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連載コラム にほんの四季便り
春夏秋冬がはっきりした日本では、四季折々の風物詩のなかにも季節のうつろいを感じとることができます。
このコラムでは、日本の四季に関連のある言葉と料理をご紹介し、季節を表すことばの美しさ、奥深さに、改めて目を向けてみたいと思います。
お正月
お正月
 新たな年のはじまりである正月。日本各地に伝統的な風習があり、祝い方にも一定のきまりごとがあるが、地域ごとで違いがあるのも興味深い。伝統的な行事が失われつつある今日だが、日本人として、正月の祝いの形はぜひとも後世に伝えたい。
 お正月には、「年神様(としがみさま)」とか「歳徳神(としとくじん)」と呼ばれる神様がやってくる。この神様を家に招く目印に「門松」を立てたり、家が清められていることを示す「しめ飾り」を飾るのである。そして床の間には、神様へのお供えとして「鏡餅」を飾る。「鏡餅」は陰陽を重ねる意味で大小二段重ねにする。餅の下には、潔白で正直な気持ちを表す「裏白」を裏側の白い方を上にして敷く。餅の上には、古くは「ひろめ」と呼ばれた「昆布」、さらには1本の串に10個の干し柿が両端に2個づつ、中央に6個刺さっている「串柿」をおく。これは、「夫婦仲むつまじく」という語呂合わせによる。最後に「家が代々栄えますように」との思いを込めて「橙」を乗せる。地方によっては「稲穂」や「のし鮑」を添えることもある。飾る日も重要で、12月29日は「二重苦・にじゅうく」を連想させるために、また12月31日は「一夜飾り・いちやかざり」といって葬儀の際と同じになるので避ける。よって、27日か28日に飾るのがよいとされる。
 大晦日には、すべて新年の準備を整えて「年越し蕎麦」をいただく。具は家庭によってさまざまで好みでよいのだが、「葱」だけは忘れないでほしい。「葱」は神社の神官の位で、「宮司」に次ぐ役職の「禰宜・ねぎ」に通じるので「禰宜に今年一年をお祓いしてもらい、新年に備える」という意味が込められる。
 「年越し蕎麦」は、年を越してから食すれば、白髪やしわが増えるといわれる。新年の準備をすべて終え、除夜の鐘を聞きながら12時になるまでにいただくというのが理想である。
 新年を迎えて、元旦には家族がそろってお祝いをする。このとき、最初にいただくのが「御屠蘇・おとそ」である。「屠蘇」は中国の三国時代の医者、華陀(かだ)が考案した「屠蘇延命散・とそえんめいさん」いう漢方薬を酒や味醂に浸したもので、健胃薬として効果があるほか初期の風邪にも効くといわれる。現在はティーバック状になって、薬局で売られている。一家の家長から年少者に、注いで年長者の知恵を分かち与えるというのがルールである。
 「御屠蘇」でお祝いしたあとは「御雑煮・おぞうに」である。「御雑煮」は、「年神様」にお供えした神饌と餅を合わせて汁物にしたものである。一般的には、関西は京都の公家風で、丸餅を白味噌仕立てにして、関西は武家風ののし餅を清汁仕立にすることが多いが、その家により仕立て方も中の具材もまちまちで、具材はその土地で採れるものが多い。私は、生来奈良に住んでいるが、祖父も父も料理人であったので、年が改まると、家長である祖父や父が若水を汲み、一番だしを引いて清汁仕立てにし、丸餅、雑煮大根と呼ばれる小ぶりの大根、金時人参を輪切りにしたもの、青みに水菜、吸口に柚子を添えた雑煮を作って家族に食べさせていた。
お重
同じ奈良に住む妻の実家では、餅と野菜は同様の材料を入れるが味噌仕立てで、餅は小皿に取り出して砂糖入りのきな粉をつけて食べる習慣がある。
 さて、いよいよ「御節料理・おせちりょうり」の出番である。「御節料理」とは、節句に神様に食物を供えたことから始まった「節会(せちえ)料理」をさす言葉である。節句の中でも最大の行事である正月には、豊作や健康、家の繁栄などを願って、身近に採れる材料を利用して縁起をかついだ料理を作った。江戸時代中頃には、その中の正月の料理のみが「御節料理」と呼ばれるようになったようである。
 一般の御節料理の重詰(じゅうづめ)は、三段重ねが多いが、正式には五段重ねである。上から壱(一)の重、弐(二)の重、参(三)の重、与(四)の重(忌み数字の四を避けてこう書く)、伍(五)の重と呼ばれる。壱の重には祝儀肴や珍味、弐の重にはなますや酢の物、参の重には焼き物、与の重には煮物(煮染め)が盛り込まれる。ただ伍の重は預かり重、控え重とも呼ばれ、食べて空いた部分を埋めるために各お重の残った料理を詰めておくためのもので食卓にあがることはない。詰め方は、お重の四すみをあけて裏白を敷いて詰めるのが関西風、端まできっちりと詰めるのが関東式であるが、要は料理とのかね合いである。
 これらの料理の中で、数の子、ごまめ、黒豆の三種は「祝儀肴」として欠かせないもので、三種肴とも呼ばれる。地方によって黒豆の代わりにたたきごぼうを入れることもある。

 御節料理に何を詰めるかは、土地柄や家によっても異なり、特別な決まりはないが、それぞれに縁起をかついだり、語呂合わせでめでたいものを表したりしている。例を挙げると下記のようになる。

数の子
数の子はにしんの卵。二親(にしん=両親)からたくさんの子供ができることにあやかって、「子孫繁栄」の意味。

黒豆
まめに暮らせるという願いが込められる。

田作り(ごまめ)
ごまめは片口鰯の稚魚。「五万米」という字を当て、五穀豊穣を願う。かつては、片口鰯を田の肥料として使われたことから「田作り」ともいわれる。

たたきごぼう
ごぼうは、根が地中深く張るので、家の基礎がしっかりするようにとの願いを込める。

海老
長いひげと腰が曲がっている姿を老人に見立て長寿を願う。


「めでたい」の語呂合わせと、皮の色が鮮やかな赤い色ということもあって縁起物に使われる。

柚子
その色が太陽や生命力の象徴。中をくり抜いて容器にしたり、皮、絞り汁を使ったりする。

蓮根
穴が開いているので、将来の見通しがきくといわれる。

昆布巻
昆布は「喜ぶ」とかけるほか、古代には「ひろめ」と呼ばれていたことから、名前や喜びや運をひろめる(ひらく)という縁起物。昆布巻などの巻物は、書物に見立て、文化の繁栄を願う。

日の出蒲鉾
学業や仕事の成功を祈る。

栗きんとん
きんとんは「金団」と書く。もとは黄色の団子だった。金の塊を表し、経済発展や豊な暮らしを願う。

紅白なます
白い大根は、鏡草ともいわれ、祝いの儀式に使われる。これに人参を加えて紅白にし、平安への願いをこめる。

橙(ダイダイ)
親子代々にかけて子孫繁栄をあらわす。

くわい
上部に芽が出るため、やがて芽が出るという「めでたい」縁起物とされる。

 この他に、「松竹梅」や「鶴亀」に見立てた料理も盛り込まれる。「松竹梅」の松は一年中緑を絶やさない「若さ」のシンボル、竹はみるみる育つので「成長」のシンボル、梅は一年(旧暦)で一番早く花が咲く「優雅」のシンボルとされる。また、「鶴は千年、亀は万年」といわれることから「長寿」を表す。


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