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連載コラム とっておきのヨーロッパだより
辻調グループ校には、フランス・リヨン近郊にフランス料理とお菓子を学ぶフランス校があります。そこに勤務している職員が、旅行者とはまた違った視点から、ヨーロッパの日常生活をお届けします。
チョコレートに込めるもの
   2月14日といえばバレンタインデー。
   特別な想いを込めチョコレートを贈る日です。過剰な期待と現実のギャップに泣いた苦い思い出や勝手な緊張ゆえ挨拶すらギクシャクしてしまった若い頃など様々な記憶が脳裏を駆け巡りますが、この行事は日本だけの習慣のようで、ヨーロッパでは男性が女性に花やプレゼントを贈ったりはしますが、日本ほど特別な日ではないようです。
   さて、そんな日本での特別な日にヨーロッパだよりを投稿するからには、何か関連するものはないものか?・・・・・・とあれこれ考えた末、今回取り上げたのはチョコレートに込められた“熱い想い”ではなく、“アルコール”です!!
   皆さん、チョコレートの中にウイスキー、キルシュ、マールなどのお酒が入っているお菓子“チョコレート・ボンボン”はご存知でしょう。子供の頃、口には入れたもののアルコールが入っているとは知らず食べきれずに途中で断念した方、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?年を経てお酒を楽しめるようになり多少の知識が身に付いてきた今となっては俄然その中身が気になってしまいます。

ベルナションのチョコレート・ボンボン
右がアルマニャック、左がキルシュ入り

ベルナションのチョコレート・ボンボン
右がアルマニャック、
左がキルシュ入り

   さてチョコレート・ボンボンですがフランス・リヨンの老舗“ベルナション”をのぞいてみると通年キルシュ、アルマニャックなどが置いてあるようです。フランスのショコラティエ(チョコレート屋)に行くと昔ながらの銀紙に包まれたチョコレート・ボンボンというのは見かけなくなりましたが(商品名も含め)、アルコールの入ったショコラ(チョコレート)は数多く存在します。
   そんな数ある中でも今回取り上げたのは、私が最近注目しているアルマニャックです。

   アルマニャックとは
  1. フランス南西部のジェール県、ランド県、ロット・エ・ガロンヌ県に広がる生産地域の名前
  2. その地域で生産された白ワインを蒸留して作った蒸留酒のことです。1936年8月6日にA.O.C.(appellation d’origine contrôlé原産地統制呼称)に認定されており、品種、製造方法、熟成と様々な規定があります。
   それではまず栽培地と土壌から見て行きましょう。
バ・アルマニャックの土壌

バ・アルマニャックの土壌

 
アルマニャック・テナレーズの土壌

アルマニャック・テナレーズの土壌

   アルマニャックの生産地は
バ・アルマニャック  Bas Armagnac ・・・ 粘土と珪質土壌。石灰岩は少なく酸性。
アルマニャック・テナレーズ  Armangac Ténarèze ・・・ 粘土質石灰岩と砂。
オー・アルマニャック  Haut Armagnac ・・・ 粘土質石灰岩および石灰岩。砂に覆われた地域もある。
の3つに分かれています。

   当然土壌は味わいにも大きく影響し
バ・アルマニャック ・・・ プラムを思わせる果実味まろやかな味わい。
アルマニャック・テナレーズ ・・・ 花の香り。石灰岩由来の酸味。
オー・アルマニャック ・・・ 中間的な性格。
とそれぞれの産地で個性あるアルマニャックになります。

オー・アルマニャックの土壌

オー・アルマニャックの土壌

   次に品種と製造方法です。
   アルマニャックは主にユニ・ブラン、バコ22A、フォル・ブランシュのブドウが使われています。

   基本的な作り方は
  1. まず通常通り白ワインを作る。
  2. その原酒となる白ワインを1回だけ蒸留し、アルコール度72%以内の蒸留酒を作る。(法律で上限は72%と決まっていますが、50〜60%ほどにとどめる事が多いようです。)
  3. 樽で数年寝かせた後、アルコール度を40%に調整し出荷。 その蒸留の際「連続式蒸留機」といわれるアルマニャック独自の機械を使います。
蒸留機   連続式蒸留機の解説

蒸留機

 

連続式蒸留機の解説


   仕組みは以下、上記の図を参照しながら読んで下さい。

樽熟成中のアルマニャック

樽熟成中のアルマニャック

 
1989年のヴィンテージと10年の熟成年数表示入りアルマニャック

1989年のヴィンテージと10年の熟成年数表示入りアルマニャック

  1. 右のタンクを冷たいワインで満たす。満タンになると自動的に左のタンクに流れ始める。
  2. 左のタンクにはボイラーがついておりワインを温め蒸発させる。
  3. 気化したアルコールは右のタンクに移り、タンク中の管を通る内に冷やされる。
  4. アルコール度50〜72%の液体となり樽に集まる。
となっています。蒸留直後は無色透明なのですが、その後の樽での熟成中に樽の色が移り茶色くなっていきます。
   さてその「熟成」なのですが、ここにもアルマニャック特有の規程があります。蒸留酒は味わいを毎年一定に保つため複数年の製品をブレンドし仕上げます。よってラベルには5年、10年、20年、・・・と使用した原酒の中でも一番古いものの熟成年数を表示する規定になっています。アルマニャックではそれとは別にブレンドせずに単一年だけのヴィンテージ・アルマニャックを作る事ができます。

   チョコレートとお酒のマリアージュは昔から好相性を示す組み合わせですが、最近雑誌の特集で取り上げられたりと日本でも新しい楽しみ方の一つとして浸透しそうな勢いがあります。バレンタインに限らずとも日常のちょっとした贅沢として、チョコレートと共に自分の産まれ年のヴィンテージ・アルマニャックを飲みながら・・・なんて面白いかもしれませんね。


 

コラム担当

フランス校 西洋料理担当
人物 丸山 武
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