辻調グループ

コラム&レシピTOP
西洋料理
日本料理
中国料理
世界の料理
洋菓子
和菓子
パンとドリンク
日欧食べ物だより
こだわりレシピ検索
辻調グループ 最新情報はこちらから
Column&Recipe
コラム&レシピTOP
西洋料理
日本料理
中国料理
世界の料理
洋菓子
和菓子
パンとドリンク
日欧食べ物だより
こだわりレシピ検索
パンとドリンクTOPへカフェ・マニアックス コラム一覧へ
連載コラム カフェ・マニアックス
ようこそ。ここは、コーヒー・フリーク専用のカフェです。
カフェ飯とか、お菓子とか、ワインとかで癒されたい方は、ほかのコーナーへ、どうぞ。
抽出・焙煎のノウハウ、栽培、産地、科学、歴史、伝説、耳寄りな話、ちょっとおいしい話、うわさ話、こわい話etc.……、コーヒーのフルアイテムをとり揃えてマニアックに語ります。コーヒー好きの方なら、プロ・アマ問わず満足していただけると……。
コーヒーの生豆の見方(2)
コーヒーを見なくても良し悪しが解る? 品質判断の基礎知識

 前回に引き続き、コーヒーの生豆の基礎知識について取り上げます。今回は、生豆の品質を知る上で最も重要な情報である生産国での格付け、そして1980年代にアメリカで始まり、世界的なトレンドとなり、日本でも注目を浴びているスペシャルティ・コーヒーについて考えてみます。


■流通段階での仕分け:格付(グレイデシング)など
  生産国では、輸出にあたって生豆の格付を行います。
ブラジルNo.2(左)とブラジルNo.4-5
格付の基準は国によってまちまちですが、ほぼ生産国の栽培・流通の事情を反映させた基準を採用しているといって良いでしょう。格付の基準としては、標高のほか次のようなものがあります。 

豆のサイズ

豆の大小による等級分け。大きいものが高評価。たとえばブラジルは最も大型の豆がNo.2表示で、数字が大きくなるほど豆のサイズは小さくなる。コロンビアはサイズによる格付のみ(スプレモ>エクセルソ)。

欠点数

欠点豆(発酵豆や黒豆等)、異物を種類により点数化し、生豆サンプル300gに混入する欠点豆を点数に換算しタイプ分け。欠点数が少ない方が良品。特にブラジル(No.2〜8で表示)などの自然乾燥のコーヒーの生産国では重要な指標。

半発酵豆(左)と正常豆 発酵豆(左)と正常豆 黒豆(左)と正常豆

カップ

実際に試飲(カップ・テイスト)して風味を評価する。ブラジルをはじめ、ケニア、タンザニアなどのアフリカ諸国が採用している。風味に欠陥がないかというマイナス評価が基本。発酵臭、ヨード臭などの異臭、酸味の質を評価。

ピーベリー
  このほかピーベリー(丸豆:枝先にできる。酸味の量が多く、高評価をうける)、マラゴジッペ(ブラジル起源の大型の品種)などを仕分けする場合もあります。
 また、収穫から出荷までの保管期間により、ニュー・クロップ(当年物)、パースト・クロップ(1年物)、オールド・クロップ(2年物)に分けられます。かつては生豆の熟成といって、オールド・クロップが評価されたこともありますが、現在では生豆の鮮度に価値を置くのが一般的な傾向です。
 さらに、輸出に際して生産地域名を表示することも多く、特に地域によって性格の異なるコーヒーを生産する国については、それぞれのコーヒーの特徴(場合によっては優劣)を把握する必要があります。

【例】
コロンビア(MAMS=メデリン、アルメニア、マニサレスなど)、インドネシア(マンデリン、カロシなど)、エチオピア(ハラー、シダモ、ジマーなど)、イエメン(マタリ、サナニなど)、グァテマラ(アンティグア、コバンなど)、ジャマイカ(ブルーマウンテン、ハイマウンテン、プライム・ウォッシュト=地区が格付けの役割も)


■スペシャルティ・コーヒー(新たなコーヒー市場)
 「独特の気象・地理的条件を反映したユニークな風味を有するコーヒー」(1978年にエレナ・クヌッセンが提唱。ワインと同じく「テロワール」の尊重をうたう)として、1980年代にアメリカで誕生した高級コーヒーのマーケット。1990年代に急成長して、世界のコーヒーの市場に大きな影響を与えるムーブメントになります。そして、その象徴的存在が「スターバックスコーヒー」です。
 生産国のコーヒーを、新たな評価基準(コーヒーの個性を評価するプラス評価)で評価し、基準点を越えるコーヒーをスペシャルティ・コーヒーと認定します。現在の全米スペシャルティコーヒー協会の基準は、85点以上をスペシャルティ・コーヒー、80〜85点をプレミアム・コーヒーと認定しています(日本もほぼ同様の解釈)。
エルサルバドルのオークション風景
 スペシャルティ・コーヒーは、生産国でのオークションによる買い付け、オークションで高評価を得た農園との契約取引など、従来とはかなり違った流通形態をとります。さらに、トレサビリティ(遡及追跡ができること)が重要視され、品種、農園の栽培環境、収穫・精製方法などの詳細なデータが提示されます。
 日本でも1995年ころからスペシャルティ・コーヒーが流通し始め、ここ数年マーケット(既成のコーヒー市場をコモディティ・コーヒーという)が拡大しつつあります。2003年には、アメリカにならって日本スペシャルティコーヒー協会が設立され(前身は1999年に日本グルメコーヒー協会を改組)、
スペシャルティ・コーヒーの
グァテマラ・オークランド(左)と
コモディティ・コーヒーのグァテマラ
スペシャルティ・コーヒーの普及の体制が整いつつあります。
 スペシャルティ・コーヒーであればすべて高品質というわけではありませんが、生産国のオークションには既存の格付基準をある程度満したコーヒーが出品されるので、一般的には高水準のコーヒーが多いようです。
 また、これまで生産国は、多収穫と収穫効率を追求する方向で品種、作付け・収穫法を改良(風味の点では改悪?)してきましたが、良質なコーヒーを高値で取引できるスペシャルティ・コーヒーの市場に向けたコーヒーの生産に切り替える農園も多くなっています。いずれにしても、現在のコーヒー関連ではもっとも注目すべき動きだといえるでしょう。

 ここで説明したファクターのいくつかに基づいて仕分けされ、コーヒーの生豆は生産国から輸出されます。我々の焙煎する素材としての生豆には、こうしたデータが付随していて、知識さえあれば生豆の性格と品質をあらかじめ知ることができます。コーヒーの品質、性格を的確に判断するために、このような生豆に関する基礎知識が不可欠なのです。

写真・生豆提供:バッハ・コーヒー




コラム担当

コーヒーを愛し、コーヒーを語る
カフェ・プロパガンディスト
人物
山内秀文
このページのTOPへ
 
辻調グループ校 Copyright(C) 2003-2004 TSUJI Group