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連載コラム 日本料理一年生
辻調の日本料理の先生たちにも、調理師一年生の時代がありました。どんなに教え上手の先生も、一年生の時には分からないことだらけで、失敗もたくさんしたのです。そんな時代を振り返り、「日本料理一年生」のみなさんに、できるだけ分かりやすく、本物の日本料理について解説してみようと思い立ちました。「こんなにおいしいものが自分で作れるのか!」という新しい発見と喜びがきっとあるはずです。
20時間目 煮物のさしすせそ
煮物のさしすせそ
砂糖を先に入れると、細胞にまず吸収される。

砂糖を先に入れると、細胞にまず吸収される。

 
砂糖の味がなじんだ後に、塩を加えると砂糖より分子の小さな塩がすき間に入り込む。

砂糖の味がなじんだ後に、塩を加えると砂糖より分子の小さな塩がすき間に入り込む。

 
塩を先に入れると、塩が細胞に吸収され、すき間なく埋まる。

塩を先に入れると、塩が細胞に吸収され、すき間なく埋まる。

 
後から砂糖を加えても、分子が大きな砂糖は吸収されない。砂糖と塩を同時に入れても同様になる。

後から砂糖を加えても、分子が大きな砂糖は吸収されない。砂糖と塩を同時に入れても同様になる。

  7時間目に引き続き、「野菜の煮物」について勉強しましょう。野菜を煮るときは一般的には、まず野菜をゆでます。(7時限目「野菜をゆでる」)今回の海老芋は、米のとぎ汁や、水に米ぬかを加えたものでやわらかくゆで、水に充分さらして米ぬかの臭みを取り除いてから煮ます。
   海老芋や大根などの根菜類は、さっと煮ただけでは味が浸透しません。そこで昔から、煮物の基本として調味料を入れる順番を「さしすせそ」といっています。「さ」は砂糖、「し」は塩、「す」は酢、「せ」は醤油(昔は「せうゆ」と書きました)、「そ」は味噌のことです。この順序で調味料を入れるのは、単に語呂がよいからではなく、きちんと科学的な理由があるのです。
   まずは、「さ」の砂糖と「し」の塩についてお話しましょう。塩は砂糖よりはやく材料にしみ込んで、組織を引き締め、後から砂糖が侵入しにくくなります。それは、塩の方が砂糖よりも分子量が小さいからです。砂糖と塩を同時に加えても、塩の方が先に材料に浸透し、同じ結果になります。
   ここで分かりやすく解説するためにたとえ話をしましょう。大きめの容器、ソフトボール、ビー玉を用意します。容器は、材料の調味料を蓄える細胞の一つと考えます。砂糖の分子量は塩の分子量の6倍くらいらしいので砂糖の分子をソフトボール、塩の分子をビー玉と仮定します(図A)。容器にソフトボールをいっぱいに入れても、ソフトボールはある程度の大きさがあるのでボール同士の間にはかなり大きなすき間ができます(図B)。ビー玉は小さいので、このすき間に充分入り込めます(図C)。でも、同じ容器に、先にビー玉をいっぱいに入れると、ビー玉のすき間にはソフトボールは入りません(図D)。また、ソフトボール(砂糖)とビー玉(塩)を同時に入れると、塩の方がしみ込むスピードがはやいので、先に吸収されるため、砂糖が入りにくくなるのです(図E)。
   では次に、「す」の酢、「せ」の醤油、「そ」の味噌についてです。これらはすべて麹菌を使い、醗酵させて作る調味料です。醗酵調味料というものは、熱を加えると独特の香りが飛んでしまいます。ですから、後から加えて風味を残すようにします。ただ、例外もあるので気をつけてください。
   以上が「煮物の『さしすせそ』」といわれる理由ですが、基本的には「さ」の砂糖と、「し」の塩の順番が重要なので、後の「す」の酢、「せ」の醤油、「そ」の味噌は多少こじつけのようなところもあるようです。
   そこで、辻調流の魔法の呪文を覚えてください。「野菜の煮物は、さし・すせそ」です。




このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 海老芋の煮物

タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
人物 小谷 良孝
  辻調の御言持(みことも)ち
人物 重松 麻希
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