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【独逸見聞録】シュトレン ~ファイネ・バックヴァーレン(其の参)~
2014年04月02日

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<【独逸見聞録】ってどんなコラム?>


膨張剤としてイースト(Hefe:ヘーフェ)を使用した発酵生地の中でも、油脂(Fett:フェット)の割合が非常に高く、それに伴うように砂糖や卵などの副材料も多いものを「重いヘーフェタイク(schwerer Hefeteig:シュヴェァラー・ヘーフェタイク)」と呼ぶ。
今回は、シュトレン(Stollen)を中心とした、油脂や副材料の多い発酵菓子について紹介する。

★ヘーフェタイクとその分類
へーフェタイクは、場合によっては「ヘーフェファインタイク(Hefefeinteig)」とも呼ばれる。
基本材料は、小麦粉、牛乳、イースト、砂糖、バターまたはマーガリン、卵(場合によっては卵黄)、塩とヴァニラやレモンなどの香料である。

油脂の配合率によって、『軽い』、『中間の重さ』、そして『重い』ヘーフェタイクに分類される。
1000g の粉に対しての油脂量が、軽いヘーフェタイクの場合100~150g、中間の重さのヘーフェタイクでは150~250g、重いヘーフェタイクの場合は250~500gである。
この油脂の割合は、実践からの経験値に基づいていて、指導原則の中では規制されていない。

★シュヴェァラー・ヘーフェタイク(Schwerer Hefeteig)
重いヘーフェタイクでは、1000g の粉に対しての油脂量が250~500gと非常に多く、それに伴って砂糖や卵の割合が高いものも多い。生地の繫がりは脆くて、香りが良く、比較的長い間新鮮さが保たれる。
この生地から作られる発酵菓子の代表的なものは、様々な種類の「シュトレン(Stollen)」である。ドイツ北部で焼かれることの多い、大型の発酵菓子「ブレーマー・クラーベン(Bremer Klaben)」や、復活祭の時期に作られる「オースターブロート(Osterbrot)」も、この重いヘーフェタイクから作られる。
「グーゲルフップフ(Gugelhupf)」は、重いヘーフェタイクの中でも、卵の配合が多くて柔らかいために、捏ねるのではなく混ぜる「ゲリューァター・ヘーフェタイク(Gerührter Hefeteig)」に分けられる。卵とバターの割合が高い、フランスの「ブリオッシュ(Brioche)」もこの項目に分類される。


★シュトレンの種類
「ドイツ食品便覧(Deutsches Lebensmittelbuch:ドイチェス・レーベンスミッテルブッフ)」に収録されている「ファイネ・バックヴァーレンの指導原則(Leitsätze für Feine Backwaren:ライトゼッツェ・フュァ・ファイネ・バックヴァーレン)」の中に、シュトレンの種類とその配合について、以下のような記述がある。

基本となるシュトレン(Stollen)は、100kgの穀物製品と/またはデンプンに対して、最低でも30kgのバター(Butter:ブッター)、またはそれに相当する量の乳脂肪製品か、マーガリン(Margarine:マーガリーネ)、またはそれに相当する量の無水油脂を含まなければならない。
同様にズルタニーネン(Sultaninen:淡色で大粒の種なし干しブドウ)、またはコリンテン(Korinthen:種なしで小粒の干しブドウ)などのロジーネン(Rosinen:干しブドウ)、加えてレモンピール(Citronat /Zitronat:ツィトロナート)やオレンジピール(Orangeat:オランジャート)など、最低でも60kgのドライフルーツ(Trockenfrüchte:トロッケンフリュヒテ)も含まなくてはならない。
ピーナッツやその他のマメ科植物の種子を使用することは、通例ではない。

それぞれのシュトレンの種類によって、上記の条件に更に要求が加わる。

☆クリストシュトレン(Christstollen)
殊の外クリスマス時期に流通する、特徴的な形のシュトレンで、長期保存が可能である。

生地に投入する前のドライフルーツとアーモンドを混ぜたもの。 捏ね上がった生地
左:生地に投入する前のドライフルーツとアーモンドを混ぜたもの。
右:捏ね上がった生地。

生地を分割した後、軽く丸める 生地を分割した後、軽く丸める
生地を分割した後、軽く丸める。

生地を分割した後、軽く丸める 生地を分割した後、軽く丸める
成形して型に詰め、発酵させて焼き上げる。

溶かしバターに浸けて、表面に砂糖をまぶす 冷めてから、表面全体に粉砂糖を振る
溶かしバターに浸けて、表面に砂糖をまぶす。冷めてから、表面全体に粉砂糖を振る。

乾燥を防ぐために、フォイルに包み、販売用にはリボンをかける 食べる際には、8~10mmの厚さに切る
左:乾燥を防ぐために、フォイルに包み、販売用にはリボンをかける。
右:食べる際には、8~10mmの厚さに切る。


☆マルツィパンシュトレン(Marzipanstollen)
マジパンローマッセ(Marzipanrohmasse:マルツィパンローマッセ)の割合が、最低でもシュトレン生地重量の5%でなければならない。ペルジパンローマッセの使用は認められていない。マルツィパンシュトレンは、マジパンローマッセが中央部に入っている。成形時に、伸ばしたシュトレン生地で、棒状のマジパンローマッセを包み込む。

☆ペァルジパンシュトレン(Persipanstollen)
ペルジパンローマッセ(Persipanrohmasse:ぺァルジパンローマッセ)の割合が、最低でもシュトレン生地重量の5%でなければならない。

*「マジパンローマッセ」と「ペルジパンローマッセ」の相違
「マジパンローマッセ」は、皮を剥いたアーモンド(Mandel:マンデル)を砂糖と合わせ、ローラーで挽いて加工する。
<配合規定 砂糖/35%以下、水分/17%以下、脂肪分/28%以上>

「ペルジパンローマッセ」は、皮を剥き、苦味を取り除いたビターアーモンド(Bittermandel:ビターマンデル)、アプリコットやモモの種を砂糖と合わせ、ローラーで挽いて加工する。
マルツィパンローマッセと混同されないように、識別のため0,5%のデンプンが添加されている。

<配合規定 砂糖/35%以下、水分/20%以下、添加デンプン/0,5%>


☆ブッターシュトレン(Butterstollen)
ブッターシュトレンは、100kgの穀物製品と/またはデンプンに対して、最低でも40kgのバターまたは、それに相当する量のブッターラインフェット(32,8kg)と/またはブッターフェット(34,4kg)のみを含む。その他の油脂の使用は、認められていない。
そして最低でも70kgのドライフルーツ、加えてレモンピールやオレンジピールを含まなければならない。このドライフルーツの内10kgまでは、アーモンドと/またはそれに相当する量のマジパンローマッセに置き換えることも可能である。
ペルジパンの添加は、通例ではない。

*「ブッター(Butter)」、「ブッターフェット(Butterfett)」「ブッターラインフェット(Butterreinfett)」の相違
通常、バター(Butter)は82%以上の脂肪分と、16%以下の水分を含んでいる。それに対してブッターフェット(Butterfett)は96%、ブッターラインフェット(Butterreinfett)は99,8%と、脂肪分の割合が非常に高い。またブッターラインフェットは、ブッターシュマルツ(Butterschmalz)の異名を持つ。

☆マンデルシュトレン(Mandelstollen)
マンデルシュトレンは、100kgの穀物製品と/またはデンプンに対して、最低でも20kgのアーモンドを含まなければならない。
ドライフルーツ、加えてレモンピールやオレンジピールを添加することもできる。
ペァルジパンの添加は、通例ではない。

☆モーンシュトレン(Mohnstollen)
モーンシュトレンは、100kgの穀物製品と/またはデンプンに対して、最低でも20kgの黒ケシ(Mohn:モーン)を含まなければならない。この際、一般に市販されている黒ケシの水分含有量が基準となる。
ドライフルーツ、加えてレモンピールやオレンジピールを添加することもできる。
通常、黒ケシはフィリングに加工される。大抵の場合、生地をシート状に伸ばし、フィリングを塗り広げて巻き込み、型に入れて焼く。

フィリングを塗り広げて巻き込み、型に入れて焼いたモーンシュトレン フィリングを塗り広げて巻き込み、型に入れて焼いたモーンシュトレン
フィリングを塗り広げて巻き込み、型に入れて焼いたモーンシュトレン。


☆ヌスシュトレン(Nussstollen)
ヌスシュトレンは、100kgの穀物製品と/またはデンプンに対して、最低でも20kgのナッツ(Nuss:ヌス)を含まなければならない。ヘーゼルナッツ(Haselnuss:ハーゼルヌス)やクルミ(Walnuss:ヴァルヌス)などのナッツ類は、通常細かく刻んで、フィリングに加工される。

フィリングを塗り広げて巻き込み、型に入れて焼いたヌスシュトレン フィリングを塗り広げて巻き込み、型に入れて焼いたヌスシュトレン
フィリングを塗り広げて巻き込み、型に入れて焼いたヌスシュトレン。


☆クヴァークシュトレン(Quarkstollen)
クヴァークシュトレンは、100kgの穀物製品と/またはデンプンに対して、最低でも20kgのバター、それに相当する量の乳脂肪製品かマーガリン、またはそれに相当する量の無水油脂を含まなければならない。
同様に、最低でも40kgのシュパイゼクヴァーク(Speisequark)または、それに相当する量のクヴァーク乾燥製品を含まなければならない。
ドライフルーツ、加えてレモンピールやオレンジピールを添加することもできる。

シュパイゼクヴァーク(Speisequark)は、凝乳のままで熟成させないフレッシュチーズ(Frischkäse:フリッシュケーゼ)である。
熱処理された牛乳(Milch:ミルヒ)、生クリーム(Sahne:ザーネ)、脱脂乳(entrahmte Milch:エントラームテ・ミルヒ)から製造され、様々な脂肪分のクヴァークが流通している。

焼成後に、溶かしバターを塗って砂糖をまぶしたクヴァークシュトレン 焼成後に、溶かしバターを塗って砂糖をまぶしたクヴァークシュトレン
焼成後に、溶かしバターを塗って砂糖をまぶしたクヴァークシュトレン。


☆ドレスドナー・シュトレン(Dresdner Stollen)
ドレスドナー・シュトレンは、100kgの穀物製品と/またはデンプンに対して、最低でも32,4kgの無水油脂(その内50%以上は乳脂肪)を含まなければならない。そして最低でも70kgのドライフルーツ、加えてレモンピールやオレンジピール、また最低でも10kgのアーモンドと/またはそれに相当する量のマジパンローマッセを含まなければならない。ペァルジパンの添加は、通例ではない。 ドレスドナー・シュトレンは、手で成形され、型に入れずに焼かれる。 
「ドレスドナー・シュトレン」、「ドレスドナー・クリストシュトレン」と「ドレスドナー・ヴァイナハツシュトレン」という3つの名称は、2010年からEU法の地理的表示保護制度に登録されている。 ドレスデンとその周辺地域内で製造された、条件に相応しいシュトレンのみ、これらの名称の使用が許されている。それらは、同時にドイツ特許商標庁に登録された共同商標でもある。 「ドレスデン風シュトレン(Stollen nach Dresdner Art:シュトレン・ナッハ・ドレスドナー・アート)」という概念も、この保護地域以外では使用を認められていない。 
商標の所有者、並びに商標規約の所持者は、ドレスデンとその周辺地域で統合された130を超える製造者団体からなる『ドレスドナー・シュトレン保護同盟(Schutzverband Dresdner Stollen e. V.)』である。この同盟は、商標に相応しい条件や品質、または製造地域について監視を続け、販売・促進に努めている。

ドレス(ド)ナー・シュトレン 

「原産地名称保護制度(Herkunftsbezeichnung)」の中の「地理的表示保護制度(Geschützte geografische Angabe)」では、定められた地域原産品を定められた製法で生産または加工、または調整されているものでなければならない。
2014年までに、「地理的表示保護制度」に認定されている菓子類の中から、幾つか例を挙げる。
認定前から既に、ドイツ国内では知名度の高かった地域と製品が、これらの大部分を占めている。

*アーへナー・プリンテン(Aachener Printen)
*ブレーマー・クラーベン(Bremer Klaben)
*リューベッカー・マルツィパン(Lübecker Marzipan)
*ニュルンベルガー・レープクーヘン(Nürnberger Lebkuchen)
*ザルツヴェーデラー・バウムクーヘン(Salzwedeler Baumkuchen)

上記のシュトレンの種類と条件を表にすると以下のようになる。

シュトレンの種類

シュトレン
Stollen
30%以上のバター、または30,8%以上のマーガリン、
60%以上のドライフルーツ
マルツィパンシュトレン
Marzipanstollen
30%以上のバター、または30,8%以上のマーガリン、
シュトレン重量の5%以上のマジパン
ペルジパンローマッセの使用は認められていない。
ペァルジパンシュトレン
Persipanstollen
30%以上のバター、または30,8%以上のマーガリン、
シュトレン重量の5%以上のペルジパン
ブッターシュトレン
Butterstollen
40%以上のバター(その他の油脂の使用は認められて
いない)、70%以上のドライフルーツ
マンデルシュトレン
Mandelstollen
30%以上のバター、または30,8%以上のマーガリン、
20%以上のアーモンド、
ペルジパンの添加は、通例ではない。
モーンシュトレン
Mohnstollen
30%以上のバター、または30,8%以上のマーガリン、
20%以上の黒ケシをフィリングに加工して使用する。
ヌスシュトレン
Nussstollen
30%以上のバター、または30,8%以上のマーガリン、
20%以上のナッツをフィリングに加工して使用する。
クヴァークシュトレン
Quarkstollen
20%以上のバターまたは20,5%以上のマーガリン、
40%以上のクヴァーク(フレッシュチーズ)
ドレスドナー・シュトレン
Dresdner Stollen
40%以上の油脂(その内半分以上は乳脂肪)、
70%以上のドライフルーツ、
10%以上のアーモンドと/またはそれに相当する量の
ローマジパン、ペルジパンの添加は、通例ではない。


★ブレーマー・クラーベン(Bremer Klaben)
ブレーマー・クラーベンは、ブレーメンの伝統的な発酵菓子であるが、現在ではドイツ北部の多くの地域で親しまれている。
この発酵菓子の特徴は、高い含有量の油脂、生地に対してほぼ1:1の割合のドライフルーツ、そしてカルダモンによる香辛料の風味である。
また、その大きさと形態もかなり特異で、1個当たりの生地重量は5~6kgもある。大きな四角い型に入れて焼かれるため、平らな長方形に焼き上がる。焼成後に塗り卵で艶を出すが、砂糖は付けない。長期保存が可能なので、昔から、クリスマスやその他の祝祭日に、一度にまとめて沢山の量が焼かれていた。
薄くスライスしてバターを塗ったり、バターを塗った黒パンに乗せたりして食される。

「ブレーマー・クラーベン」という名称は、2009年からEU法の「地理的表示保護制度」に登録されている。それは、ブレーメンとブレーマーハーフェン、その周辺地域内で作られた製品にのみ、使用が許可されている。

★オースターブロート(Osterbrot)
オースターフラーデン(Osterfladen)とも呼ばれる、ドライフルーツやアーモンドを入れた、復活祭の頃に焼かれる丸い発酵菓子。焼成前、その表面に十文字、または格子状の切り込みを入れる。
クリストシュトレンとの一番大きな違いは、独特な香りの香辛料を使用しない点である。

あられ糖(Hagelzucker:ハーゲルツッカー)を振ったオースターブロート あられ糖(Hagelzucker:ハーゲルツッカー)を振ったオースターブロート
焼成前に、表面に十文字の切り込みを入れ、
あられ糖(Hagelzucker:ハーゲルツッカー)を振ったオースターブロート。

★グーゲルフップフ(Gugelhupf)
重いヘーフェタイクの中でも、卵の配合が多くて柔らかいために、捏ねるのではなく混ぜる「ゲリューァター・ヘーフェタイク(Gerührter Hefeteig)」に分けられる。
地域によっては、「ナップフクーヘン(Napfkuchen)」とも呼ばれている。
ドライフルーツやアーモンドの入ったリング形の発酵菓子で、典型的な畝のある、溝彫りを施した型に入れて焼く。
昔は祝祭の機会に、「祝い菓子(Festtagskuchen:フェストタークスクーヘン)」として用いられることが多かった。

様々な大きさに焼き上げ、粉砂糖を振りかけたグーゲルフップフ 
様々な大きさに焼き上げ、粉砂糖を振りかけたグーゲルフップフ。

★ブリオッシュ(Brioche)
卵とバターの割合が高く、柔らかくて香りの良い、フランスの「ブリオッシュ(Brioche)」もこの項目に分類される。
「アポステルクーヘン(Apostelkuchen)」とも呼ばれる。典型的なブリオッシュの形は、上部に小さくて丸い生地「頭(Kopfteil)」のあるもので、波形の型に入れて焼かれる。

このコラムの担当者

Kimiko Kochs

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