbrot):   2日
ヴァイツェンミッシュブロート(Weizenmischbrot):   2~3日
ロッゲンミッシュブロート(Roggenmischbrot):   3~4日
ロッゲンブロート(Roggenbrot):   4~6日
シュロートブロートとフォルコルンブロート(Schrot- und Vollkornbrot): 1週間まで

1.ブロート中のライ麦の割合が高い程、長く新鮮な状態が保たれる。
2.サワー種を使用して製造されたブロートは、人工的な酸味添加剤を使用したブロートよりも長く新鮮な状態が保たれる。
3.一番長く新鮮な状態が保たれるのは、外皮部分を多く含むシュロートブロートやフォルコルンブロートである。

◆ブロート用スライサー(Brotschneidemaschine)
多くのパン屋(Bäckerei:ベッケライ)には、ブロートシュナイデマシーネ(Brotschneidemaschine)と呼ばれる専用スライサーが設置されているので、好みのブロートを選んで、その場で切って貰うことも可能である。スライスの際、厚みについて顧客から特別な希望や指示がない限り、以下の様に切られる。ヴァイツェンミッシュブロートなど、小麦粉の割合の高いブロートは厚めに、ロッゲンミッシュブロートやロッゲンブロート、その他の穀物や種子を混ぜ込んだブロートは薄めに、シュロートブロートやフォルコルンブロートは薄くスライスされる。
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業務用のブロートシュナイデマシーネ(製菓・製パンの見本市で撮影)

但し、長期保存の観点から言うと、丸ごとのブロートを購入して、必要な分だけその都度家庭でスライスするのが好ましい。台所用品売り場に行くと、手動、または電動のスライサーが沢山揃っている(安価な製品は20ユーロ前後から)。このことからも、一般家庭での使用頻度が高いことが窺える。
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ギロチン方式の手動スライサー。

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電動スライサーは、ブロートだけに限らず、ハムやソーセージなどの肉加工品やチーズにも使えるので、万能スライサー(Allesschneider:アレスシュナイダー)とも呼ばれる。

★家庭におけるブロートの保管(Aufbewahrung der Brote im Haushalt)
最適な保管方法を取ることによって、ブロートの保存期間は長くなる。ブロートは、基本的には室温で保管する。最適な温度は18℃前後であるが、温度と湿度が一定に保たれている場所を選ぶことが大切である。また、通気性が悪く、機密性の高い容器は向いていない。ブロートの風味の劣化、並びにデンプンの老化過程が、一番速く進む温度は0~5℃なので、冷蔵庫(Kühlschrank:キュールシュランク)内で保管してはならない。数日中に消費し切れないと判断した場合は、ブロートが新鮮な間に、ビニール袋に入れて冷凍することも可能である。
家庭において、一番長くブロートを新鮮に保つことができるのは、「ブロートトップフ(Brottopf)」である。余分な水分を奪い、必要な水分を戻す役割を担い、ブロートを黴(Schimmel:シムメル)から守るのに適している。土器、陶器、炻器(せっき)などで、素焼きのまま、または釉薬が施されたものがある。丸形の他、楕円形や長円形もあるので、購入する頻度の高いブロートの形に合わせると良い。側面にある小さな丸い穴によって、必要な換気を行うことができる。
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1000gのヴァイツェンミッシュブロートも問題なく納まるサイズのブロートトップフ。底の部分が、すのこ状になっていて、側面に数箇所、空気穴が開いている。

「ブロートカステン(Brotkasten)」と呼ばれる箱状の容器を、ブロートの保管に使用する家庭も多い。その素材は、金属やプラスティック、または木製で、側面や蓋などに、換気のための小さな空気穴が開けられている。
何れを使用する場合も、ブロート保管容器を清潔に保つことが重要である。古くなったパンや、パン屑(Krümel:クリューメル)を長期間放置せず、容器を定期的に薄めた酢で拭くことによって、黴の繁殖を防止する。

このコラムの担当者

Kimiko Kochs

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