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連載コラム 独逸見聞録
これから度々話の舞台となるのはオッフェンブルク(Offenburg)。ドイツの西南部のバーデン・ヴュルテンベルク州でも西の端、ライン河とシュヴァルツヴァルト(黒い森)の中間に位置する街です。この街に在住している辻調グループ校の卒業生(そして元職員)が、独断と偏見(?)を時に交えながら、食文化を中心とした情報をお届けします。
ドイツの外食産業
  営業時間枠が「閉店法」で厳しく決められているドイツで、日曜日や祝日にも営業を許可されている飲食店。レストランやカフェテリア、居酒屋や喫茶店、屋台など、ドイツの「外食産業(Gastronomiebetrieb:ガストロノミーベトリープ)」について紹介する。

★ レストラン(Restaurant. Gaststätte : レストラーン、ガストシュテッテ)

  「レストラーン(Restaurant)」と「ガストシュテッテ(Gaststätte)」は、どちらも料理店や食堂を示す言葉である。厳密な区分はないが、「ガストシュテッテ」はレストランを兼ねた旅館やホテルという意味も持ち、比較的大衆的なイメージが強い。建物の1階部分や本館が食堂になっており、2階から上、もしくは別館が宿泊施設になっている。

  筆者の独断(と偏見?)によるレストラン分類の「キーワード」は、テーブルクロス(Tischdecke:ティッシュデッケ)とナプキン(Serviette:ゼルヴィエッテ)である。
《中級から高級店》
  糊の利いたテーブルクロスが掛かり、ナプキンも布製である。サービス担当者は、制服を着用している。高級店でも、日本やフランス程の価格差はない。週末や祝日には必ず営業している。月曜日に定休日を取る店が多い。
《大衆的な店》
  テーブルの質にも因るが、クロスが掛かっていない場合が多い。ナプキンは紙製だが、この中でもその大きさや質に差がある。料理は安くてボリュームがあり、内装やサービスは庶民的。家族経営の場合が多い。近隣の事務所や商店で働く人をターゲットにした昼食用の定食(Mittagsmenü:ミッタークスメニュー)を用意している店もある。正統なレストランでは、飲み物だけの注文は難しいが、大衆的な店やカウンターがある場合には、特に問題なく注文できる。平日には定休日を取らない店が多い。

(左)旬のお勧め料理が手書きされた黒板 (右)地元の新聞に掲載されるサービスランチの献立(月〜金)
《営業時間》
  昼:12:00〜15:00、夜:18:00〜23:00  午後に一度閉店する場合が多い。この時間帯には、調理師達が休憩しているので「温かい食事」は供されないが、飲み物やケーキ類、軽食(冷製)などを注文できる場合もある。



◆レストランの名前◆

  ドイツのレストランには、「定番」とも呼べる典型的な名前が付けられている場合が多く、小さな村程その傾向が強い。例えば、「太陽(Sonne:ゾネ)」や「王冠(Krone:クローネ)」、「天使(Engel:エンゲル)」、「花(Blume:ブルーメ)」、「菩提樹(Linde:リンデ)」など。また、「鷲(Adler:アードラー)」や「鹿(Hirsch:ヒルシュ)」、「獅子(Löwe:レーヴェ)」など鳥や動物の名前も多い。
  オルテナウ地区(Ortenau:Offenburgとその周辺の地域)では、「王冠」が最多で、「太陽」、「菩提樹」、「鷲」、「鹿」と続く。残念ながら日本での知名度は高くないが、この地方はワインの産地でもあるので、「葡萄の樹(Rebstock:レープシュトック)」や「葡萄の房(Traube:トラウベ)」などという名前も見掛ける。


★ カフェテリア(Cafeteria : カフェテリア)

  セルフサービス(Selbstbedienung:ゼルプストベディーヌング)式の食堂のこと。利用者がカウンターに並んでいる中から、好みの料理や飲み物を選んでトレイに乗せる。最後にレジで精算を済ませてから、テーブルに運んで食事をするシステムである。ドイツの飲食店では、支払いは席に着いたまま行うのが普通だが、この「カフェテリア」は例外である。駅構内やデパート、高速道路のパーキングエリアなどで、多く見掛けられる。
  大学の学生食堂(Mensa:メンザ)や社員食堂(Kantine:カンティーネ)などでも、この形式を採用しているが、一般客には開放されていない場合が多い。

★ ファーストフードチェーン店(Schnellrestaurantkette : シュネルレストラーンケッテ)

  魚や魚介類専門の「Nordsee:ノルトゼー」や、鳥料理専門の「Wienerwald:ヴィーナーヴァルト」は、ドイツ発祥のファーストフードチェーン店である。その他、世界的にも有名なハンバーガーやピザなどのチェーン店も、ある程度の大きさの街であればドイツ全土で見掛ける。

★ 居酒屋・飲み屋(Kneipe : クナイペ)

  「居酒屋」といっても、昼間は喫茶店とそれ程変わらない。扱っているアルコールの種類の多さでは特出しているが、アルコール飲料と、それ以外の飲み物の注文される割合は同じ位である。「酌み交わす」という習慣がないので、各々好みの飲み物を注文し、自分のペースで飲んでいる。
  ドイツでは、「食事」の際の飲み物としてアルコール類を注文することが多いが、「飲む」ことが目的の場合には、ただ単に飲んで喋ることに集中する。食後に出掛け直すことが多いのも一因であるが、彼らは、所謂「酒の肴」を必要としない。それでも空腹に備えて、一応軽食は用意されている。
  ビール醸造所の直営の場合もあるビーアハレ(Bierhalle)や、木に囲まれたビーアガルテン(Biergarten)、ワインの種類の多いヴァインケラー(Weinkeller)やヴァインシュトゥーベ(Weinstube)なども、ドイツの飲み屋に含まれる
《営業時間》 昼頃から深夜まで、通しで営業する店が多い。

★ 喫茶店(Café: カフェー)

 「カフェー」というのはかなり広義である。店の形態や雰囲気、営業時間などが様々だからである。また、日本の喫茶店と比べると、アルコール類が充実しているので、上記の「クナイペ」との境界もかなり曖昧である。
  喫茶室付きの菓子屋(Café Konditorei:カフェー・コンディトライ)や、アイスクリーム専門の喫茶店(Eiscafé:アイスカフェー)もある。この他にパン屋の店先で、立ち飲みのためのテーブルを置いている(Stehcafé:シュテーエカフェー)もある。
カフェー・コンディトライとアイスカフェー、カフェーの3店舗のテーブルがひしめき合う 気温の高低に関らず、天気の良い日には、店の前の路上や中庭にもテーブルやイスが並べられる(公共の道路を使う場合には、許可と使用料が必要)。
  フランスやイタリアと違って、座る場所によって料金が左右されることはない。


◆ カフェー(Café)

 店主の経営方針や集まってくる常連の客層によって、店の雰囲気は様々である。大抵は、飲み物だけでなく軽食も取れる。中には料理部門に力を入れていて、(大衆)レストランに負けない位の店もある。朝食やブランチ、昼食、午後のお茶、軽い夕食や待ち合わせなど、色々な時間帯に利用できるので重宝である。当然ながら、営業時間もかなり長い。
《営業時間》 個々の店や、その営業形態、立地条件によってかなり異なる。 場合によっては、早朝から深夜まで。

◆ カフェー・コンディトライ(Café Konditorei)

 喫茶室を併設した菓子屋。ここではお菓子が主役で、内容、種類共に充実している。サンドイッチやサラダ、スープなど軽食を取れる店もある。飲み物はコーヒーやお茶が主だが、ジュースや清涼飲料、それに種類は少ないがアルコール類も置いてある。
《営業時間》 菓子屋の営業時間とほぼ同時である。そのため、普通のカフェーと比べると閉店時間は早目である。

◆ アイスカフェー(Eiscafé)

 喫茶室を併設したアイスクリームの販売店で、イタリア人の経営する店が多い。アイスクリーム(Eis:アイス)やパフェ(Eisbecher:アイスベッヒァー)の他、カプチーノ(Cappuccino)やエスプレッソ(Espresso)、ラッテ・マッキャート(Latte Macchiato)などのイタリアのコーヒーも人気がある。
  夏は当然書き入れ時だが、春や秋も営業している。真冬には、まとまった期間店を閉めて、従業員全員に休暇を出す店もある。

★ 軽食の屋台(Imbissstand : イムビスシュタント)

 持ち帰り可能な軽食と飲み物を販売している。ここで使用されている食器は、紙やプラスティック製である。広場や街角など、常時同じ場所で営業している「定住タイプ」もあるが、市場や祭りの際に一時的に現れる「仮設タイプ」や、車での販売も多い。これらの屋台の目印になるのは、立ち席用のテーブルと巨大なゴミ箱である。オッフェンブルクのソーセージスタンド
 ドイツ全土、何処ででも良く見掛けるのが、ソーセージの屋台(Wurststand:ヴルストシュタント)である。旧西ドイツ側の地域では、俗語で「Pommes-:ポメス〜」または「Frittenbude:フリッテンブーデ」とも呼ばれている。
 販売されているのは、焼きソーセージ(Bratwurst:ブラートヴルスト)や、茹でソーセージ(Bockwurst:ボックヴルスト)。大抵は、切り込みを入れた小型パン(Brötchen:ブレートヒェン)に挟み、紙ナプキンで包んだ状態で手渡される。小さな紙皿に乗せ、ソーセージとパンを別々に出すこともある。マスタード(Senf:ゼンフ)やケチャップ(Ketschup:ケーチャップ)を添えて、熱々を頂く。
  特に人気が高いのが、ベルリンとハンブルクで本家争いがあるというカレーソーセージ(Currywurst:カリーヴルスト)。カリーヴルスト(小型パン付き地域や店によって、材料や調理法が少しずつ異なっているが、幾つかの共通点がある。焼くか揚げるかしたソーセージを一口大に切って、深めの紙皿に乗せる。その上に、トマトケチャップベースのソースと、名前の根拠となるカレー粉が掛けられ、爪楊枝が添えられる。
 ハンバーガー(Hamburger)やサンドイッチ(belegtes Brötchen:ベレークテス・ブレートヒェン)の他、「Pommes(ポメス)」と略して呼ぶことの多いフライド・ポテト(Pommes frites:ポム・フリット)なども扱っている。フライド・ポテトには、好みでケチャップやマヨネーズ(Mayonnaise:マヨネーゼ)を添える。
 昔ながらのソーセージスタンドの他にも、長方形のピザパン(Pizzaschnitten:ピッツァシュニッテン)や、若者達に人気のトルコのポケットサンドイッチ(Döner Kebab:ドェナー・ケバプ)などを扱う屋台もある。



コラム担当

Kimiko Kochs
人物 キミコ・コッホス
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