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【半歩プロの西洋料理】フランス料理のスパゲッティってどんなの?
2013年10月23日

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<【半歩プロの西洋料理】ってどんなコラム?>

 

 

あるフレンチレストランでの会話。

レジェンド君: 親方、俺、最近マジで「フランス料理」の勉強をしてるんスよね。

親方: 勉強って、どんなことしてるんや?

レジェンド君: 食べ歩きっス。津々浦々のフレンチレストランを食べ倒すつもりでいるんス。

親方: まあ、それも勉強やけど、食べるだけじゃな。

トモちん: 私は、フランス語の原書を読んでいます。

親方: どんな原書を読んでんの?

トモちん: 「TRAVAUX PRATIQUES DE CUISINE」という本です。

 

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「TRAVAUX PRATIQUES DE CUISINE」原書

 

親方: いい本見てるやないの。「フランス料理の教本」的な本で、フランス各地にある国立のホテル学校でも使用されている。フランス料理の基本技術と調理用語を同時に学べるいい本や。私も記憶が曖昧になった料理をよくその本で確認するわ。

レジェンド君: それじゃ、その本を読破すれば俺もスーパーシェフということですか?

親方: 食べ歩きだけでも本だけでもあかんねん。何事も一朝一夕に行くような近道はないのよ。地道にコツコツとがんばること、継続は力なりや。

トモちん: それで親方、その本の中で驚くことがあって。

親方: 何に驚いたんや?

トモちん: 今、「SPAGHETTI NAPORITAINE:スパゲッティのナポリ風」のところまで訳が進んでいるのですが、どうも私の知っているイタリア料理の「トマトソースのスパゲッティ」とは違うのですよ。勿論、洋食屋さんの「スパゲッティ・ナポリタン」とも違うし。

 

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イタリア料理の「トマトソースのスパゲッティ」

 

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洋食屋さんの「スパゲッティ・ナポリタン」

 

親方: あ~ん、フランス料理のスパゲッティね。

トモちん: だって親方。私の訳が間違っていなければ、この本で紹介されている作り方は変わっています。まず、第一に2種類のトマトソースがある。第二にスパゲッティはゆであがる寸前に差し水をして、そのあと湯洗いをしてバターで和える。 第三に盛り付けるときにスパゲッティ、2種類のソース、チーズとそれぞれ別々に盛られる。これってすごく不思議な気がしているんです。

 

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フランス料理原書の「スパゲッティのナポリ風」

 

親方: いい発見やな。フランス料理にはフランス料理たるルールがあるねん。

レジェンド君: フランス料理のルール?スパゲッティはどこの料理?イタリアでしょ!俺の食べ歩きの勉強はどうなるわけ?フレンチレストランでスパゲッティを食べるわけ?意味が分かりません。

親方: 何年か前に友人と南仏旅行をしたときに、こんなことがあったんよ。コートダジュール(Côte-d’Azur)にボーリュー・シュール・メール(Beaulieu-sur-mer)と言う場所があるねんけど。そこに「ラ・レゼルヴ・ドゥ・ ボーリュー(La Réserve de Beaulieu)」という世界中のセレブ達がヴァカンスにやって来るホテルがある。

 

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南仏の高級ホテル 「ラ・レゼルヴ・ドゥ・ボーリュー」

 

そのホテルのプールサイドのカジュアルレストランで昼食を頂いた時のことなんやけど。そこのメニューの中に丁度「SPAGHETTI NAPORITAINE:スパゲッティのナポリ風」があったんや。フランスで、しかもミシュランの星付き高級リゾートホテルで出されるスパゲッティ。一気に興味が湧いて、これを逃したら生涯後悔すると思って迷うこと無しに注文したんや。(当時のシェフはOlivier Brulard 氏でChapel, Maximam, Lenôtre, Guérard等々でシェフを務めてきたM.O.F取得者)

トモちん: へ~っ、フランスのレストランにもスパゲッティがあるんですね。

親方: まさに「TRAVAUX PRATIQUES DE CUISINE」の本のままやったわ。原書通りの盛り方で、黒服のサーヴィスの人が仰々しくワゴンで運んできた。そして、私たちのテーブルの横でスパゲッティを仕上げてくれるねん。

トモちん: 仕上げてくれるって?まだ、仕上がってないのですか?

親方: そうそう、ゆで上がったスパゲッティを温め直してバターで和える。次にトマトソースを混ぜ込んで器に盛る。その上にもう1種類のソースを添えてエレガントにチーズを振る。

レジェンド君: 親方、フランスのシャトーの王様みたいです。キングズ・テーブルですよ。

親方: 更に、食べるときはナイフとフォークで食べる。勿論、おかわりも聞いてくれる。

トモちん: フランス人ってスパゲッティをナイフとフォークで食べるのですね。

親方: そうそう、一般的にナイフで切ってフォークに乗せて食べる。イタリア人のようにフォークに巻きつけないのがフランス風。

 

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スパゲッティをナイフで切ってフォークに乗せて食べる

 

トモちん: フランスも固めのアルデンテにゆでるのですか?

親方: アルデンテって説明してたけど、だいぶ柔らかかったな。

レジェンド君 :俺もプールサイドで食べてみたいです。そんときの写真とかないんスか?

親方: 残念ながら、写真を撮りたかったんやけど、なにせプールサイドなもんやから水着の女性が多くてな、中にはトップレスの人もいるし、勘違いされると困るからカメラが出せなかったのよ。そうやな、うちのレストランで再現してみるか。

レジェンド君: やったぁ。プールっスよね!

親方: 違うわ、どうやってプールを再現するねん。フランスのスパゲッティをやないか。ついでと言ってはなんやけど、フランス料理で「スパゲッティ・カルボナーラ」 を作ったらどないなるか作ってみよか。フランスでは「カルボナーラ」と言わず に「カルボナラ」と言ってたな。

トモちん: はい。フランス料理の「スパゲッティ・カルボナラ」。おもしろそうです。作りましょう!

レジンンド: 俺も賛成~。がっつり食べましょう!親方。

親方: そうや、がっつり食べてがっつり勉強すんで。じゃ、まずは「スパゲッティのナポリ風」のプールサイドでのサーヴィスの再現からやで。

 

■ 「スパゲッティのナポリ風」フランスでのサーヴィス方法 

<サーヴィスの準備>

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ゆでておいたスパゲッティを温めなおす。

バター、パルメザンチーズ、温かいトマト・フォンデュ、温かいトマトソースを準備しておく。

 

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温めなおしたスパゲッティの水気を切って、器に移しバターで和える。

 

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次に、バターで和えたスパゲッティにトマトソースを加える。

 

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全体にトマトソースを和える。

 

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盛り皿に移して、スパゲッティの上にトマト・フォンデュを添える。

 

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仕上げに、上からパルメザンチーズを振りかける。

 

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仕上がったスパゲッティをお客様にサーヴィスする。

 

 

■ フランス料理の調理法でスパゲッティ・カルボナーラを作る

 

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スパゲッティがゆで上がったら火を止め、水を加えて余熱で火が通るのを防ぐ。

 

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ザルに移してお湯を切る。

 

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新しい熱湯で軽く洗い、表面のデンプン質を取り除く。 (熱い湯の出る蛇口で行ってもよい)

 

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湯を切ってボウルに移し、バターを加えて和える。

全体にバターが混ざったら、ラップ等で密閉して冷めないように保温しておく。

 

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パンチェッタを棒状に切る

 

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パンチェッタを鍋に入れて、つかる程度の水を加える。

 

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火にかけて沸騰させる。(水からスタートしないとアクが抜けにく い)

 

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沸騰したらアクを取り除く。流水でアクをよく洗い流し、水気をよく切る。 

 

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別鍋にオリーブ油を少量熱し、パンチェッタを色よくソテする。

 

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デグレッセ(余分な油を切ること)して、パンチェッタを鍋に戻す。

出てきた油は使用しない。

 

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白ワインを加えてデグラッセ(鍋底の旨みをこそげること)し、煮詰める。 

 

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生クリームを加えて軽く煮詰めて、塩とこしょうで味を調える。

 

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ボウルに卵黄を入れ、少量の生クリームを加えて溶き伸ばしておく。

 

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味を調えたソースに、生クリームで溶き伸ばした卵黄を加える。

卵に火を通してリエ(適度なとろみをつけること)し、ソースを仕上げる。 

 

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盛り皿にスパゲッティを盛りつけ、ソースとパルメザンチーズを別添えにする。

 

 

レジェンド君: スパゲッティとソースが別々に出てくる。何か、高級なカレ-ライスと同じっスよね。

親方: そうよな、イタリア料理のようにパスタとソースをフライパンの中で絡めたものは出てこなかった。恐らくここのレストランで「スパゲティ・カルボナーラ」が メニューにあったとしたら、ナポリ風と同じようにサーヴィスの人がサーヴィスしてくれるんやろな。

トモちん: フランスって外国の料理もフランス料理にしてしまいますね。味もなんとなくフランス料理って気がして、これはこれで美味しいですね。

親方: フランス料理は作る上でのルールをしっかり決めている証拠じゃないやろか。

フランス料理の煮込んで作るソースの手順をまとめると、

 

主材料(ソテ)(デグレッセ)

白ワイン(デグラッセ)

<出し汁>

生クリーム

卵黄(リエ)

 

だよね。 それに、ベーコン類は下ゆでしてからソテする。パスタはゆでたら熱湯で洗う、となる。

トモちん : そのルールに当てはめたのが、今回の「スパゲッティ・カルボナーラ」です ね。なるほど、ほんとに勉強になりました。ありがとうございました。

レジェンド君: ちょっと俺には難しかったけど、お腹はいっぱいになりました。ごちそうさまでした。

親方: 隣同士の国なのに、同じ料理でも材料の扱い方や調理手順がこんなに違う。 外国の料理を学ぶに当たって、我々は覚え間違いや勘違いをする。それが思い込み になるから気をつけないとアカンな。私も色々再確認できた。ありがとう。

このコラムの担当者

小川 寿

このコラムのレシピ

スパゲッティ・カルボナーラ

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