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連載コラム とっておきのヨーロッパだより
辻調グループ校には、フランス・リヨン近郊にフランス料理とお菓子を学ぶフランス校があります。そこに勤務している職員が、旅行者とはまた違った視点から、ヨーロッパの日常生活をお届けします。
ホロホロ鳥ってどんな鳥?
  ホロホロ鳥(パンタードpintade)を食べたことがありますか? 食べたことのない人も、もしかして動物園などで目にしたことがあるかもしれません。ホロホロ鳥はサハラ以南原産の鳥で、ほぼ全身が灰青色に真珠をばらまいたような羽根に覆われています。首には羽根はなく黒紫の皮膚が見え、顔は白く、赤い肉垂があります。
  フランスでは家禽類をよく丸のまま調理するため、市場やスーパーに行くと、鶏、鴨、鳩などいろいろな家禽類が丸のまま陳列されています。その中に少し黄色がかった皮に覆われたホロホロ鳥の姿も見ることができます。

 

(c)OpenCage

 

 


  フランスはホロホロ鳥世界第一の生産量をほこり、フランス全土で飼育されています。
飼育舎ピエール・ベルナール氏と息子のトム君

ピエール・ベルナール氏
と息子のトム君

中には品質を保証する“ラベル・ルージュ”を受けているものや“フェルミエ(農家産)”と呼ばれる放し飼いで育ったホロホロ鳥などがあります。日本では認知度が少ないため、市場やスーパーなどでホロホロ鳥をあまり見かけることはありません。
  今回、見学させていただいたピエール・ベルナールPierre BERNARD氏の飼育所はブレス鶏で有名なブルカン・ブレスから北へ15km行った小さな町エトレにあります。ブレス鶏の飼育を主に行っている農家ですが、ホロホロ鳥の飼育も年間を通して行っています。この飼育所は、ブレス鶏をメインに飼育しているところなので、ホロホロ鳥もブレス鶏に準じて飼っていました。

ホロホロ鳥の飼育方法
  1. ホロホロ鳥の雛を業者(農家)から買う。
  2. 鳥小屋内のホロホロ鳥

    鳥小屋内のホロホロ鳥

  3. 雛を暖かく暗い鳥小屋で約8週間育てる。餌は小麦、トウモロコシ、脱脂粉乳などの混合飼料。ホロホロ鳥は寒さに弱いため、外気温に耐えられる、かなり大きくなるまで小屋で育てる。
  4. かなり大きくなったホロホロ鳥は右羽根先を切って10週間草場に放し(最低10m2/1羽の草場)、夜は草場の端にある小屋に入れる。
    ホロホロ鳥は、通常右手羽を切って飛んで逃げないようにしますが、ここでは羽根先を切るだけです。手羽がある方がきれいに見えますし、羽根を少し切るだけでバランスが取れなくなって飛べなくなります。飛び始める時期に切ると飛ぼうとしなくなり、飛んで逃げることはほぼないそうです。これは、ここだけでなく、ブレス地方一帯で行われています。

  5. 左手羽なし   左手羽あり

    右手羽なし

     

    右手羽あり


    餌は必要摂取量の1/3にあたる量の混合飼料しか与えず、残りは鳥が自分で虫を捕ったり、草を食べたりします。ベルナール氏だけでなくブレス地方のほとんどの飼育者は誇り高く、
    ホロホロ鳥用の草場

    ホロホロ鳥用の草場

    飼料の麦を自分で栽培することにこだわっています。
    放し飼いということで犬や他の動物におそわれる危険性があり、飼育管理が難しい。草場の周りに有刺鉄線をはり、見回りは欠かせません。ブレス鶏は夜になると、放っておいても自分で小屋に帰りますが、ホロホロ鳥はそれをしないため、小屋を草場の隅に設置し、追い込んで小屋に入れます。 草場に出してから3週間たつと900gに育ち、一部はホロホロ鳥の若鳥(パンタドーpintadeau)として出荷します。
  6. 10週間草場に放したホロホロ鳥は、出荷前にもう一度暗い小屋に10日間入れ、あまり動かないようにして餌を与える。ここで筋肉をやわらげ、脂を付けさせる。小屋に入れた時点で屠鳥業者に連絡しておき、10日後に取りに来てもらうようにする。1.8kg以上に育ったものから雄鳥→雌鳥の順番で出荷する。
  肉質は少し野性味がありますが、特有の臭いや癖などはなく、上品な味です。家庭では丸のままロティ(オーブンで焼く)、サルミ(オーブンで焼いたものを煮込む)、フリカッセ(煮込み)などにして食べられています。
  現在、高級レストランでは肉質のやわらかい若いホロホロ鳥(パンタドーpintadeau)は見られますが、大きく育てたホロホロ鳥(パンタードpintade)はほとんど使いません。フランスの温泉地で有名なヴィッシーにあるレストラン“ ジャック・デコレJacques DECORET “では珍しくホロホロ鳥をシンプルに低温でロティし、付け合せにはトウモロコシを使ってポップコーン、トルティーヤ(タコスの生地)、クリーム煮などを添えてメキシコ風にアレンジしたりしています。

ホロホロ鳥のサルミ   伝統的なホロホロ鳥のキャベツ風味  エスコフィエ校シェフ パスカル・コアール氏作   レストラン“ジャック・デコレ”のホロホロ鳥料理

ホロホロ鳥のサルミ

 

伝統的なホロホロ鳥のキャベツ風味 エスコフィエ校シェフ
パスカル・コアール氏作

 

レストラン
“ジャック・デコレ”の
ホロホロ鳥料理


  エトレの近くの町モンルベル・アン・ブレスにある創業1907年のブレス鶏を主に扱う屠鶏業者の“オ・シャポン・ブレッサンAu Chapon Bressan”も見学させていただきました。ここは従業員25人ぐらいで1日に処理する鳥は500羽というこぢんまりとした屠鶏場です。ブレス鶏は少しでも傷などがあると価値がなくなるため、ほとんどの行程を手作業でやっていました。また、鶏を飼育場から届いてすぐに屠鶏し、棚に並べて冷蔵庫に入れることにより、脂が固まり、きれいな形になります。それだからこそフランスの高級レストラン“ポール・ボキューズ”や“アラン・デュカス”などに提供できる信頼ある屠鶏業者です。もちろん辻グループフランス校もすべての家禽類をここから仕入れています。

経営者キャロル・コレさん   オ・シャポン・ブレッサンの冷蔵庫の中

経営者
キャロル・コレさん

 

オ・シャポン・ブレッサンの冷蔵庫の中


  残念ながら、見学に行った日はホロホロ鳥を扱う日ではなかったため、屠鳥の様子を見ることは出来ませんでしたが、屠鳥したホロホロ鳥とホロホロ鳥若鳥の違いを見せていただきました。

ホロホロ鳥

ホロホロ鳥(若鳥)

1.5kg 〜 2kg

900g

少し黄色い皮
で脂が見える

白っぽい皮で
肉が見える

青黒い首

白っぽい首





コラム担当

辻調グループ校 西洋料理担当
人物 大西 章仁
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