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【独逸見聞録】 クラインゲベックの定義 ~小型パン(其の壱)~
2012年07月04日

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【独逸見聞録】ってどんなコラム?
朝の食卓に欠かすことができない小型パン(Brötchen :ブレートヒェン)。
ハムやチーズなどを挟んでサンドイッチにしたり、屋台で販売される焼きソーセージに添えられたりと、小型パンの活躍の場は非常に広い。
ドイツ語圏では、小麦粉を主体とした「ヴァイツェンブレートヒェン」と並んで、ライ麦粉や他の穀物を使用した「メーァコルンブレートヒェン」や、焼成前に水酸化ナトリウムの溶液を潜らせた「ラウゲンゲベック」などもあり、多種多様である。
今回は、「クラインゲベック(Kleingebäck)」の定義と、流通上の名称(分類名)について紹介する。

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クラインゲベック(小型パン)各種。

 

★クラインゲベックの定義
クラインゲベック(Kleingebäck:小型パン)は、特例を除いて、ブロートへの要求がそのまま適用される。重量の90%の穀物または穀物製品に対して、含まれる油脂や砂糖などの糖分は、重量の10%以下でなければならず、その個々の重量は250gを超えてはならない。但しその範囲内であれば、任意の重量で製造、販売することが許されている。
ブレートヒェン(Brötchen)と呼ばれる一般的な食卓用小型パンは勿論、チャバッタ(Ciabatta)やフラーデンブロート(Fladenbrot)、ゼーレ(Seele)なども、この「クラインゲベック」に分類される。

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左は、オリーブオイルを使用したチャバッタ(Ciabatta)。
右は、表面に塩(Salz:ザルツ)とキャラウェイの実(Kümmel:キュンメル)を振ったゼーレ(Seele)。

 

★クラインゲベックの種類
「ドイツ食品便覧(Deutsches Lebensmittelbuch:ドイチェス・レーベンスミッテルブッフ)」に収録されている、「大型と小型パンの指導原則(Leitsätze für Brot und Kleingebäck:ライトゼッツェ・フュァ・ブロート・ウント・クラインゲベック)」で取り上げられている基準や指導要綱を中心に、小型パンについて紹介する。主に、配合や使用材料による分類で、その基準の大部分は大型パンに準ずる。

  

◆ヴァイツェンブレートヒェン(Weizenbrötchen)

ヴァイツェンブレートヒェンは、最低でも90%の小麦粉から製造されている。 
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形や大きさの異なるヴァイツェンブレートヒェン。

 

◆ヴァイツェンミッシュブレートヒェン(Weizenmischbrötchen) 

ヴァイツェンミッシュブレートヒェンは、51~89%の小麦粉から製造されている。

 

◆ロッゲンブレートヒェン(Roggenbrötchen)
ロッゲンブレートヒェンは、最低でも50%のライ麦粉から製造されている。

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ロッゲンブレートヒェン。

 

◆ヴァイツェンフォルコルンブレートヒェン(Weizenvollkornbrötchen)
ヴァイツェンフォルコルンブレートヒェンは、最低でも90%の小麦全粒製品から製造されている。

 

◆フォルコルンブレートヒェン(Vollkornbrötchen)
フォルコルンブレートヒェンは、ライ麦全粒製品と小麦全粒製品を任意の比率で合わせたものを、最低でも90%使用している。
ヴァイツェンロッゲンフォルコルンブレートヒェン(Weizenroggenvollkornbrötchen)は、最低でも50%以上の小麦全粒製品から製造されている。

 

◆ヴァイツェンシュロートブレートヒェン(Weizenschrotbrötchen)
ヴァイツェンシュロートブレートヒェンは、最低でも90%の粗挽き小麦から製造されている。

 

◆シュロートブレートヒェン(Schrotbrötchen)
シュロートブレートヒェンは、粗挽きライ麦と粗挽き小麦を任意の比率で合わせたものを、最低でも90%使用している。
ヴァイツェンロッゲンシュロートブレートヒェン(Weizenroggenschrotbrötchen)は、最低でも50%以上の粗挽き小麦から製造されている。

 

◆トーストブレートヒェン(Toastbrötchen)
トーストブレートヒェンは、最低でも90%の小麦粉から製造されている。
ヴァイツェンフォルコルントーストブレートヒェン(Weizenvollkorntoastbrötchen)は、最低でも90%の小麦全粒製品から製造されている。
ヴァイツェンミッシュトーストブレートヒェン(Weizenmischtoastbrötchen)は、51~89%の小麦粉から製造されている。フォルコルントーストブレートヒェン(Vollkorntoastbrötchen)は、小麦全粒製品とライ麦全粒製品を任意の比率で合わせたものを、最低でも90%使用している。

 

◆メーァコルンブレートヒェン、ドライコルンブレートヒェン、フィーァコルンブレートヒェンなど
(Mehrkornbrötchen, Dreikornbrötchen, Vierkornbrötchen usw.)
メーァコルンブレートヒェンは、最低でも1種類の製パン用穀物と、もう1種類の別の穀物、合わせて3種類か、それ以上に相当する種類の穀物から製造される。それぞれの穀物を最低でも5%含まなければならない。

 

◆その他の穀物を用いた特殊な小型パン(Spezialbrötchen mit anderen Getreidearten)
小麦、ライ麦、ディンケル(スペルト小麦)などの製パン用穀物(Brotgetreide:ブロートゲトライデ)以外の穀物を使用した小型パン。名前の由来となる穀物は、最低でも20%含まれなければならない。
ハーファー(Hafer:カラスムギ)、ゲァステ(Gerste:大麦)、マイス(Mais:トウモロコシ)、ヒルゼ(Hirse:キビ)、ライス(Reis:ライス)またはブッフヴァイツェン(Buchweizen:ソバ)など。

 

◆ディンケルブレートヒェン、トリティカーレブレートヒェン(Dinkelbrötchen, Triticalebrötchen)
ディンケルブレートヒェン、トリティカーレブレートヒェンは、最低90%のディンケル(スペルト小麦・古代穀物)、またはトリティカーレ(ライ小麦・ライ麦と小麦の交配種)製品から製造されている。
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左は、ディンケルブレートヒェンで、表面についているのはハーファーフロッケン(Haferflocken)。
上は、フォルコルンブレートヒェン。右は、キュルビスケァンブレートヒェン。
 
◆特別な材料を用いた特殊な小型パン(Spezialbrötchen mit besonderen Zutaten)
通常の製パン材料に、植物性または動物性の材料を添加した小型パンである。これらの材料をパンの名称に用いる場合には、必要最低量が定められている。
・植物の種子など、植物性の材料を用いた小型パン
ラインザーメン(Leinsamen:亜麻の種子)、ゾネンブルーメンケァン(Sonnenblumenkern:ヒマワリの種)、キュルビスケァン(Kürbiskern:カボチャの種)などの植物の種子、ヴァルヌス(Walnuss:クルミ)、ハーゼルヌス(Haselnuss:ヘーゼルナッツ)などのナッツ類を小型パンの名称に用いる場合には、100kgの穀物粉に対して8kg以上使用する。
ヴァイツェンカイム(Weizenkeim:小麦胚芽)やゾーヤ(Soja:大豆)、クライエ(Kleie:食用のフスマ)などの最低使用量は、100kgの穀物粉に対して10kgである。
同様に、ロジーネン(Rosinen:干しブドウ)またはスルターニエン(Sultanine:淡色で大粒の種なし干しブドウ)、コリンテン(Korinthen:種なしで小粒の干しブドウ)などの使用量は、100kgの穀物粉に対して15kg以上と決められている。
・乳製品など、動物性の材料を用いた小型パン
ミルヒブレートヒェンには、100kgの粉に対して、50リットル以上のミルヒ(Milch:牛乳)が使用される。フォルミルヒプルファー(Vollmilchpulver:全脂粉乳)を使用する場合には、乳脂肪3,5%の牛乳の成分と同等以上になる様に置き換える。
ブッターブレートヒェンには、100kgの粉に対して、5kg以上のブッター(Butter:バター)が使用される。この場合、バター以外の油脂の使用は認められていない。
また、ヨーグルト(Joghurt:ヨーグルト)やザウアーミルヒ(Sauermilch:酸味のある発酵乳)、バターを作る際にできる副産物で、軽い酸味がある発酵乳飲料のブッターミルヒ(Buttermilch)を使用する場合には、100kgの粉に対して、15リットル以上と決められている。
クヴァーク(Quark)は、凝乳のままで熟成させないフレッシュチーズである。100kgの穀物粉に対しての使用量は、10kg以上と決められている。

 

◆モーンブレートヒェン、ゼーザムブレートヒェン(Mohnbrötchen, Sesambrötchen)
小型パンの表皮上面を、モーン(Mohn:ケシ)やゼーザム(Sesam:ゴマ)などの含油率の高い種子類(Ölsamen:エールザーメン)が、覆っていなければならない。
因みに、ケシは「黒」、ゴマは「白」がこちらでは一般的で、白ケシや黒ゴマを見掛ける機会は殆ど無い。

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モーンブレートヒェンとゼーザムブレートヒェン。

 

◆キュンメルブレートヒェン、ツヴィーベルブレートヒェン(Kümmelbrötchen, Zwiebelbrötchen)
キュンメル(Kümmel:キャラウェイの実)や、ツヴィーベル(Zwiebel:タマネギ)の味や風味が、明確に主張されていること。

 

◆ラウゲンゲベック(Laugengebäck)
ラウゲンブレーツェル(Laugenbrezel)、ラウゲンブレートヒェン(Laugenbrötchen)やラウゲンシュタンゲ(Laugenstange)などのラウゲンゲベックは、最低でも50%の小麦粉から製造されている。
通常、生地に砂糖は添加されない。成形されたパン生地の外側は、焼成前に、ナトロンラウゲ(Natronlauge)溶液で処理される。この水酸化ナトリウム(Natriumhydroxid=NaOH)溶液の濃度は、4%を超えてはならない。

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左は、ラウゲンゲベックの集合写真。
右は、ナトロンラウゲン(液体)の容器のラベル。

このコラムの担当者

Kimiko Kochs

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