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連載コラム 和のおいしいことば玉手箱
日本には、昔から言い伝えられてきた「おばあちゃんの知恵袋」のような、食に関する言葉がたくさんあります。これらの言葉は、科学的にもきちんとした根拠があり、道理にかなっているということがほとんどです。ここでは、これらの食に関すること わざや格言などからおいしさを再発見してみます。
揉(も)んで味出せ干し大根
解説

「揉(も)んで味出せ干し大根」
干し大根は、よく揉むことによって組織が柔らかくなり、味がよくなる。これは人間にも言えることで、人生の荒波に揉まれるうちに性格が柔らかくなり、人間味が出てくる。だから干し大根を揉むように、人間も若いうちにせいぜい鍛えておくべきであるというたとえ。
 「この冬は暖冬である。」と言われていたが、なんとも寒い毎日が続いている。雪国では昔から食材の少なくなる雪深い冬に備えて、乾物や漬物をそろえて厳冬の準備をする。故に雪国では独特の乾物や漬物が発達してきたのである。乾物や漬物は、干したり、漬けたりすることによって旨味や歯触りがよくなるのは周知のとおりである。
 今回のテーマである「干し大根」は大根を天日乾燥したもので、乾燥することで独特の甘味とパリパリした歯ごたえが加わって、独特の味わいが生まれる。切り干し、割り干し、ねじ干しなどがある。切り干しは大根の切り方により、細長く切ったせん切り干し、短冊に切った角切り干し、輪切りにした花丸切り干しがある。割り干しは縦に割ってから干したもので、ねじ干しはそのまま干したものである。割り干し、ねじ干しは使うまで風通しのよい場所につるして保存する。よく乾燥したものは1年くらいは保存することができる。
 さらに、「ひば」と言って大根葉を日陰干しにしたものを、東北や北陸では冬場の貯蔵野菜として用いる。「ひば」は、よく乾燥させて風通しのよい場所につるしておくと、半年くらいは保存できる。この「ひば」は、湯通しして油揚げと共に煮たり、菜飯や味噌汁の具材として使われる。
 さらに冬は、生の大根も最も美味しい季節である。おでんや風呂吹き大根は寒い季節には欠かせないご馳走である。
 では大根を料理する時の注意点を何点か挙げてみることにする。

(1)
大根は、買ってきたらすぐに葉と茎の部分を切り落とすと、みずみずしさが長持ちする。
大根は手に持ってずっしりとして張りがあり、葉が青々とピンと立っているものが新鮮である。葉をつけたまま保存すると、茎や葉が大根の水分を吸ってみずみずしさがなくなってしまうので、買ってきたらすぐに葉と茎の部分を切り落とし、乾燥を防ぐために新聞紙に包んで冷蔵庫に保存する。また、切り落とした葉や茎は、サッと湯通しして味噌汁の具材や菜飯、塩もみして浅漬けの漬物として使う。

(2)
大根の皮は料理によって、むいたりむかなかったりする。
せん切りにして、味噌汁の具材や浅漬けにするのであれば、皮ごと使える。ただ、大根は右の図のように皮の下に筋があるので、煮物にするときは皮をむかないと、この筋が口に残ってしまう。そのため、厚めに皮をむいて使うことが大切である。むいた皮は味噌汁の具材や浅漬け、時にはきんぴらにも美味しく使うことができる。

(3)
大根卸しの汁は軽く切る。
大根卸しは、巻き寿司に使う巻きすをバットに敷き、その上に卸し金をのせて卸す。この時、卸し金が巻きすの糸に当たると糸が切れてしまうので、卸し金は糸目と平行に置いて糸に当てないようにする。卸した大根は、巻きすの左右の両端を持ち上げて挟み込むようにして少し水分を切ると、水っぽさが残らない。ただし、絞りすぎは厳禁で、大根卸しをつまんで押さえると少し水分が出てくる程度が、天麩羅の天つゆに入れる大根卸しや卸し煮、卸し和えに最適である。この絞り加減がわからないときは、卸した大根をのせたまま巻きすをバットの縁に斜めに立てかけ、7〜8分おいて自然に水分を切ると、ちょうどよい絞り加減になる。

(4)
大根は部分で味が違うので、料理によって使い分ける。 葉付きのいわゆる青首の部分は、みずみずしく甘味もあるので大根卸しやサラダ、酢の物、和え物などの生食に向く。中央部分は辛味が少なく柔らかいので、風呂吹き大根やおでん、含め煮などの煮物に向く。根の先の部分は辛味が強くやや筋っぽいので、細かく切って味噌汁や漬物、きんぴらなどに向く。


 話を干し大根に戻すが、今回の料理である「切り干し大根旨煮」は、「おふくろの味」の代表選手の一つであろう。切り干し大根やひじきなどの乾物を煮る時は、コクと旨味を深めるために、油で炒めてから煮るいわゆる「炒め煮」にすることが大きなポイントである。油で炒めることによって、口当たりがまろやかになるだけでなく、水分が抜けて、次に加えるだしや調味料の味がしみ込みやすくなるからである。また、乾物を水で戻すと組織の張りが失われ、しなびたり崩れやすい状態になっているので、いきなり液体の中に入れて煮るよりも、液体を加えずに加熱して多少表面を乾燥状態にしておくほうが、形や歯ごたえを保つことができる。空炒りでもよいが、油で炒めて表面に膜を作っておくほうが、内部の成分が液体へ溶け出すのを多少とも抑えることができる。さらに油を加えることで風味も増す。
 切干大根は煮物にすることが多いが、それ以外に、戻した切り干し大根を三杯酢で和えて、歯ごたえを楽しむ「はりはり」も、さっぱりとして酒の肴によい。


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 切り干し大根

タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
人物 小谷 良孝
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