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連載コラム ビバ!!ベバレッジ
人間は水を口にしないと数日しか生命を維持できません。何でも体の70%以上が水分だとか・・・・それはさておいても、おいしい料理には、おいしい飲み物をあわせたいものです。もちろん食事中だけではなく、寒い日には一杯のコーヒーで体を温め、夜の静寂にもの思う時はブランデーをチビリチビリ。はたまた友人との愉しい会話を盛り上げる生ビール。夫婦で想い出話をする時のダージリンティー・・・・さまざまな場面で皆さんの傍らに、さりげなく登場するのはどんな『飲みもの』でしょうか。このコラムではそんな『飲みもの』の素顔にスポットを当てていきます。決してミズ臭い話ではありません。 チャんと読んでください。
水を差す・・水いらず・・ いやいや 水こそ大切!! 
ひと昔前まで、日本人にとって水は無料のものという感覚があり(水道代は払っているのですが)、お金を出してわざわざ買うものではありませんでした。ボトル入りのミネラルウォーターは大手百貨店などでしか扱いはなく、種類や販売量も今とは比べものにならないほどわずかでした。しかし、外国のライフスタイルの流入や健康志向の高まりなどにより、ミネラルウォーターの需要は増えてきました。今ではワインを選ぶようにミネラルウォーターを選ぶ時代になっています。今回のコラムでは、飲用にとどまらず、調理に使う水について、2回にわたって考えたいと思います。

大型スーパーや百貨店には選ぶのに困るほど多くのミネラルウォーターが並んでいる

大型スーパーや百貨店には
選ぶのに困るほど多くの
ミネラルウォーターが並んでいる

ミネラルウォーターの消費が拡大した理由として、都市部の水道事情のほかに、一般の人たちの嗜好の変化も大きな要因であると思われます。「食」にもファッションと同様、またはそれ以上に流行があるのです。 たとえば、フランス料理の世界では、昔はバターや生クリーム、小麦粉などをふんだんに使った重い料理(ホワイトソースなど)が主流でした。しかし、1970年代に、ヌーベル・キュイジーヌといわれる、素材そのものの味やシンプルな調理法を追求した新しい料理が流行し、だんだんと軽い料理が好まれるようになりました。それにつれて飲み物の嗜好も、赤ワインより白ワイン、さらにビールやノンアルコールドリンクへと、より軽い飲み物が好まれる傾向にあります。
これは中国などアジアの一部などを除く世界的な傾向で、ヨーロッパにおいてはワインの消費が減少し、代わってミネラルウォーターの消費が増大しています。もちろん日本も例外ではありません。ワインの消費は減少はしていませんが、ワイン以上に消費が増大しているものがミネラルウォーターなのです。

ところで、みなさんは、ボトルに入った水は全部ミネラルウォーターだと思っていませんか。ボトルに詰めて売られている水には、以下のように、実はいろいろな種類があります(ミネラルウォーターの分類)。この中で、一般にイメージされるミネラルウォーターとは、「特定水源の地下水のうち、地層中のミネラルが溶解しているもので、ろ過、沈殿、加熱殺菌以外の処理を行わないもの」とされる(2)のナチュラルミネラルウォーターでしょう。
しかし、なんとこの「ナチュラルミネラルウォーター」の基準も、ヨーロッパ諸国(EU)と日本で違うのです。
ミネラルウォーターはEUが先進国。輸入品も多い。

ミネラルウォーターはEUが先進国。
輸入品も多い。

ヨーロッパ各地の水が日本にもたくさん輸入されていますが、EUの基準では、地下水を空気にさらすことなく(汚染することなく)採取し、手を加えずにボトリングしたもので、ミネラル分などを含み、人体に好適な影響を及ぼすと認められた水がナチュラルミネラルウォーターで、加熱殺菌など何らかの手を加えたものはプロセスドウォーターと呼ばれます。日本の「ナチュラルミネラルウォーター」は通常、加熱殺菌処理が行われているので、EU基準ではすべてプロセスドウォーターということになります。

さて、地下水源から取り出したミネラルウォーターは、さまざまに味が異なります。同じ水なのになぜでしょうか。
わたしたちが飲んだり料理に使ったりする水は、水道水も含めて、100%純粋な「水」ではありません。何らかの物質が溶け込んでいます。みなさんが化学の授業でよく知っているHOは、混じりけのない水ですが、これは実験室の中でしか存在しないものと考えてよいでしょう。
その中で、ミネラルウォーターは、マグネシウム、カリウム、カルシウム、リン、鉄、ナトリウムなど、人の体に必要とされるミネラル(無機塩類)を多く含んでいます。これらのミネラル分の中で、カルシウムを2.5倍、マグネシウムを4.1倍し、2つを足した数値が水の「硬度」といわれているものです。水の硬度は、水源によって大きく異なり、その差が水の味の違いにつながっています。また、硬度が同じでも、含まれているミネラルの種類によっても味わいが違います。

【実験1】
軟水と硬水の違い〜紅茶

左が硬水、右が軟水でいれたもの。軟水でいれた紅茶は澄んだ紅色をしている

左が硬水、右が軟水でいれたもの。
軟水でいれた紅茶は
澄んだ紅色をしている

硬度の非常に高い水でいれた紅茶。カップのふちにアクのようなものがついているのが見える。

硬度の非常に高い水でいれた紅茶。
カップのふちにアクのようなものが
ついているのが見える。

紅茶の味や香りは使用する水の硬度によってどれだけ変わるのでしょうか?
紅茶は茶葉の種類によって合う水が変わるといわれますが、英国の文化であるため、一般に英国の水(中程度の軟水や軟水)が適しているといわれます。硬度が高すぎると味が出ず、硬度が低すぎると苦味が出るため、硬度50くらいの硬度が低すぎない軟水が適しているようです。
そこで、硬度が1500以上ある硬水と、30ぐらいの軟水で紅茶をいれて、色や香りの出方を比べてみました。

(1)色・・・硬水では赤い色が出にくくなっており、茶色くにごっています。アクのようなものも見られます。軟水では濁らず、美しい紅色をあらわします。(写真)

(2)風味・・・硬水では香りが抑えられています。軟水では甘く華やかで優雅な香りを感じます。

(3)味・・・硬水では渋味と苦味のみを感じ、薄っぺらい味になります。軟水では渋味、深みなどがしっかり抽出されています。


【実験2】
軟水と硬水の違い〜カルピス

硬度の非常に高い水で作ったカルピス。下のほうに沈殿物が見える。

硬度の非常に高い水で作ったカルピス。
下のほうに沈殿物が見える。

ちなみに、硬度が非常に低いもの、中程度のもの、非常に高いものでカルピスをつくって飲み比べたところ、硬度の非常に低いものは、甘ったるさを強く感じました。硬度の非常に高いものでは、味わいや甘さと水がバラバラな感じを受け、数分後には沈殿物も見られました(写真)。中程度のものでは甘みが適度になり、甘さと水のバランスがよくなりました。

普段何気なく飲んでいる飲み物も、ミネラルウォーターの硬度によってずいぶんと違うことがわかります。せっかくおいしい水を買うのですから、特長をよく知って、上手な使い方をしたいものですね。




【豆知識】

◇世界の水道水

世界主要50都市のうち、水道水が飲用に適しているのは11都市のみだそうです。実に8割の大都市で水道水を安全に飲むことが出来ません。安全な水道水が飲めるのは北欧や北米の一部、シドニーそして東京などです。日本の水道普及率は98%と世界ではまれなくらい整備されています。
まずい、不快な匂いがする、残留する化学物質が心配などいろいろ言われますが、その他の多くの地域に比べれば、これらの都市の水道水は味はともかく、安全だということです。ニューヨーク市長は「水道水もミネラルウォーターも変わりはない。違いはゴミが出るかでないかだ」といって、水を買い、ゴミを増やす風潮を暗に批判しています。

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◇ミネラルウォーター類の分類 (日本の規定による分類)
(1)ナチュラルウォーター
特定水源の地下水を原水としたもの。ろ過、沈殿、加熱殺菌以外の処理を行ってはならない。
(2)ナチュラルミネラルウォーター
特定水源の地下水のうち、地層中のミネラルが溶解しているもの。処理法は(1)と同じ。
(3)ミネラルウォーター
(2)と同じ原水で、ろ過、沈殿、加熱殺菌以外に、ミネラル分の調整、原水のブレンド、曝気(ばっき)を行ったもの。
(4)ボトルドウォーター
(2)と同じ原水で、ろ過、沈殿、加熱殺菌以外に原水の成分を大きく変化させる処理を行ったもの。 あるいは、食品衛生法に基づく殺菌がしてある蒸留水、純水、水道水など。

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◇有名ミネラルウォーターの紹介
1回目はコンビニやスーパーでよく見かける水を紹介します。
(1)ボルヴィック(volvic)
フランス中央部、緑深い山々に囲まれたオーヴェルニュ地方のボルヴィック村に水源があります。硬度60の軟水です。
(2)クリスタルガイザー(Crystal Geyser)
水源は、アメリカ、カリフォルニア州北部のカスケード山脈のマウントシャスタ。自然保護区に湧き出る水です。マウントシャスタは、ネイティブアメリカンの聖地として有名な山です。硬度38の軟水です。
(3)エビアン(evian)
水源のあるエビアン・レ・バン村は、フランス東部、スイス国境に近いアルプス山脈のふもと、レマン湖の湖畔にあります。硬度291の非常な硬水です。
(4)ヴィッテル(Vittel)
水源は、フランス北東部のヴォージュ山脈、ヴィッテル村。パリとアルザスの間に位置します。硬度307.1の非常な硬水です。ヴィッテルはスパリゾートとしても有名です。
(5)ペリエ(perrier)
フランス南部、地中海沿いのラングドック地方、ヴェルジェーズを源泉とする炭酸水。硬度400.5の非常な硬水です。イギリス王室御用達でもあります。
(6)コントレックス(Contrex)
水源は、フランス北東部ロレーヌ地方、ヴォージュ山脈に位置するコントレックスヴィル。ヴィッテルと同様にパリとアルザスの間に位置します。硬度1551の非常な硬水です。

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