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【独逸見聞録】ジャム類の定義と分類 ~ジャム(其の壱)~
2014年07月09日

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<【独逸見聞録】ってどんなコラム?>


ヨーロッパで栽培されている果物の種類や生産量は、日本とは随分異なるので、その加工品であるジャムの種類も、自ずと変わってくる。
例えば、リンゴジャムの様に、日本では一般的なのに、ドイツでは殆ど見掛けないものもある。
反対に、日本では珍しいサクランボのジャムが、普通に販売されている。
今回は、「ジャム(Konfitüre:コンフィテューレ)」や「マーマレード(Marmelade:マルメラーデ)」の定義と、その分類について紹介する。

どちらも、ドイツでは普通に販売されている 
左は、ブラックチェリーを使用した「シュヴァルツキルシュ= コンフィテューレ・エクストラ(Schwarzkirsch-Konfitüre Extra)」。
右は、サワーチェリーを使用した「ザウァーキルシュ= コンフィテューレ・エクストラ(Sauerkirsch-Konfitüre Extra)」。
どちらも、ドイツでは普通に販売されている。


春から秋まで、様々な果物が収穫期を迎えるが、5月から7月に掛けては、同時期に多くの種類が出揃う。
3月末には、ドイツのスーパーマーケットにイチゴ(Erdbeere:エァトベーァレ)が並ぶが、これらはスペインやイタリア産で、その年の気候にもよるが、国産のイチゴが出回るのは大抵5月以降となる。
旬の期間限定で設置される、果樹栽培農家(Obstbauer:オプストバウァー)の直売スタンドや、青空市場の野菜・果物売り場には、果物と共に自家製のジャムやゼリーのグラスが並ぶこともある。

街の中心部に設置されたイチゴの直売スタンド ジャムやゼリーの販売も行っている
街の中心部に設置されたイチゴの直売スタンドでは、旬の終わりを迎えるイチゴと、出始めたばかりのサクランボ(Kirsche:キルシェ)が並び、その横でジャムやゼリーの販売も行っている。

★ドイツのジャム類の定義と分類
「コンフィテューレンフェァオルドヌング(Konfitürenverordnung)」という法令の中で、コンフィテューレ(Konfitüre)、マルメラーデ(Marmelade)、ジェレー(Gelee)と幾つかの類似製品の品質、特徴、規格、表示についての要求を定めている。個々の製品は法規の中で定義され、その名称はそれぞれの条件を満たしている場合にのみ使用が認められている。
2003年10月23日版のコンフィテューレンフェァオルドヌングは、2008年9月30日に最終改正されている。

◆コンフィテューレ・エクストラ(Konfitüre extra)
コンフィテューレ・エクストラは、糖類と、単数または複数種の濃縮されていない果肉と水からなる、塗ることができる加工品である。
ローズヒップ(Hagebutte:ハーゲブッテ)、同様にキイチゴ(Himbeere:ヒムベーァレ)、クロイチゴ(Brombeere:ブロムベーァレ)、ビルベリー(Heidelbeere:ハイデルベーァレ)や黒と赤のフサスグリ(Johannisbeere:ヨハニスベーァレ)からなる、「種無し」のコンフィテューレ・エクストラにおいては、全てまたは一部分、濃縮されていない果物のピューレから作ることが認められている。

ローズヒップを使用した「ハーゲブッテン=コンフィテューレ・エクストラ」
ローズヒップを使用した「ハーゲブッテン=コンフィテューレ・エクストラ(Hagebutten-Konfitüre Extra)」。

柑橘類(Zitrusfrucht:ツィトルスフルフト)のコンフィテューレ・エクストラは、細切りと/または小片に切った完全な果実から作ることが許されている。
次に挙げる果物(野菜)と、他の果物の混合物からは、コンフィテューレ・エクストラを製造することはできない。リンゴ(Apfel:アプフェル)、洋ナシ(Birne:ビルネ)、種を抜いていないプラム(Pflaume:プフラウメ)、メロン(Melone:メローネ)、スイカ(Wassermelone:ヴァッサーメローネ)、ブドウ(Traube:トラウベ)、カボチャ(Kürbis:キュルビス)、キュウリ(Gurke:グルケ)、トマト(Tomate:トマーテ)。

1000gの最終製品を製造するための、果肉やピューレの最低使用量は、一般的には450gである。
例外として、黒と赤のフサスグリ、ロワンベリー(Vogelbeere:フォーゲルベーァレ)、シーベリー(Sanddorn:ザンドドルン)、ローズヒップ、マルメロ(Quitte:クヴィッテ)では350g、ショウガ(Ingwer:イングヴァー)では250g、カシューの実(Kaschuapfel:カシューアプフェル)では230g、パッションフルーツ(Passionsfrucht:パッションスフルフト)では80gと定められている。

コンフィテューレ・エクストラ
左は、プラムを使用した「プフラウメン= コンフィテューレ・エクストラ(Pflaumen-Konfitüre Extra)」。
右は、サワーチェリーを使用した「ザウァーキルシェン= コンフィテューレ・エクストラ(Sauerkirschen-Konfitüre Extra)」。

◆コンフィテューレ(Konfitüre)
コンフィテューレは、糖類と、単数または複数種の果肉やピューレと水からなる、塗ることができる加工品である。柑橘類のコンフィテューレは、それから外れ、細切りと/または小片に切った完全な果実から作ることが許されている。
1000gの最終製品を製造するための、果肉やピューレの最低使用量は、一般的には350gである。
例外として、黒と赤のフサスグリ、ロワンベリー、シーベリー、ローズヒップ、マルメロでは250g、ショウガでは150g、カシューの実では160g、パッションフルーツでは60gと定められている。 
以前は「コンフィテューレ・エクストラ」に対して、「コンフィテューレ・アインファッハ(Konfitüre einfach)」とも呼ばれていた。

◆ジェレー・エクストラ(Gelee extra)
ジェレー・エクストラは、糖類、同様に単数または複数種の果汁、水性の果物抽出液からなる、塗ることができる加工品である。
1000gの最終製品を製造するための、果汁や水性の果物抽出液の最低使用量は、コンフィテューレ・エクストラの製造において定められている量に相当する。
この量の申告は、水性の果物抽出液の製造に用いた水の重量を差し引いた値である。

次に挙げる果物(野菜)と、他の果物の混合物からは、ジェレー・エクストラを製造することはできない。
リンゴ、洋ナシ、種を抜いていないプラム、メロン、スイカ、ブドウ、カボチャ、キュウリ、トマト。

ジェレー・エクストラ
左は、マルメロを使用し、オレンジの果汁を加えた「クヴィッテン=ジェレー・エクストラ・ミット・オランジェンザフト(Quitten-Gelee Extra mit Orangensaft)」。
右は、赤いフサスグリを使用した「ローテス・ヨハニスベーァレン=ジェレー・エクストラ(Rotes Johannisbeeren–Gelee Extra)」。

◆ジェレー(Gelee)
ジェレーは、糖類、同様に単数または複数種の果汁、水性の果物抽出液からなる、塗ることができる加工品である。
1000gの最終製品を製造するための、果汁や水性の果物抽出液の最低使用量は、コンフィテューレの製造において定められている量に相当する。
この量の申告は、水性の果物抽出液の製造に用いた水の重量を差し引いた値である。
以前は「ジェレー・エクストラ」に対して、「ジェレー・アインファッハ(Gelee einfach)」とも呼ばれていた。

◆マルメラーデ(Marmelade)
マルメラーデは、水、糖類と単数または複数種の柑橘類の果肉、果汁、水性の果物抽出液、果皮からなる、塗ることができる加工品である。
1000gの最終製品を製造するための、柑橘類の最低使用量は200gで、その内75gは内果皮(Endokarp:エンドカールプ)に由来しなければならない。

オレンジを使用した「オランジェン=マルメラーデ」 
オレンジを使用した「オランジェン=マルメラーデ(Orangen-Marmelade)」。

◆ジェレー=マルメラーデ(Gelee-Marmelade)
ジュレー=マルメラーデは、例外として、少量の細かく切った表皮が残る場合もあるが、全ての不溶性の成分を取り除いたマルメラーデである。

◆マローネンクレーム(Maronenkrem)
マローネンクレームは、水、砂糖と1000gの最終製品に対して最低でも380gの栗のピューレからなる、塗ることができる加工品である。

◇フルフトアウフシュトリッヒ(Fruchtaufstrich)
フルフトアウフシュトリッヒは、糖類と煮詰めた果物からなる、塗ることができる加工品である。
「コンフィテューレンフェァオルドヌング」では採り上げられておらず、果物の含有量、糖類の種類や含有量についても、特に言及されていない。

フルフトアウフシュトリッヒ
左は、アプリコットを使用した「アプリコーゼン・フルフトアウフシュトリッヒ(Aprikosen-Fruchtaufstrich)」。
右は、森のベリー類(Waldbeeren:ヴァルトベーァレン)を使用した「メーァフルフト・フルフトアウフシュトリッヒ(Mehrfrucht- Fruchtaufstrich)」。
因みに、この製品の果物の総含有率は55%で、その内訳は、22%のクロイチゴ(Brombeeren)、19%のキイチゴ(Himbeeren)、8%のエルダーベリー(Holunderbeeren)、6%のビルベリー(Heidelbeeren)と記載されている。

◇ムース(Mus)
ムースは、ただ1種類の果物のみから作られる。他の製品と比較すると、糖類の含有量は少ない。
焦げやすいので、かき混ぜながら長時間掛けてゆっくりと加熱する。
リンゴのムース(Apfelmus:アプフェルムース)は、フルフトアウフシュトリッヒとしてパンに塗るよりも、デザートや料理の付け合わせとして利用されることが多い。プラムのムース(Pflaumenmus:プフラウメンムース)は、フルフトアウフシュトリッヒとして、また菓子類のフィリングなどにも利用される。

リンゴを使用した「アプフェルムース(Apfelmus)」 
リンゴを使用した「アプフェルムース(Apfelmus)」。

*ジャム類の命名方法
単数種の果物を使用したものは、「ブロムベーァコンフィテューレ(Brombeerkonfitüre:クロイチゴジャム)」や「クヴィッテンジェレー(Quittengelee:マルメロゼリー)」の様に、その果物の名前を冠する。
それに対して、複数種の果物を使用したものは、「エァトベーァ=ラバーバーコンフィテューレ(Erdbeer-Rhabarberkonfitüre:イチゴとルバーブジャム)」の様に、割合の多い果物から順に列挙するか、「メーァフルフトマルメラーデ(Mehrfruchtmarmelade:複数の柑橘類のマーマレード)」、または果物の種類数を冠して「ドライフルフトジェレー(Dreifruchtgelee:3種類の果物のゼリー)」と名付けることができる。

「ブロムベーァコンフィテューレ」 「エァトベーァ=ラバーバー・コンフィテューレ」
左は、クロイチゴ1種類のみを使用した「ブロムベーァコンフィテューレ(Brombeerkonfitüre)」。
右は、イチゴとルバーブの2種類を使用した「エァトベーァ=ラバーバーコンフィテューレ(Erdbeer-Rhabarberkonfitüre)」。

★日本のジャム類の定義と分類
ドイツのジャム類と比較するために、農林水産省の「ジャム類の日本農林規格」並びに「ジャム類品質表示基準」より、一部抜粋して紹介する。

<定義>
◆ジャム類
次に掲げるものをいう。
1 果実、野菜又は花弁(以下「果実等」と総称する。)を砂糖類、糖アルコール又は、はちみつとともにゼリー化するようになるまで加熱したもの。
2 1に酒類、かんきつ類の果汁、ゲル化剤、酸味料、香料等を加えたもの。

◆ジャム
ジャム類のうち、マーマレード及びゼリー以外のものをいう。

◆マーマレード
ジャム類のうち、かんきつ類の果実を原料としたもので、かんきつ類の果皮が認められるものをいう。

◆ゼリー
ジャム類のうち、果実等の搾汁を原料としたものをいう。

*プレザーブスタイル
ジャムのうち、ベリー類(いちごを除く。)の果実を原料とするものにあっては全形の果実、いちごの果実を原料とするものにあっては全形又は2つ割りの果実、ベリー類以外の果実等を原料とするものにあっては5㎜以上の厚さの果肉等の片を原料とし、その原形を保持するようにしたものをいう。

*果実等含有率
原料として使用した果実等(マーマレードにおいて、使用した果皮の果実全体に対する割合が通常の果実が有する果皮の割合を超える場合にあっては、その超える部分に相当する果皮を除く。)及びその搾汁の重量の製品の重量に対する割合をいう。

<規格>
*可溶性固形分
40%以上であること。
(測定方法)
可溶性固形分の測定に当たっては、20℃における糖用屈折計の示度を読み取り、その値をパーセントで表すものとする。

*果実等含有率
[特級]
1 ジャムにあっては、45%以上であること.
2 マーマレードにあっては、30%以上であること。

[標準]
1 ジャムにあっては、33%以上であること。
2 マーマレードにあっては、20%以上であること。

*食品添加物以外の原材料
次に揚げるもの以外のものを使用していないこと。
1 果実等
2 砂糖類
3 糖アルコール
4 はちみつ
5 酒類
6 かんきつ類の果汁(含有率が4%以下である場合に限る。)

*食品添加物
国際連合食糧農業機関及び世界保健機関合同の食品規格委員会が定めた食品添加物に関する一般規格(CODEX STAN 192-1995,Rev.7-2006)3.2の規定に適合するものであって、かつ、その使用条件は同規格3.3の規定に適合していること。

*内容量
表示重量に適合していること。

<表示の方法>
*名称
ア ジャムのうち、1種類の果実等を使用したものにあっては当該果実等の名前を冠して「いちごジャム」、「りんごジャム」、
  「あんずジャム」等と、2種類以上の果実等を使用したものにあっては「ミックスジャム」と記載すること。
イ マーマレードにあっては「マーマレード」と、ゼリーにあっては「ゼリー」と記載すること。
ウ プレザーブスタイルにあっては、アの規定により表示する文字の次に「(プレザーブスタイル)」と記載することができる。

このコラムの担当者

Kimiko Kochs

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