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毎日新聞連載 -美食地質学入門- 第33講「昆布」

新聞
美食地質学入門

2021.03.03

3月2日(火)の毎日新聞(夕刊)に「美食地質学入門」が掲載されました。

テーマ食材は昆布

昆布も他の水産物と同様に天然ものが減少してきており、今世紀末には絶滅するのではないかとの予測が出ているほどです。
原因の一つにまたまた温暖化が挙げられています。
(昆布についてはこちらのブログにも記載しています)
商品の確保のために養殖が行われており、それでなんとかまかなっているのが現状のようです。
昆布の場合、養殖と言っても一般的な魚貝類のように、人がエサを与えて生育を管理するのではありません。
陸上で生産した種苗をロープに挟み込み、それらを海に設置し成長させます。
本校で主に利用している真昆布の場合、自然界では収穫するまで2年かかるのですが、1年で収穫できるようにした『促成昆布』と呼ばれるものと、天然物と同様に2年かけて育てた『養殖昆布』とがあります。
北海道漁業協同組合連合会さんによると、圧倒的(90%以上)に「促成昆布」が多く、天然物や2年養殖物はごくわずかしか水揚げされていないそうです。
真昆布の他にも、利尻昆布や羅臼昆布なども養殖が行われており、多くの魚介類と同様に養殖に頼っている水産物になりました。

日本以外では、中国で養殖が盛んに行われていますが、多くはアルギン酸の製造に利用されているようです。
アルギン酸は主に医薬品や化粧品に使われていますが、食品関係でも利用されており、人工イクラ、人工フカヒレなどの製造にも利用されています。

さて、本題は昆布がどのように地質と関係しているのか、巽先生のお話は新聞紙上及び毎日新聞ホームページをご確認ください。

今回は北海道漁業協同組合連合会様から北海道の昆布と魚介類をご提供いただきました。
昆布は日本料理の出しには欠かせない材料ですが、今回は料理の素材と位置づけて、料理担当は大引先生です。





▲前菜(鱚昆布締め 煎り酒ドレッシング、昆布餅、刻み昆布とじゃがいもの松前昆布風、ししゃもの昆布巻き)



▲鱚昆布締め 煎り酒ドレッシング
 大引:淡白な鱚を昆布で半日挟むことで昆布のうまみをつけました。


▲(上)昆布餅
 大引:餅粉ベースの生地におぼろ昆布、刻んだ日高昆布を入れて蒸し上げました。
▲(下)ししゃも昆布巻き
 大引:日高昆布と子持ちししゃもを5日間かけてじっくりと炊き上げることで、昆布が柔らかくなり、子持ちししゃものうまみと合わさり美味しさが増します。


▲刻み昆布とじゃがいもの松前昆布風
 大引:日高昆布をだしに漬け込み、北海道の食材とジャガイモを合わせることでうま味、食感、風味を加えました。


▲海鮮茶わん蒸し 昆布あんかけ
 大引:だし汁に味付けし、おぼろ昆布を乾燥させパウダー状にしたものを加えたものを茶碗蒸しの上に流し海鮮食材を盛り付けます。
 玉子と一緒にいろいろな食材を食べるとごとに味、風味、食感を楽しめます。
 昆布あんが特徴のある食材と玉子の味をまとめてくれます。


▲鮭の昆布焼き
 大引:鮭は昆布に半日挟み昆布の風味をつけます。そのまま150度のオーブンで火を通し、味付け味噌と食べていただきます。
 盛り付けは一人用コンロを使い、昆布を器にすることで視覚的にも楽しめる一品です。

合わせるお酒は、株式会社南部酒造場の花垣。

▲生酛純米
江戸時代から続く伝承の「生酛」造り。「辛酸(しんさん)甘苦(かんく)渋(じゅう)」五味をしっかり引き出し、味わい豊かな酒に仕上げられています。コクのある酸は、燗酒に最適でした。

次回はこの連載もいよいよ4年目に突入で、4月のテーマは
アカザエビ

どうぞお楽しみに。