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連載コラム 今日は何飲む?
いろんな出会いがあります。意外な出会い、運命的な出会い。出会いからは何かが生まれます。このコラムはそんな“出会い”の話です。出会いを求めている主人公はワインや日本酒などのアルコール飲料。相手は料理、時としてフレンチ、イタリアンあるいは日本料理かも知れません。どんな巧妙な出会いが料理人の手で演出されるか。ぜひ楽しみにしてください。
エッソンス・エ・グー(後編)
同じ銘柄、同じヴィンテージ、同じ作り手のワインがこれほど異なるものか、と新たな発見に感動した前編。「ワインは生きている」ということが実感できました。後編ではこの素晴らしき白ワインに合わせた料理がもう一品残っており、それも実に楽しみなのですが、同じ作り手による赤ワイン、そしてこの赤ワインと同じ品種で作られた「新世界」オーストラリアの赤ワインが待っています。シェフは白ワインにも増して、料理の構成に悩んだと話していました。さて、どのような発見があり、この最終回、「ワインと料理の出会い」ということに関してなんらかの結論が生まれてくるのでしょうか。


主人公
1.サン=ジョセフ 2001(ダール・エ・リボ):品種はルサーヌ種とマルサーヌ種。

2.クローズ=エルミタージュ 2003(ダール・エ・リボ):品種はシラー種。 これらの2本のワインは北部ローヌの自然派ワイン生産者ルネ・ジャン・ダール氏とフランソワ・リボ氏によるもの。

3.ピラミマ シラーズ 2002(マクラーレン・ヴェイル):品種はシラーズ種(オーストラリアではシラーをシラーズと呼ぶ)。1世紀以上の歴史を持つブドウ畑産。樽はアメリカン・オークを使用

出会いを演出する人
大阪・高槻『エッソンス・エ・グー』
オーナーシェフ 山田裕氏


出会った料理
アミューズ・ブーシュ:ワカサギのフリット
ホタテのブレゼ、丸大根のスープ
フォワグラとリンゴのロティ
イトヨリのムニエル
エゾ鹿のロティ
牛フィレのロティ、フュメ


『今日は何飲む?』野次馬隊
Y:本業は某広告制作会社のクリエイティヴ・ディレクター。日本ペンクラブ会員。ワイン関係の著作も多く、クラッシック音楽への造詣も深い。著作に『今日からちょっとワイン通』『現代ワインの挑戦者たち』『そこまで聞くの?ワインの話』等がある。

JH:辻調グループ校西洋料理主任教授。でも料理を作ることより実はワインが大好き。ワインの知識は中途半端でただいま勉強中のおじさん。ワインと料理のマリアージュとよく言われるが、それは本当にあるのか疑問をもっている。

M:才能豊かな女性。辻調グループ校のスタッフのひとり。いろいろな仕掛けを企む人。食べることと飲むこととヴィオラを演奏することをこよなく愛する。とりわけ飲むことは・・・

S男性。どちらかというと晩熟型(悪く言えば進化が遅い)。趣味はアイロンがけと靴磨き。このコラムの担当者。大の猫好き。


● フォワグラとリンゴのロティ

S:ソースは何ですか?
JH:ポートワインベースでコリアンダー風味ですね。
M:フォワグラとリンゴは一緒に食べたほうがよいのでしょうか?
JH:まずワインをクッと飲んで。一緒に食べる。
S:フォワグラとリンゴの組み合わせって多いですよね。
JH:うん。フォワグラは、果物と合わせる場合が多いですね。フォワグラとリンゴ、フォワグラとイチジク、少し変わったところではフォワグラとパパイヤ…。
Y:フォワグラには、よくソーテルヌの貴腐やポートワインなどを合わせますね。やはり甘酸っぱい味と合うのでしょう。
JH:でも、このポートワインベースのソースとコリアンダーってそれだけで完結してしまっていますね。ワインだけ余分かなって感じです。フォワグラ、リンゴまでは大丈夫なんですが、ポートワインの風味が入るとワインが必要でなくなってしまう感じですね。
S:その印象は1本目のボトルでも2本目のボトルでも同じことですか?
JH:私は酸味の強い2本目のボトルのほうがその印象が強いですね。ワインの酸味に料理の酸味をぶつけるという、ある意味安易な合わせ方になっています。
Y:確かに、その公式にのってしまったのかなって感じがちょっとしますね。料理としては素晴らしいんですが。
S:美味しいです。
JH:ま、最終回ということで少しまとめた意見を述べさせてもらいますと、そもそも料理とワインを合わせようという企画自体が…。
S:無理?(笑)
JH:無理ではないけれど、料理にとってもワインにとっても可哀相(笑)。
S:以前から一貫してそういう風におっしゃっていますね。
Y:ぼくも、こういう企画に最初から携わってきて言うのも変なのですが、実は、料理とワインの組み合わせはそれほど気にすることはない、と常々思っています。ただ、シェフにとっては、こういうことをやってみる経験は悪いことじゃないと思います。実際にやってみないと、よく言われている「共通項を合わせると双方が美味しくなる」という説が当てにならないということは、なかなか納得してもらえません(笑)。
S:なにしろ今は、その公式が金科玉条みたいになっていますからね。
Y:でも、その公式でやると大概は失敗するということを、そろそろ声を大にして言ってもよい時期だと思います。特に、料理人の方には実感していただきたいですね。同じ味、同じ香りを合わせると、相乗効果どころか逆に殺しあっちゃうというのは、単純な理屈ですよね。ですから、たとえば、あるワインがすごく酸っぱく感じたり、青臭く感じたりってことがあるとしますよね。そういう時に「欠点を殺す」ために、料理のほうに酸味を添えたり、青みを添えたりというテクニックはありだと思うんです。
S:フランスの分子料理科学者の人の書いたレシピ本に「クルミ入りのソーセージには、ナッツの香りのニュアンスを持つシャサーニュ=モンラッシェを合わせるとソーセージの風味は倍増する」などと書かれていたのですが、これなどは共通項で合わせた例ですよね?
Y:そうですね。でも、ごくまれになんですが、まったく同じ香りではなくて、似たような香りで少しだけ異なる香りを合わせると、風味がアップするということもあるんです。そのあたりは、微妙ですね。
S:公式ということでは、いまだに肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインという不文律も生き残っていますよね。でも、肉料理に白ワインが合うということは、そんなに珍しくないんじゃないですか。
Y:あれは、力強い料理には力強いワインを、繊細な料理には繊細なワインを、というくらいの意味なんだと思います。肉料理でも、今日の白みたいに力強いタイプなら充分に合うでしょうし、反対に魚でも、脂のしっかりとのった、例えば旬の大鯛とかマグロのトロとかの料理だと、軽い白じゃあ、負けちゃいますよね。ものすごく力強い白か、それともいっそのこと赤ワインのほうがずっと合うはずです。
JH:公式は、大雑把なくらいが一番で、あんまりマニアックにならないほうがよいってことでしょうね。ワインも料理も、そんなに難しいことを言わないで、楽しく食べて、楽しく飲もうよってことじゃないですか。もちろん、知りたい人は勉強すればよいと思うのですが、それを他者に押しつけるというのはどうかなと思います。本など読んでいると「これはこうだからかくあるべき」などという記載が多すぎますね。
S:次はクローズ=エルミタージュの赤です。
Y:クローズ=エルミタージュは、一般的にはそんなに高級なワインではありません。“エルミタージュ”という偉大な名称がついているので、つい高いワインかなと思ってしまう人がいるようですが、エルミタージュの周辺でつくられている気楽なワインくらいに思っておいたほうが、期待が裏切られません。もっとも、この醸造元がどんなワインを作っているかは、興味がありますね。
S:なにしろ、先ほどのサン=ジョセフと同じ醸造元ですからね。
JH:やっぱり期待しちゃいます(笑)。
M:次のムニエルから、この赤でいくってことですよね。

● クローズ=エルミタージュが注がれる

JH:これもラベルがお洒落ですね。
Y:ほーっ。よいワインですね、これは。クローズ=エルミタージュとは思えない。
S:今おっしゃった「よいワイン」という意味は、いろいろなもののバランスがとれているということなのでしょうか?
Y:それもありますけど、なによりも凝縮度です。エルミタージュとまでは行きませんが、果実味もタンニンもしっかり乗ってますし、シラーという葡萄に特有の、黒コショウを思わせるスパイシーな香りも典型的に出ています。ただし、この地域のワインにしては、ちょっと甘い香りが強すぎるかなという気はしますけれど…。

● イトヨリのムニエル

Y:また、大きなイトヨリですね。うん、これは赤よりも、さっきの2本目の白との相性が抜群ですね。やっぱりイトヨリの脂の乗りが決め手なんだと思います。
JH:ほんとうに大きいですね。
M:この緑のソースは?
JH:これはバジル、少し味が薄いかな? この赤は甘いフルーツのニュアンスが少し強すぎて、魚には合わないような感じですね。
Y:よいワインなんですが、白身魚に合わせるには、ジャムっぽいニュアンスが強すぎるかもしれません。ただクローズ=エルミタージュでこれだけの充実感を出すというのは大した作り手だと思いますよ。
S:確かにこの料理と一緒に2本目の白を飲むと今まで感じられなかったオイリーな風味が出てきます。
Y:まさにその通りです。熟成感が出ますよね。同時にこの白で食べると、魚の旨みも強調されてきますよね。
JH:この料理まで白でよかったみたいですね。
Y:ええ、実によく合います。2本目の中に1本目で感じていた良さがすべて出てきます。
JH:合う、というのはそういうことですね。とりわけ何も考えなくても、合う時には合うんですよ。


● エゾ鹿のロティ

Y:エゾ鹿って、本州の鹿と違って血抜きをしていないのが多いですね。これは意図的なのでしょうか?
JH:そうだと思います。輸入鹿肉はほとんどニュージーランド産なんですが、それと比べるとエゾ鹿は血の味がして美味しいです。
M:きれいなロゼの状態で、美味しいですね。
Y:この料理にはこのワインは位負けしちゃいますね。
JH:シェフが言っていたようにこのワインに合う料理は難しいのでしょう。
Y:この料理に合わせるのだったらクローズ=エルミタージュではなく、まさに、熟成したエルミタージュの出番です。よくジビエにエルミタージュと言いますが、この料理なら完璧な相性だったろうと思います。
S:例えばコート・ロティなどは?
Y:それもいいですね。素晴らしいと思います。
JH:コルナスでもよいかも知れませんよ。
Y:艶やかで深みのあるエルミタージュと、力強くしかも包容力のあるコート・ロティ、頑固親父みたいな雰囲気のコルナス――ま、この三つがローヌのシラーの代表なわけですが、どれも間違いなくジビエにはよく合います。このワインも、単独で飲むと結構いいところに行くんですが、こういう料理と合わせちゃうと、芯の弱さが露呈しちゃって、ちょっと可哀想でしたね。

● ピラミマ シラーズが注がれる
● 牛フィレのロティ、フュメ

S:前回のコンピトゥムの小冊子の対談の中で、赤ワインを飲み慣れない人の入門酒としてはオーストラリアの赤がわかりやすい、とおっしゃってましたよね。
Y:オーストラリアの赤は、渋くないものが多いんですよ。回転式の発酵タンクを使ったり、発酵初期に激しく攪拌したりして、皮から色と香りを素早く溶け出させて、その後はいったん絞って、白ワインと同様に果汁だけを発酵させるわけです。ですから、種からのタンニンが溶け出してこない。つまり渋くないというわけです。ところで、このワインは、ものすごく「アメリカン・オーク」の香りが強いですね。この作り手はある意味“今”ではなく、昔ながらの作り方をしています。
S:ヴァニラの香りと…。
Y:ヴァニラとココナッツの香りです。
S:うん。ココナッツの香りがすごく強い。
Y:これがアメリカン・オークの樽の香りです。ヴァニラの香りはヨーロピアン・オークにもありますがここまで強くココナッツの甘い香りが混ざってくるのはアメリカン・オークしかない。でも、最近の傾向としては、ここまで強烈なアメリカン・オーク香は敬遠されることが多いんですよ。そのため、樽材をあらかじめ雨ざらしにしたりして、香りをおとなしくする傾向にあるんですが…。
S:このワインに関する限り、あえて強くその香りをつけているということなんですね?
Y:昔ながらのオーストラリア的な趣味をそのまま残しているんでしょうね。
M:わたしは、とても美味しいです。
Y:ええ、これはこれでひとつの世界ですから。でも、あまり品のよいワインとは言えないかもしれませんね(笑)。
S:品のよいワイン、あるいは品のないワインというのは具体的にどういうことなのでしょうか?
Y:ひとつは抑制が効いているかどうかじゃないでしょうか。あるひとつの味わいを野放図に、剥き出しにポンと出してしまうのか、それとも、他の様々な要素で包み込んでいくのか。「バランス」とは、ちょっと違いますね。突出した個性があることは、むしろ良い事なんで、それが剥き出しなのかどうかってことのような気がします。フランス人は、それをフィネスと呼んでいますね。
S:野放図に出してしまうのは品がよくない、と。
Y:そんな感じがします。ところで、この牛肉、ものすごく脂がのっていますね。
JH:なるほど。この脂は、このワインでは全然洗えませんね。
Y:今日の最後にこのワインがきたのは少し無理があったかも知れません。肉に脂がのっている時には、タンニンのしっかりしたワインの方が無難です。脂との相性で、タンニンがまろやかに変化するので、単独では渋いくらいのワインでもおいしく楽しめます。残念ながら、このワインは正反対なので、口の中がしつこくなってしまいます。
JH:それにしても今日のワインはたった3種類ですけれど、すごく面白かったです。
Y:同じワインのボトル差も楽しめたし、フランスワインとオーストラリアワインの比較も面白いですよね。
JH:なかなか意地悪だけれど面白いワインを選んだなあ、という感じですね(笑)。
Y:いや、意地悪というか、今回はシラー種の飲み比べをしてみたかったんです。ところが、シラー種のワインが、この2種しかなかったというだけのことでして――。ただ、フランスのシラー種からのワインは、普通はもっとスパイシーで、これほど果実味が前面に出ないものが多いはずなんです。
JH:一般的にはそう言いますね。
Y:そういう意味では、シェフは、果実味系のシラー種ワインがお好きなのかもしれませんね。もっとも、このふたつのワインを飲み比べて面白いのは、このクローズ=エルミタージュは、単独で飲むと、フランスのローヌ地方の中では例外的なほどにジャムっぽい、甘いニュアンスのワインですよね。ところが、その後にピラミマを飲むと、このクローズ=エルミタージュはなんと甘味を抑制しているのだろうって感じてしまう。それがつまり、フランスとオーストラリアのワインの違いなんですよ。フランスの中ではあり得ないほど甘いニュアンスのワインでも、オーストラリアのワインと比べるとこういうことになる。ただし、先ほども言いましたけれど、今のオーストラリアワインの主流は、これほどまでに甘くはないです。樽の香りにしてもここまでは出していません。
S:この作り手はかつてのオーストラリアの…。
Y:そう、昔ながらのオーストラリアのやり方を今も残しているタイプですね。実は、今回の3本はどれも飲んだことのないワインだったんです。でも、一般の方がレストランに来たときは大抵はそういう状況になるわけですよ。飲んだことのないワインを選ばざるを得ない。
S:なるほど。
Y:当然、結果がよかったり、悪かったりするわけですが…。
S:それが楽しいんですよね。
Y:そうなんです。だって、実はね、今日のサン=ジョセフもファックスでワインリストを拝見した時には、てっきり赤の方だと思って頼んでたんです(笑)。そうしたら、いや赤じゃなくて、白の方ですってことでしょ。ちょっぴりがっかりしたんですが、結果的には、そのサン=ジョセフが予想を超えて素晴らしかった。ですから、レストランでは、そういうハプニングも含めて楽しむのが一番だと思うんですよ。

● シェフ登場

全員:ご馳走さまでした。
JH:いろいろ悩んだみたいですね?(笑)
シェフ:ぼく自身が飲むんだったら、どんな料理が合うかなということで合わせてみたのですけれど。
JH:このビオディナミのワインは面白いですね。うわさでは、このクローズ=エルミタージュは、雨の日にあけると風味が変わっちゃうんでしょ?
シェフ:作り方が独特らしいです。蓋を開けて、温度管理などせずに醸造するらしいんです。で、2002年や2003年は暑かったので、ほとんど酢のようになってしまったらしいんですよ。
Y:ちなみに蓋を開けてというのは特別に変わった醸造法でもなんでもなくて、ブルゴーニュからコート=デュ=ローヌにかけての伝統的な作り方です。木の桶に房ごと入れて、発酵の様子を見ながら、ゆっくり房を潰しながら醸造していくというやり方ですね。ただし、この場合、表面は常に炭酸ガスで覆われることになるので、酸化することはあり得ません。ですから蓋を開けているから酢になってしまうということは、ちょっと考えにくいです。
シェフ:実は同じワインを大阪の某レストランで飲ませていただいたときにとても酸っぱくて、あまりに酸っぱいので残してしまって、インポート業者に文句を言ったら、醸造桶の中で上部が酢になって、それを混ぜ込むということだったんです。
Y:それはそのインポーターの方の説明に信憑性がないですね。そうではなくて酸化防止剤を入れていないために酢になりやすいだけのことでしょう。
シェフ:その方は自分でダール・エ・リボに会いに行って、醸造も自分の目で見られているので、話を聞いたときに納得できたんですけれど…。
Y:でも、開放式の発酵槽自体は、そんなに特殊な作り方じゃないんですよ。それに、今日飲んだような素晴らしいワインを作る人間が、上の方を酢にしちゃったり、ましてや酢になった部分を混ぜちゃうなんてことは信じられません。この作り手は、間違いなくよい作り手だと思いますよ。これだけのワインはなかなかこの地域では作れません。
シェフ:ぼくも、この手のワインは興味がありましてね。ただ、風味にバラツキがありそうなので、3本入れて、1本は自分で飲んで確かめて、2本は売ろうかな、という形でやっているんです。
Y:サン=ジョセフが特に面白かったです。
シェフ:ぼくもサン=ジョセフは大好きです。今日の中では、オーストラリアのワインも、すごくフルーティーで、個人的にはゴクゴク飲みたい感じがしています。
JH:高級感には、ちょっと欠ける感じだけどね(笑)。
シェフ:地元のお客さまには、こういったワインもけっこう人気があります。飲みやすくて、価格的にもちょうどよいですし。
Y:こういうワインがお店にあるのはいいことですよ。
S:そうですね。赤ワインの入門編としてよいってことですよね。
JH:繰り返しますけれど今日のサン=ジョセフの2本は、とてもよい経験をしました。2本のボトルの風味の相違がほんとうに面白かった。
Y:ほんとうにこの白だけで満足できるぐらいでした。素晴らしかったです。
JH:シェフとしては、この白でどの料理までいけると思っていましたか?
シェフ:フォワグラですかね。
JH:ワカサギのフリットはこの白ワインをまったく意識していなかった?
シェフ:ワカサギも、この白を冷やしてなら合うかな、くらいには思っていました。なにしろ今回は自分がどういう風に食べたいかなというところで合わせてみたんです。料理の温度によってもワインの風味は変わると思うので、例えば冷製のフォワグラよりも少し温かなフォワグラが面白いかなとか…。ソースにこのワインを少し入れて作れば、もう少し相性がよかったのかなとも思ったのですが…。
Y:いや、それはやらなくて良かったと思う。同じものを入れるのは、あんまり良い手とは言えないんですよ。
JH:相性論で一番安易なのは、料理に使う香りと共通の香りをもつワインを合わせてみましたというもので、これは確かに合うといえば合うのだけれど、ワインと料理の関係というのはそうではなくて、相乗効果を探すべきだと思いますね。料理にない部分をワインに求め、ワインにない部分を料理に求めるというね。そのことを理解していない人が多いのかなという感じがしています。とはいうものの、実際にその相乗効果を見つけるのはとても難しいと思います。でも、たとえば、今日の1本目の白とワカサギは実に良く合いました。先ほども聞いたように、ことさらワカサギに合わせようとはしていなかったにもかかわらずです。
シェフ:実は、ワカサギは出さないでおこうかなって思っていたんです。
Y:いや、出していただいて、嬉しかったですよ(笑)。ま、何度も言うように、相性の話は、そんなにうるさいことを言う必要はないんですけどね。美味しい料理と美味しいワインがあって、お互いが邪魔しなければ一番で、たまたまものすごく合うことがあれば、それは例外的な幸せだっていうことです。今日の流れでいうと、ワカサギと1本目の白、それにイトヨリと2本目の白ですね。
JH:それにしてもほんとうに新鮮な発見でしたね。楽しかったです。

 ビオディナミの製法で作られた白と赤のワイン、そして、「新世界」オーストラリアの赤ワインと、ある意味実にやっかいなワインのチョイスに精一杯応えてくれたオーナーシェフの山田氏。完成度が余りに高く、ワインが入り込む余地のなかった料理もありました。シェフの意図したところとはまったく異なる素晴らしい「出会い」もありました。料理とワインの「出会い」とはどうも“偶然性”に負うところが大きいのかも知れません。だからこそ食卓の楽しみがあるのでしょう。結局のところ、この企画を通して繰り返し発言されてきたように、美味しいワイン(酒)と美味しい料理をそれぞれが好きなように楽しむ、これが最も大切なことなのかも知れません。

 これで「今日は何飲む?」の最終回が終わりました。それぞれの店で勝手なことを話し続けた野次馬隊は一度これで解散します。ゲストの方々、そしてやっかいな要求に快く応えていただき、懸命に考えた料理を作り出してくださったシェフ、料理長の皆様、ご協力ありがとうございました。



エッソンス・エ・グー出会いの舞台

エッソンス・エ・グー

〒569-1117
大阪府高槻市天神町1-13-19
フォレストコート101
Tel.&Fax 072-685-0313
営業時間: 11:30〜14:00L.O.
  18:00〜21:00L.O.
定休日: 水曜日
URL: http://www14.plala.or.jp/eg/


コラム担当

野次馬隊
人物 須山 泰秀
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