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食のコラム&レシピ

【怖くない、怖くないインターナショナルクッキング】デリカテッセン・イン・ニューヨーク!

03<西洋>怖くない、怖くないインターナショナルクッキング

2010.06.02

<【怖くない、怖くないインターナショナルクッキング】ってどんなコラム?>

  ニューヨークで手軽に食事をとるには?と質問されたとすれば、あなたはどう答えますか?忙しくて時間がない人であれば、まるーいドーナッツに似た形のベイグルと答えるかもしれませんね!?バターやジャムを塗りつけて甘くしたり、横半分に切り分けてクリームチーズやスモークサーモンをはさんで、ちょっとリッチなサンドイッチっていうのもいいですね。飲み物を買い足して、公園の木陰でランチをとるのも素敵な過ごし方だと思います。

 ニューヨークは世界の縮図と言われるくらい色々な民族の人々や食べ物が溢れています。アジアン、アフリカン、ヨーロピアンなど数え切れない程たくさんの料理があり、また融合したものもあります。そんな中でニューヨーカー達の中に定着したものの一つがデリカテッセン(delicatessen)、略してデリ(deli)と呼ばれるものです。ドイツ語を語源とし、ニューヨークに住むユダヤ系の人々が同じ民族の人々のために作ったコーシャー(清浄食品)を売る店として始まりました。調理済み加工食品や飲み物、調味料など品揃えも豊富で、テイクアウトは勿論のこと、店内で食事をすることも出来ます。
 そんなニューヨークのデリの中でも特に有名なのが、ブロードウェイと80番通りが交差する角にあるゼイバーズ(ZABAR’S)です。1936年にオープンして以来、ウェストサイドに住む人々を中心に愛され続けている店です。

   一階全部が食料品店で、加工食料品と缶詰や調味料やワインなど、ありとあらゆる物がそろっているかのように思えます。スモークサーモンやちょうざめの燻製などは、その場で係の店員が手際よく切り売りしていたり、お惣菜コーナーでは同じようにその場で係の店員が量り売りしていたりしています。こういうところを見ていると、店舗そのものは非常に大きく便利ですが、さらに客と店員との会話をすべきところは大切に保っている姿勢に感心させられます。二階は調理器具店になっていて、これもたいていの物は何でも揃っています。フランス製の銅鍋や包丁などもありますが、不思議と本国のフランスよりも安い価格で売られている物もあります。

 2件目は、マンハッタンの南部にあるカッツ・デリ(Katz's Deli)。
    

 ヒューストンストリートという大きな道路に面し、1888年から営業しています。この店のシステムは入口で番号入りのチケットを受け取り、これを持って自分でカウンターに行って注文するか、あるいは席についてウエイターを待ち、好みのものを注文します。カウンターの中のコックやウエイターは、客に料理を手渡すと同時にこのチケットに品物のチェックをします。食事をすませた客は入口の反対側のキャッシャーでチケットを渡し、精算するというしくみです。もちろん店内に入って何も注文しなければ、チケットを返却するだけでOK。店内はニューヨークという都会的な響きからは想像もつかないほど下町風の生活感があふれています。客とカウンターの中のコック達も顔なじみになってくると、切り分けているパストラミ(牛肩肉の燻製をゆで煮にしたものでニューヨーカーの好物ともいえるデリの代表格)などの味見をしながら世間話に花を咲かせています。

 3件目はニューヨーク・デリ(New York Deli)。

 セントラルパークから真南に道路を2本下った、57番通りのほぼ中央に位置しています。道路側のウインドウには、トマトの形をした唐辛子のピクルスを入れた大きなびんが所狭しと陳列され、それに朝日が射し、美しい光のコントラストをかもしだしています。店内は喫煙席と禁煙席に分かれおり、観光客風のグループの面々が楽しそうに会話を交わしたり、一人で来てゆっくりと新聞を読んだりしている人々が目立ちます。朝は、デリ以外に朝食専用のメニューも準備されていて、とてもリラックスできます。

 4件目はイート(E.A.T.)。
       
 

 セントラルパークの東隣りにあるマジソン通りのほぼ中央に位置し、高級な住宅街の中にあります。特にパンとサラダの種類が多く、質も値段も高いのが特徴。店内で食事はもちろん、テイクアウトもできる高級なコーヒーショップといった感じの店です。

 あともう1件、とても個性のあるデリを紹介しておきましょう。カーネギー・ホール(Carnegie Hall)がすぐ近くにあり、有名人の出入りも多いカーネギー・デリ(Carnegie Deli)。また店内の壁にはそれらの人々の写真が数多く貼られています。テーブルの間隔は狭く座り心地の良いものではないのですが、とにかくよくはやっています。

         

 一番の名物料理は巨大なサンドイッチで、高さが約20 cmあります。パンはライ麦で中にクミン、外側に黒ゴマがまぶしてあります。両側のパンの内側に刻んだきゅうりのピクルスが塗ってあり、下からサラミ(ボローニャソーセージ)の層とゆでた牛舌の層を重ね、パンをもう一枚はさんでパストラミの層があります。これを2等分して、倒れないように長い串を突き刺しています。

 まだまだ紹介したい店は数多くあるのですが、今回の料理説明に移りましょう。今回は料理ではなく、ニューヨーカーは勿論ですがアメリカ全土でこよなく愛されているお菓子の一つ、「チーズケーキ」を紹介しましょう。「チーズケーキ」には大きく分けて、2つのタイプがあります。「ニューヨーク・チーズケーキ」と言えば、湯煎にしてオーブンでしっとりとした状態に焼き上げた「ベイクド・チーズケーキ」ですね。実に味わい深いものです。
もう一つは、今回紹介しますレアタイプの「チーズケーキ」です。

 アメリカではno bake cheesecakeまたはgelatin cheesecakeと呼ばれるようです。火を使うのはゼラチンを溶かす程度で、材料を混ぜて冷やし固める作業が中心です。使用するクリームチーズや生クリームの種類や配合を変えるだけでも、色々なバリエーションが楽しめます。ぜひ、お試し下さい。

<コラムの担当者>
スパイスの魔術師 三木敏彦

<このコラムのレシピ>
チーズケーキ、レモン風味

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