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中国料理TOPへ好吃(ハオチー)!中国料理! コラム一覧へ
連載コラム 好吃(ハオチー)!中国料理!
北京料理、上海料理、四川料理、広東料理、点心と5つのジャンルを、それぞれ担当の厨師(料理人)、点心師(点心専門家)が、中国での体験を交えながら料理の作り方とそれにまつわる話を紹介します。まずは、基本的な料理から始めましょう。
無錫風スペアリブの煮込み
無錫排骨


無錫風スペアリブの煮込み

 前回の話(「甘鯛の香り揚げ黒酢ソース」のコラム参照)の続きです。私たち夫婦が毎年海外旅行に行くのは実はわけがあります。新婚旅行中に妻が病気に罹り、旅どころでなくなったため、翌年に新婚旅行のやり直しの意味で行ったのが始まりです。行き先は夫婦間で話し合って決めますが、希望は僕がアジア、彼女がヨーロッパ中心で、いつもどちらに行くかでもめます。2001年はすったもんだ(喧嘩?)の末、私の意見がやっと通り、宿願だった台湾に決まりました。というわけで今回は台湾の話です。
 昼間の観光を終えると、豪華ディナー、夜は屋台とお決まりのパターンで、台中、高雄、台北と回りましたが、台湾人には親日家が多く、今回の旅でも皆さん私たち夫婦にとても親切にしてくれました。

 まず台中です。台中は経済発展が著しい所です。近代的ビルが林立し、町並みはとてもきれいです。昼間の観光、夕食とスケジュールをこなし、早速屋台街へ出かけようとホテルを出ましたが、道に迷って仕方なく付近の店で何か食べようかと思ったのですが、食べ物屋は見当たらず、あるのは「檳欖(びんろう)」を売る店だけ。「檳欖」とはオリーブ科の樹木、檳欖の実に石灰を詰めた物で、これを噛むと口の中が真っ赤に染まり、唾が出てきて身体が温まり、覚醒作用によって頭が冴えてきます。つまり、一種の噛みタバコです。よく長距離トラックの運転手が眠気覚ましに使います。色気で客を呼ぼうというのか、よくミニスカートはいたお姉さんが売り子をしていて、「檳欖小姐」と呼ばれています。 それを横目に見てホテルに帰ったので、その日は屋台の収穫なしに終わってしまいました。

 翌日は高雄で、孔子廟などを回り、「寒軒廷園」という潮州料理屋で夕食。そこで出てきたドラゴンフルーツとイセエビのサラダを妻がとても気に入り、日本に帰ってきても作れとせがみます。夕食後、昨夜の分を取り返すべく屋台へ向かいます。高雄など南部の都市では、屋台の種類が多く郷土料理も多彩です。ここでは、モヤシ、豚挽き肉、エビのそぼろなどを小麦粉の皮で包んだ潤餅を食べましたが、カレーと、砂糖にピーナッツの粉を合わせた物が味の決め手という不思議な味です。鉄腕アトムの頭のようなヒシに甘い小麦粉の衣をつけて揚げた物、有名な担子麺(タンタン麺の辛くない版)、田うなぎの甘酸っぱい炒め物などなど。写真がなくて伝えられないのが残念です。
 特に印象深かったのは蛇の炒め物。蛇はスープでは何度かお目にかかるのですが、炒め物は初めてで興味津々です。黒い皮がついたままの5cmくらいの蛇のぶつ切りにバジルを加えて塩味をつけた物を食べたのですが、おいしかったけれどちょっとグロテスクで、しかも結構硬く、特に皮はガムを噛んでいるようでした。

 台北につくと、昼は故宮博物館、国父記念館などを回り、夜は宿泊した圓山大飯店でディナーです。ここでは、かの宋美齢女史も愛した「芋薯鬆(紅豆鬆ともいうようです)」が印象に残りました。米の粉やいもに、小豆、塩漬け卵などを加えて蒸した菓子で、ふわっとしていて軟らかく、餅のような食感と上品な甘さが特徴です。その後に近くの土林夜市へ行き、排骨湯(あばら肉のスープ)、肉圓(肉入りの餅)、 仔煎(牡蠣入り玉子焼き)など台湾名物の小吃でお腹が一杯になり、店を出ようとすると、主人が「アサリのスープがあるよ。」というので、せっかくのお勧めだしそれで最後にしょうと頼むと出てきたのは、なんと再び「排骨湯」。「?」と思ってよく聞くと、「あっさりのスープ」。 なるほど、肉からでた脂分をすっかり取り除いたあっさりしたスープではありましたが。
 ここで臭豆腐の屋台を見つけました。臭豆腐とは豆腐をヒユナのタレに浸けて発酵させた物で、強烈なにおいがあり、通常これを揚げて食するので、においがさらに強くなります。この屋台を見つけるのはとても簡単です。街中で、はいた靴下のようなにおいがしたら、そのにおいの元をたどって行けばよいのですから。

 台湾といえば故宮博物館です。そこでは名高い翠玉白菜が展示されていました。小麦粉細工や野菜の彫り物が大好きな僕としては見逃せません。白と緑の2色の玉を見事に生かし白菜を彫り上げているのですが、とても美しく精巧に作られています。
 僕は仕事で小麦粉細工や野菜の彫り物を作る時、「見た人をあっといわせたい。どうせ作るなら日展に出しても賞のとれる物を」と思っていつも作っています。小麦粉細工で最近作った力作は、桜の木です。アルミ缶で花弁の型を作り、薄く伸ばした生地を抜きます。この生地を少し湾曲させ、針金にくっつけ、5枚合わせて花が一輪できます。ここまでで約10分です。花を500個作って桜の木に咲かせました。仕事の合間に作業を進めたため、一カ月くらいかかりましたが、想い出の作品になりました。
 野菜彫刻は、エビ芋、ビーツ、南瓜などの野菜で龍や鳳凰、花などを彫り上げるのです。面白い物で、日ごろから作りたいと思う物をよく観察し、何度も何度も練習をしていると、頭の中にイメージができ、実際に彫ろうと材料を見ていると、完成品が頭の中に浮かび上がり、どこにナイフを入れるのかが見えてくるのです。「熟能生巧(習うより慣れよ)」と中国人もいっています。とはいっても、まだまだ修業がたりません。
 小、中学校の時に、美術の成績が悪く集中力がないといわれていたのですが、仕事を通して自分も成長したのかなぁとちょっとうれしくなったりしています。

 さて、今回の料理は「無錫排骨(無錫風スペアリブの煮込み)」です。無錫は江蘇省の南部、長江三角洲の中心部にある古くから栄えた町で、南に太湖を臨みます。そして、この料理は豚スペアリブを香辛料入りタレで煮た物ですが、無錫風の特徴は、香辛料に八角を使うことと色が赤いということです。赤色は店によってはケチャップや色粉でつけたりしますが、本来のやり方は紅米という深い赤紫色の米を煮出します。
 紅米は主に赤い色をつけるために使われますが、ポリフェノールに富む健康食品として最近注目されています。赤色を中国人はうまそうな色として認識していて、中国の肉屋さんは肉に赤を強調するためにわざと血をつけたりします。焼き豚を赤く仕上げるのもそのためです。ご家庭で作られる場合はわざわざ色をつける必要はありませんから、紅米はなくても結構です。ぜひお試しください。



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レシピ 無錫風スペアリブの煮込み

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