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【それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪】うずみ豆腐
2018年03月07日

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<【それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪】ってどんなコラム?>


今回紹介するのは「うずみ豆腐」です。
どんな料理なのか、まずは写真を見てください。

うずみ豆腐
●うずみ豆腐●

よく見ると、器の真ん中に豆腐が「埋もれた(うずもれた)」状態になっているのが分かりますか。うずみ豆腐は、ご飯で豆腐を覆った料理のことです。白味噌仕立てにすることが多いですが、今回は五分粥を絹漉し豆腐にたっぷりのせて、甘辛いあんをかけたものを紹介します。

辻調を卒業して吉兆で働いていたことはこれまで何度か紹介してきました。僕が修行していた頃は、他の店に食べに行って料理の勉強をすることが推奨されていて、その経費はお店が持ってくれていました。

当時の先輩たちから受けたアドバイスのひとつに、「食べ歩きは、出来れば女性と一緒に行ったほうがいい」というものがあります。これは見栄の問題ではありません(笑)。昔の料理人ですから、見た目は角刈りで、眼光鋭く、かなり怖かったと思います。そんな男たちが複数で店に入ってくるわけです。店側は「同業者が来た」とすぐに気付きます。さらにはその後も器をじっくり見たり料理を注意深く味わったりするので、確信が持てるのでしょう。料理屋のなかには、同業者に対しては絶対に手の内を見せたくないので、あえてごく平凡な料理を作って出すところがあります。女性と一緒に行くといいのは、一般客を装えるので、本来の料理を食べることができるから、というわけです。

逆に、同業の若い子が食べにきたと分かると、「仕事を全部見せるからがんばれ!」と言ってくれる店があったことを付け加えておきます。



大阪に「和光庵(わこうあん)」という日本料理のお店があります。
辻調とは昔から何かと縁が深く、ご主人や料理長が講師として教えにこられたり、卒業生の進路として学生さんを受け入れてくださったりと、色々な面でお世話になっているお店です。

僕が初めてうずみ豆腐と出会ったのは、この店に食べ歩きに行ったときでした。会席料理をいただいて、最後に出てきたご飯ものが、このうずみ豆腐。駆け出し料理人なのに、気持ちだけは一人前の僕はそれを見て、さては豆腐の一部を粥にして原価をおさえたか、もしくは同業者と分かったからこんな質素な料理を出してきたのかと怒り心頭。店に帰り、仲の良い先輩にその話を不満げに伝えると...同意を得られると思っていたのに、先輩はみるみる呆れ返った表情に。そこで初めて、うずみ豆腐が茶懐石にも出てくる、歴史ある冬場の定番料理ということを知ったのでした。

僕にとってうずみ豆腐は、特に学びの初めは修行不足を自覚しておかないと、大恥をかくと痛感したトホホな記憶の料理です。お酒に合う贅沢なコース料理を楽しんで、最後にやさしい味のうずみ豆腐でほっと一息ついてもらおうという店側の心遣いが、今ならとてもよく理解できます。ここでは取り上げ切れませんが、実は他にも同じようなミスを結構やってきました。愛ある叱咤で諭してくれた先輩には今でも感謝、感謝。料理を学ぶことに終わりはありません。読者の皆さんの中に、もし若い料理人の方がいらっしゃったら、謙虚さを忘れずがんばってもらえたらなと思います。

このコラムの担当者

料理で笑顔の花を咲かせたい 西垣富雄

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うずみ豆腐

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