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連載コラム とっておきのヨーロッパだより
辻調グループ校には、フランス・リヨン近郊にフランス料理とお菓子を学ぶフランス校があります。そこに勤務している職員が、旅行者とはまた違った視点から、ヨーロッパの日常生活をお届けします。
麗しの島コルシカから・・・
 コルシカ島は総面積8700平方キロ、日本の四国の約半分、あるいは兵庫県と同じぐらいの広さです。人口はたったの26万人(兵庫県の人口は550万)。生活経済は1960年以降から開発に力を注いでいる観光関連産業(古い歴史の名所旧跡や世界遺産の指定を受けている自然等)と、何百年と続いてきた生産性の低い小麦、ぶどう(ワイン)、オリーブの栽培、および羊(チーズ、肉)と山羊(チーズ)などの牧畜です。観光産業は1980年以降、年間約200万人以上の観光客が訪れており、島の人口より圧倒的な観光客の多さに驚きました。

 さて日本では「コルシカ」といいますが、フランス語では「コルス」と呼び、そしてコルシカ語では「コルシガ」と呼んでいます。街の入り口にある街名の看板は全てフランス語とコルシカ語で表記されていました。コルシカ語はイタリア語系の言葉です。
 コルシカは島を大体斜めに二つの県に分かれていて、右上側がオート・コルス県(地図のA)、県庁所在地はバスティア(島の北側にある)、ここにはコルシカ島の最高裁判所もあります。左下側がコルス・デュ・シュド県(地図のB)、県庁所在地はアジャクシオ。ナポレオンの生家があることで知られ、世界自然遺産として認められているポルト岬もこの県にあります。


コルシカ島で見た食材

 ポルト・ベッキオ
 コルシカ島最南端の街ボニファシオから北東方面に向かって車で約30分のところにある港町。港より少し離れた高台にマルシェや教会、商店があり、ここからの港や町の風景がとてもきれいなので、観光客がたくさんいました。また、港から内陸方面に向かって大きな塩田が広がっているのも見えます。
 マルシェにはいろいろな野菜や果物がたくさん並んでいました。トマトは普通の丸いトマトではなく、トマト・ク・ド・ブフ(直訳すると牛の尻尾トマト)が多く、特徴は牛テールの一節ごとに分かれた形のようにくぼみがあることです。南仏でもよく使うクルジェットやナスなどは肉厚で、見るからに取れ立てで、これらの野菜で料理を作ってみたいという気持ちに駆り立てられました。

 ここならではのものに、「マキの蜂蜜」と呼ばれるものがあります。コルシカ島ではたくさんの低木が標高約500mまで茂っている潅木地帯があり、それをマキといいます。サリエット(和名は「きだちはっか」)、オリーブ、ローズマリー、タイム、ねず、ミルティーユ(ビルベリー)などよく知られた植物や、他にもミルト(和名はギンバイカ。お祝いごとに贈られる花)やアルブジエ(やまももに似た実がなるツツジ科の植物)などはマキの重要な植物です。これらの花から蜂が採取したのが「マキの蜂蜜」として売り出されています。さて、食べてみた感想ですが、いろいろな花の蜜が混じり合って非常に味に深みがあり、黒糖に例えられる味、いえ黒糖以上に味に深みがありました。
 マキの花や実から、蜂蜜の他にもリキュール(ミルティーユ、アルブジエのお酒)、オイル(オリーブ油、香草油)なども作られています。
 
 次に訪れたのは生ハム類を売っているお店。店自体は大きくないのですが、中にはものすごく大量の生ハム(コルシカ語でプリヅーットゥ)、コッパ(肩ロースで作ったハム、イタリア、ロンバァルディア地方で作られているハム)、ビアンド・セッシェ風(別名ビアンド・グリゾン。スイスのグリゾン地方で作られているハム)等がありました。生ハム500gで24ユーロ(約3000円)と意外と安い。表面は乾燥しているので中もパサパサかと思って食べてみると、見かけよりしっとりしていて、味に深みがあり、脂の嫌な後味もなく、バゲットと合わせて食べるととてもおいしく味わえました。

 アジャクシオ
 コルシカ島最南端の街ボニファシオから、今度は反対側の北西にある港町。この街で目に付いたのはオマール、イセエビ、タイ、ルージェ、カサゴ等の魚介類。獲れたものをすぐにマルシェ並べるといった感じで売っているのは壮観でした。鮮度はいわずもがな、大きさはばらばらですが誰でも買いたくなるものでした。

 次に見かけたのはチーズ。コルシカで唯一のAOCを認められている「ブロッチョ」(1983年から)。このチーズは羊乳だけのもの、山羊乳だけのもの、二つをあわせたものなどがありますが、いずれも乳清と全乳を使います。
  作り方は、乳清を35度に温め、塩を加え、次に全乳をある一定量を加えてかき混ぜながら90℃まで熱すると表面に白い固形分が浮いてきます。網杓子ですくいとっては水きりカゴに入れ、水を切りながらカゴをいっぱいにして作るフレッシュチーズです。
  山羊のものは春から秋にかけて、羊のものは冬から初夏にかけて作られます。またこのチーズは熟成させたものもあり、1年中作られていて、1年中食べられるということです。
 日本にも近年、少量ですが輸入しているそうです。フレッシュチーズは、食感がやわらかく、山羊や羊から作られていますが癖もなく、香りも風味もよく、何個でも食べられてしまいます。値段は大体8ユーロ前後(1個500g)。

 次に紹介するのは「フルール・デュ・マキ」。このチーズは、羊乳で作られています。直訳すると「マキに咲く花」で、周りに乾燥したいろいろなハーブ(サリエット、ローズマリー等)をまぶして一ヶ月以上熟成させたもの。さらに普通、上に赤唐辛子と黒いねずの実、ローズマリー(乾燥)がのせてあります。香草類の香りがチーズに移っていて、さらに奥深い味になっています。今回、購入したものには赤唐辛子とねずの実は乗っていませんでした。値段は約19ユーロ(1kg)。

  最後に・・・
  コルシカには、この島ならではの素材を活かして作ったものや、旬の食材がとても多く、まだまだ見ていないものがたくさんあってすごく残念です。麗しの島呼ばれるだけにあって、自然もさることながら、料理人にとっては食材の宝庫だと感じました。
 

コラム担当

辻調グループ校 調理部 西洋料理
人物 増田 豊
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