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連載コラム 和のおいしいことば玉手箱
日本には、昔から言い伝えられてきた「おばあちゃんの知恵袋」のような、食に関する言葉がたくさんあります。これらの言葉は、科学的にもきちんとした根拠があり、道理にかなっているということがほとんどです。ここでは、これらの食に関すること わざや格言などからおいしさを再発見してみます。
ぬかに釘
ぬかに釘 ぬかに釘
解説

「ぬかに釘」
これは、手ごたえがなく、ききめがないことのたとえに使われる。同じような意味の言葉に、「暖簾(のれん)に腕押し」、「豆腐(とうふ)にかすがい」などがある。
   *かすがい=2つの木材を合わせて固定するコの字形の釘、金具
 我々が「ぬか」といって最初に思いつくものは、「ぬか漬け」である。元々は、玄米を白米に精白する際に出るぬかを廃物利用しようと考え出されたものであろう。ぬか漬けの歴史はかなり古いと思われがちだが、歴史はせいぜい400年ほどではないかと考えられる。それまでの玄米食が中心の食生活では、ぬかが出ることはなく、ぬかが出ないと必然的にぬか漬けはできない。白米食が一般に普及してくるのは江戸時代になってからだから、ぬか漬けが広く漬けられるようになったのはこの頃と考えるのが妥当である。ぬか漬けの代表格である「沢庵漬け」を考案したといわれる沢庵和尚が1573年生まれという話も、その説を裏付けているように思えるが、諸説ありはっきりとしたことはわかっていない。

 ぬかには、玄米全体の9割ほどのビタミンB群やビタミンEなどの栄養素が含まれている。すなわち、白米食はこれらの栄養素を無駄にしていることになる。だからといって玄米食が優れているかといえば、一概にそうともいえなく、白米食に比べて、味、炊き方の難しさ、消化の悪さの面で問題がある。

 そこで、白米食にぬか漬けを添えてやると、これらの栄養が補給できるのである。ぬかと塩を混ぜたぬか床の中に野菜を漬けると、塩の浸透圧の作用で水分が抜ける分、野菜の細胞内にぬかが持つ栄養分が浸透していく。どんな野菜でもぬか漬けにすると、生で食べるよりも栄養価が上がるのである。野菜を加熱調理するとかさが減ってたくさん食べられるが、熱に弱いビタミンB群などは破壊されてしまうので、ぬか漬けではある意味効率よくビタミンを摂取できるといえるかもしれない。また、ぬか漬けは乳酸菌による発酵が起こるので、独特の風味と適度な酸味が与えられる点は、即席漬けにはない特色であるし、その乳酸菌を摂取できるので体に有用であるともいわれている。ぬか漬けは、まさにわが国に昔から伝わる健康食といえるであろう。

 さらに、今回のテーマのひとつである「釘」を充分殺菌してからぬか床に加えれば、釘から出た鉄分が野菜に浸透して、ぬか漬けを食べることで鉄分も摂れることになる。また、釘を入れることで、なすがきれいな色に仕上がる利点もある。なすの紫色は、アントシアンの系のナスニンという色素が呈する色だが、ナスニンには鉄と出会うと紫色が鮮やかになり、安定化する性質がある。そのため、釘を数本入れるだけで、古代インド、中国などで珍重した宝玉のような瑠璃色に輝く一品に仕上がるのである。


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ なすぬか漬け、きゅうり変わり漬け

タイ語の話せる日カレのおとうちゃん
人物 小谷 良孝
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