辻調グループ

コラム&レシピTOP
西洋料理
日本料理
中国料理
世界の料理
洋菓子
和菓子
パンとドリンク
日欧食べ物だより
こだわりレシピ検索
辻調グループ 最新情報はこちらから
Column&Recipe
コラム&レシピTOP
西洋料理
日本料理
中国料理
世界の料理
洋菓子
和菓子
パンとドリンク
日欧食べ物だより
こだわりレシピ検索
日本料理TOPへ日本料理一年生 コラム一覧へ
連載コラム 日本料理一年生
辻調の日本料理の先生たちにも、調理師一年生の時代がありました。どんなに教え上手の先生も、一年生の時には分からないことだらけで、失敗もたくさんしたのです。そんな時代を振り返り、「日本料理一年生」のみなさんに、できるだけ分かりやすく、本物の日本料理について解説してみようと思い立ちました。「こんなにおいしいものが自分で作れるのか!」という新しい発見と喜びがきっとあるはずです。
8時間目 天ぷらを揚げる
てんぷら
調理上のアドバイス1
油の温度の見方は、天ぷらの衣を箸の先につけて油の中に落とします。写真は魚介類を揚げる時の適温です。野菜の場合は、もう少し深くまで沈んで浮き上がる状態の165〜170℃が適温です。
衣が少し沈んで浮き上がってくるなら175〜180℃。
衣が少し沈んで浮き上がってくるなら175〜180℃。
調理上のアドバイス2
天ぷらにつけて食べる塩は、そのままの状態ではなく、すり鉢ですっておくとよいです。下は塩の粒の拡大写真です。するとすらないとでは粒子がこんなにも違うので、口に入れた時の塩味の広がりが全然違います。味がさっと広がり、さっと消える塩にするためには、すり鉢ですった方がいいでしょう。
すり鉢でする前の塩
すり鉢でする前の塩
すり鉢ですった後の塩
すり鉢ですった後の塩
調理上のアドバイス3
かき揚げは衣の量に注意が必要です。揚げているうちに材料がバラバラになるのが怖くて、衣を多めに入れてはいませんか。実際には、やっと全体に絡まるくらいで十分です。バラバラにならないためのポイントは、若林先生のレシピを見てください。
かき揚げの衣の理想的な量
かき揚げの衣の理想的な量
  日本料理には原則として5つの調理法があります。お造りのような「生」、「焼く」、「煮る」、「蒸す」、そして今回お話する「揚げる」です。「揚げる」という調理法は、油を使って材料に火を通すというもので、長い日本料理の歴史の中でも庶民が日常的に口にできるようになったのは、江戸時代中期になってからという、比較的歴史の浅い調理法といえるでしょう。
  それまでは、貴重な油を大量に使う「揚げ物料理」は庶民の口には入らない高級な料理であったと考えられます。ちなみに、一説には徳川家康は鯛の天ぷらを食べて食中毒になって亡くなったといわれます。(胃がんであったという説も有力ですが……。)
  さて、油には、ラード(豚の脂)やヘット(牛の脂)といった動物性の脂と、ごま、菜種、綿の種子、とうもろこしなどから作る植物性の油があります。日本料理では主に植物性の油を、その特性を考えながらブレンドして使います。
  さて、みなさんは、「サラダ油」と「天ぷら油(白絞油)」の違いはご存じですか。そうです。サラダに使うのが「サラダ油」で、天ぷらに使うのが「天ぷら油」です。単純なようですが、ここからが大事です。「サラダ油」は、加熱せずに使っても大丈夫ですが、「天ぷら油」は精製の度合いが低いため、加熱しないとお腹をこわしてしまいます。だから、「天ぷら油」はサラダのドレッシングには使えませんよ。十分注意してください。
  「天ぷら」という言葉にも要注意です。以前、東京校の卒業生が大阪に就職したての頃、先輩から「今日の夕食のおかずは『天ぷら』やで!」といわれ、「海老の天ぷら」を想像して楽しみにしていたら、出てきたのは「揚げはんぺん」でがっかりした。という話を聞いたことがあります。関西人は、ごく普通に「揚げはんぺん」を「天ぷら」といいます。「ごぼう巻き」は「ごぼてん」、「薩摩揚げ」を「平天(ひらてん)」といいますから、関西に来られた時は注意してください。
  余談ですが「天ぷら」はポルトガル語の「調理する」という意味のtemperoが語源になったといわれ、南蛮貿易でやってきたポルトガル人から伝わった調理方法だという説があります。
  「天ぷら」は揚げ物の種類としては、「衣揚(ころもあ)げ」です。その他揚げ物の種類には、ごまやあられなどの乾物類を衣にした「変わり衣揚げ」、材料に何もつけずに揚げる「素揚げ」、材料に小麦粉や片栗粉などをまぶして揚げる「から揚げ」があります。
  家庭の主婦が、自分で作りたくない料理の一番は「揚げ物」だそうです。理由として、油汚れの後片付けが大変、熱した油に材料を入れるのが怖い、揚げ終わると胸が一杯になって食欲がなくなるなどがあるようです。確かに面倒なこともありますが、若林先生の作り方を十分に勉強して、ぜひ、天ぷら作りにチャレンジしてみてください。天ぷらは揚げたてが一番おいしいのです。ポイントさえおさえて作ったら、家庭では一番おいしい状態で提供できる環境が整っているといえるでしょう。


調理師一年目の思い出
  職員1年目で初めて実習の仕込みをした時のことです。先輩に「この作り方分かる?」と聞かれ「はい」と答えましたが、こんなことも知らないのかと思われるのが恥ずかしくて、本当は知らないことを知っていると言いました。教科書を見ながら必死で作っていると、先輩にやり方が違うと言われました。私はその場から逃げ出したくなりました。この時仕込む分量は、教科書の分量よりずっと多かったので作り方が違ったのです。「料理は分量によって作り方が異なる」ということを改めて知り、自分に正直にならなければ、余計に恥をかいたり、人に迷惑をかけたりするのだと強く感じました。分からないから教えてくださいと言うと、人は優しく教えてくれるものです。

日本料理 T.M.



このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ てんぷら

タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
人物 小谷 良孝
  辻調の御言持(みことも)ち
人物 重松 麻希
このページのTOPへ
 
辻調グループ校 Copyright(C) 2003 TSUJI Group