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【半歩プロの西洋料理】卵にまつわる都市伝説...?

01<西洋>半歩プロの西洋料理

2018.03.30

<【半歩プロの西洋料理】ってどんなコラム?>


みなさん、こんにちは!
初めまして、エコール辻東京の熊谷 聡です。
楽しかったクリスマス、お正月も過ぎ、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
さて、今回僕が取り上げるコラムのテーマはズバリ、『卵』です。
卵とは一言で言っても、鶏卵、魚卵、うずらの卵等、いろいろありますが、ここでは主に鶏卵について取り上げていきたいと思います。
なぜ僕が今回このテーマを選んだかというと、辻調を卒業してから10数年間、何軒かのホテルやレストランで働いてきましたが、もっとも扱う回数が多かった食材といっても過言ではないくらい使用頻度が高く、自分の料理人人生において切っても切り離せない、そんな存在だからです。また、卵かけご飯(TKG)が一時、大ブームになった時期がありましたよね。僕も卵かけご飯を食べているときは、「日本人に生まれてよかったなー」と思うくらい卵が好きです。

そんな卵ですが、時々「卵は1日に2個以上食べてはいけない」「卵の食べ過ぎは体に悪い」という説を耳にすることがあります。
親や祖父母の世代の人たちからは確かにそんな話を聞いた記憶がありますし、今でもテレビやネットなどメディア上にもよく飛び交う情報のようです。
実際は、卵は様々な栄養素をバランスよく含む食品であり、また1日に食べてよい個数の制限は特にないと言われています。
なのになぜこのような「都市伝説」が生まれたのか?
気になったので、少し調べてみたところ、卵に含まれているコレステロールの成分が関係しているようです。

そもそも卵がコレステロールの代表のようにいわれるようになったのは、今からおよそ100年前の1913年に、ロシアで行われた実験がきっかけでした。コレステロールが人体に与える影響を調べるために、栄養価の高い卵を草食動物のウサギに食べさせて実験しました。その結果、動脈硬化のもとといわれる血中コレステロールが増加し、卵=コレステロールの印象が生まれてしまったのです。
しかし、ウサギは草食動物なので、動物性の脂肪を含む卵を食べさせるとコレステロールが増加するのは当たり前のことです。
その後、実験を行ったロシアの機関が間違いを認める発表を出しましたが、なぜかそれは話題には上がらず、100年以上前のこの実験をきっかけに「卵を食べ過ぎるとコレステロール値が高くなる」という誤った認識が浸透し、世間に広まるようになったようです。

1981年に日本で発表された研究データでも、「健康な成人が、1日10個の卵を5日間食べ続けても血中コレステロール値の変動がほとんどない」というものでした。

卵にまつわる「都市伝説」は気にせず、栄養価に優れ美味しい食材である卵は積極的に摂取したいものです。
もちろん、コレステロールの心配がないからと言って食べ過ぎればカロリーオーバーになりますし、アレルギーについても注意は必要ですので、ほどほどに楽しみましょう!

私が専門としている西洋料理でももちろん卵は良く使いますが、キリスト教圏において卵は「復活するキリスト」の象徴とされ、単なる食材とは別の意味合いを持った扱いをされます。その最たるものが、ここ数年、日本でも少しずつ定着しつつある「イースター」、つまりキリストの復活を祝う「復活祭」です。

復活祭にはクリスマスと同じように家族でごちそうを食べてお祝いします。ごちそうと共に、卵を使った料理や、ゆで卵が振舞われるのもイースターならでは。

またイースターの時期には、国によっては卵を使った遊びをする所もあるそうです。
例えば、家や庭に隠した卵を探し当てる「エッグハント」、卵を割らないように転がして遊ぶ「エッグロール」、スプーンに乗せた卵を割らずに、誰が一番早く運べるかを競う「エッグレース」など、綺麗に色づけされた「イースターエッグ」を用いた遊びを楽しむところもあるようです。

イースターはクリスマスなどとは異なり、毎年日付が変わる祭日ですが、2018年のイースターは4月1日です。日本の春の象徴である桜とともに、イースターのお祭りで春を楽しみたいですね!

それでは最後に、卵を丸ごと使った「卵のグラタン、シメー風」を紹介したいと思います!

担当者情報

このコラムの担当者

熊谷 聡

このコラムのレシピ

卵のグラタン、シメー風

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