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ようこそ。ここは、コーヒー・フリーク専用のカフェです。
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抽出・焙煎のノウハウ、栽培、産地、科学、歴史、伝説、耳寄りな話、ちょっとおいしい話、うわさ話、こわい話etc.……、コーヒーのフルアイテムをとり揃えてマニアックに語ります。コーヒー好きの方なら、プロ・アマ問わず満足していただけると……。
コーヒーの生豆の見方(1)
おいしい? まずい? コーヒー生豆の見分け方

 コーヒーの材料はコーヒーしかありません。当たり前のことですが、このために素材であるコーヒーの生豆の個性や品質は、最終のコーヒー液に決定的な影響を与えます。つまり、良い材料からしか良い料理はできない、という公式が、端的に適用できるジャンルです。
 「良い生豆とはどんなものなのか?」。良い生豆を識別するために、多くの視点、切り口があります。この単純な問いに答えを理解してもらうために、多少の周辺知識を知ってもらい、その上答えに留保と付帯条件をつけなければならない、コーヒーは、そんなちょっとややこしいジャンルでもあります。
コーヒーの木
ただ、同じような面倒臭さは、ワインやお茶類などの伝統的な嗜好品に共通しているものではないでしょうか。

 では、「良い生豆」を見分けるための視点・切り口を紹介しましょう。これらは言い換えれば、我々が生豆の性格と品質の判断をするための基礎知識でもあります。


■植物学的視点:種(species)
  アラビカ種(Coffea arabica)、ロブスタ(カネフォーラ)種(C. canephora var. robusta)、リベリカ種(C. libericaをコーヒーの3原種といいます。現在、商業的に栽培されているコーヒーは、ほぼこの3つの種に限られています。「コーヒーのたどった道」で説明したように、15〜19世紀後半までは栽培種はアラビカ種のみで、ロブスタ、リベリカ種が栽培されるようになったのは19世紀末から。病害虫に弱いアラビカ種の代替種として栽培され始めました。
 じつは、コーヒーの植物学的分類に関しては、現在でも確定していませんが、シュヴァリエによる分類が一般化しています。
 たとえばアラビカ種の分類はRubiaceae(科=family:アカネ科)→Coffea(属=genus)→Eucoffea(亜属=subgenus)→Erythrocoffea(節=section)→C.arabica(種=species)となります。この後、アラビカ種は次の項で説明する品種(form)に分かれます(属〜種の学名は斜体で表記するのが通例)
 ロブスタの場合は、種(species)としてはカネフォーラ種で、その品種(form)のひとつと解釈されます。同じコフィア属ですが、種の違いは形状・風味・生育条件の違いにも顕著にあらわれます。

アラビカ ロブスタ

アラビカ

細長い舟形。酸味を有する。高温多湿の気候に不適。

ロブスタ

丸みを帯びる。酸味がほとんどなく、煎り麦の香りがきわ立つ。高温多湿、病害虫に強い。

リベリカ

菱形。酸味がなく、苦味が強い。高温多湿に適応。

 アラビカは熱帯産の植物ですが、高温多湿な季候に適せないため、熱帯・亜熱帯の高地で主に栽培されています。逆にロブスタはアラビカの栽培に適しない低地で栽培されます。
 現在の世界のコーヒー生産量は、およそアラビカ7割、ロブスタ3割。リベリカは1%未満で日本ではほとんど流通していません。一般的には、品質・価格はアラビカ>ロブスタですが、中・低級品のアラビカをロブスタの価格が上回る場合もあります。リベリカはさておき、ロブスタとアラビカの外見と風味の特徴を把握することが、コーヒーを知る第一歩です。

■植物学的視点:アラビカ種の品種(form,forma)
 現在、アラビカ種には、ほほ70種の栽培品種があるといわれています。ティピカとブルボン、20世紀の半ばまでは、どの生産国もイエメンから持ち出されて広まったこのアラビカ種の2大品種を栽培していました。しかし、1970年ころから生産性が高く、病害虫に強い改良品種が各生産国で積極的に導入され、多くの地域でティピカ、ブルボンはマイナーな品種になってしまいます。ただ、スペシャルティ・コーヒーの市場が拡大してきた1990年代後半以降は、香味に優れたティピカ、ブルボンの再評価が行われています。

ティピカ(ジャマイカ・ブルーマウンテン) ブルボン(グァテマラ)
 ティピカ、ブルボンのほか、カトゥーラ、ケントなどが優良品種とされ、このほか、ブラジルで開発された多産系のムンド・ノーボ、カトゥアイ、カティモル、中米のパーチェ、パーカス、コロンビアのバリエダ・コロンビア、大粒のマラゴジッペなどの栽培品種があります。
 品種の選択が品質に大きく反映しているとの認識が強まり、特にスペシャルティ・コーヒーの市場を射程に入れ、優良品種への転換を図る農園も多くなっています。上で紹介した品種のうちカティモル、バリエダ・コロンビアはスペシャルティ・コーヒーにふさわしくない品種とされています。

■栽培環境
 アラビカ種に好適な栽培条件は、熱帯・亜熱帯の高地で、おおよそ年平均気温20℃、年間降雨量1500mm、南あるいは南東向きの水はけの良い斜面で、火山性の有機物にとんだ土壌。まとめてしまうと、こんな所です。
 ただ、必ずしも最適=高品質ではなく、栽培限界に近い高地の方が力強く香りの高いコーヒーを産する場合が多いようです。特にメキシコからパナマにいたる中米諸国では、標高によってのみコーヒーの品質の格付けを行っています。このように、栽培環境の中で、標高が最も重要な指標といえるでしょう。
コーヒー農園(エルサルバドル)
SHB(Strictly hard been:グアテマラ等、1350m以上)、SHG(Strictly high grown:エルサルバドル等、1200m以上)が、中米の最高品質(=標高の最も高い地域)のコーヒーの格付け表示です。
 また、高品質のコーヒーを産するための栽培環境の整った地域を、高い格付の対象としていることもあります(ジャマイカのブルーマウンテン地区など)。


■栽培方法
 コーヒーの栽培が品質に大きな影響を与えることは当然ですが、各農園での栽培の実態を把握することは困難です。生豆の情報として重要なのは収穫方法で、完熟した実だけを、できれば手摘みにするのが最良の方法です。オーガニック(有機栽培)・コーヒーをうたったものがありますが、安全性はともかく、品質が高いという保証はありません。


■精製工程
 収穫したコーヒーの実から種子(生豆)を取り出すプロセスのことです。大別して2つの精製法があります。

水洗式(ウォッシュト)

果肉をはずして外果皮(パーチメント)に残留した果肉を水槽で発酵させて取り去る。このあとパーチメントのついた状態で乾燥。

自然乾燥式(ナチュラル)

果肉のついたまま天日乾燥。乾燥した実(コッコ)を脱穀して生豆を取り出す。

 この2つのタイプのコーヒーは、取引上も区別して扱います。現在は水洗式のコーヒーが主流で、自然乾燥式はブラジル、イエメン、エチオピアなどの地域で行われています。
水洗式は加工工程が複雑で、その過程で欠点豆を排除しやすく、逆に自然乾燥式の場合は、より厳格なハンドピック(欠点豆の選別)が必要。水洗式のコーヒーはフルーティーな香りと生き生きとした酸味が特徴で、自然乾燥式は酸味が柔らかい。優劣というよりは、性格の違いです。


水洗式の工程
(発酵槽への水路)
水洗式の工程
(パーチメントの乾燥)
自然乾燥式の工程
(コッコの乾燥)
エチオピア・ハラー
(自然乾燥式)
 次回は、流通段階での生豆の仕分けに関わる評価の基準を中心に、生豆の品質の見分け方を紹介します。

写真・生豆提供:バッハ・コーヒー




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