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連載コラム 日本料理一年生
辻調の日本料理の先生たちにも、調理師一年生の時代がありました。どんなに教え上手の先生も、一年生の時には分からないことだらけで、失敗もたくさんしたのです。そんな時代を振り返り、「日本料理一年生」のみなさんに、できるだけ分かりやすく、本物の日本料理について解説してみようと思い立ちました。「こんなにおいしいものが自分で作れるのか!」という新しい発見と喜びがきっとあるはずです。
9時間目 おでんを作る
おでん
  1時間目にかつお節と昆布のだし汁について、5時間目に煮干しのだし汁についてお話しましたが、日本料理ではもう一つ「鶏のだし汁」を使うことがあります。
鶏の手羽先
鶏の手羽先です。家庭ならば手羽先を使って作る鶏だしで十分です。
ごぼう巻き
ごぼう巻き。
関西でいう「ごぼてん」です。
  大根や里芋のように淡白な味の素材を煮る時は、かつお節と昆布のだし汁ではあっさりしすぎていて、何か物足りなさを感じる場合があります。こういう時、プロの料理人は鶏のだし汁を使ったり、骨付きの鶏肉を一緒に煮たりすることで、淡白な素材にコクと旨味を加えます。特に、今回の「おでん」のような料理は、素材の味より汁の味で食べるものなので、しっかりした味の風味のよい鶏のだし汁を使って煮込めばよりおいしく仕上がります。
  私は以前、「東京式おでん」というのを看板にした店に勤務したことがあります。おでん場の銅製の鍋には夏場でも常に二十数種類のおでん種が湯気を上げていました。
  関西人には馴染みの薄いものも数種ありました。まずは「チクワブ」。ちくわの形をした麩のことで、クニュクニュした食感が好きだという方が多かったです。「すじ」といえば、関西人は牛すじ肉を串刺したものを連想しますが、関東でいう「すじ」は、白身魚のすり身に魚の軟骨を加え、棒状に形作ってゆでたものをいい、コリコリした歯ざわりが特徴です。他にも、地方や季節によって独特のおでん種があるようです。
  また、お客さんにも、おでんの煮込み具合に好みがあります。卵は本来、表面が軽く色づくくらい煮込んで提供しますが、私のいた店の常連客には、黒くなるほどまで煮込んだ、スーパーボールのようなかたい卵が好きな人がおられ、来店される日には必ず、昼過ぎに連絡が入っていました。
  さて、みなさんには、こんな体験はありませんか?「昨日の晩ご飯にお母さんがおでんを作ってくれたけど、残ってしまったから、今夜温めなおして食べたら、昨夜以上においしくなっていた。」ということが。
こんにゃく
こんにゃくの表面にはこのように細かい切り込みを入れると味が染み込みやすくなります。
  材料を煮る時、すっかり色がつくまで長く煮続ける人がいます。こうすると、材料の形は崩れ、色はあせてしまい、肝心の味も、時間をかけて煮たほどには染み込んでいないものです。実は、長く煮続けるより、20〜30分煮たら火を止め、そのまま冷ました方が、味は入りやすいものなのです。これは煮物すべてに共通していえることです。
  おでんの専門店では、湯葉や春菊のようにさっと煮て提供する種以外は、夜の開店時間に合わせて昼の間に下煮をし、味を含ませて準備をしています。お母さんが、夕方あわてて買い物に出かけ、お父さんが会社から帰るまでに、材料の準備をしておいしいおでんを炊き上げるには時間的に少しむりがあるかもしれません。せめて前日に仕込み、当日はお昼に30分ほど煮込んでから冷まし、夜食べる直前にもう一度温めて出すようにしましょう。手間がかかりすぎと思われますか?一度やってみてください。あまりのおいしさにビックリしますから。
左から順にからし、青ねぎ、柚子こしょう、七味唐辛子
左から順にからし、青ねぎ、
柚子こしょう、七味唐辛子です。
  薬味のからしは、若林先生のレシピどおり、白味噌を混ぜ、だし汁でのばして使うとマイルドになるし、旨味がつきます。柚子こしょうは辛みと香りがいっぱいです。他には、大根や里芋には、洗い葱とみじん切りの柚子を混ぜたもの、厚揚げなどの豆腐類にはとろろ昆布が合います。じゃがいもには包丁で切れ目を入れて、バターの角切りを乗せてもよいでしょう。七味唐辛子や、越後産の「かんずり」(唐辛子に米麹や塩などを加えて熟成させて作る)も風味を増してくれます。薬味ひとつで味わいや風味がぐんと変わるのも、おでんの楽しみのひとつといえるかもしれません。


調理師一年目の思い出
  職員1年目。たくさんの同期がいました。その中で返事の声の大きさだけは誰にも負けないというのが、何もできない新人でもすぐに実行できる唯一のこと。ある時、H先生に呼ばれたので、仕事がもらえると思って意気込み、いつもより大きな声で「はい!!」と返事をし、喜び勇んで走って行くと……直前の授業で、同期が講習助手だったようで、H先生は「お前もこれくらいの声で返事できるだろう!」と注意していらっしゃるのです。そうです!ただ、声の大きさを彼に聞かせるためだけに、呼ばれたのです。あれから26年、返事やあいさつの声の大きさが今でも宝になっています。

日本料理教授 K.T.



このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ おでん

タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
人物 小谷 良孝
  辻調の御言持(みことも)ち
人物 重松 麻希
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