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連載コラム にほんの四季便り
春夏秋冬がはっきりした日本では、四季折々の風物詩のなかにも季節のうつろいを感じとることができます。
このコラムでは、日本の四季に関連のある言葉と料理をご紹介し、季節を表すことばの美しさ、奥深さに、改めて目を向けてみたいと思います。
お月見
お月見
 「お月見」といえば、「仲秋の名月」すなわち旧暦の八月十五日の十五夜の月と相場が決まっているが、十三夜というものも存在する。十五夜の月と十三夜の月のどちらもお月見しないと「片見月(かたみづき)」とか「片月見(かたつきみ)」といってよくないといわれている。「十三夜」とは、陰暦九月十三日の夜のことを指す。この夜は、八月の十五夜の月に次いで月が美しいといわれ、「後(のち)の月」と呼び、宮中でも平安時代から月見の宴を催して賞した。今年(2004年)の十五夜は九月二十八日で、十三夜は十月二十六日になる。
お月見 「仲秋(中秋)」とは陰暦で八月を指すことばで、特に八月十五日を表す場合もある。
 では、なぜ仲秋というのか。一年は春夏秋冬の四季に分けられ、旧暦では一月から三月を春、四月から六月を夏、七月から九月を秋、十月から十二月を冬と各季節を三ヶ月として、その季節の最初の月を「孟(もう)」、二番目の月を「仲(ちゅう)」、最後の月を「季(き)」と分けて呼ばれていた。だから秋の場合、七月は「孟秋(もうしゅう)」、八月は「仲秋(ちゅうしゅう)」、九月を「季秋(きしゅう)」と呼び分けていた。
 また、それぞれの季節の三ヶ月を「初・仲・晩」という三文字で表すこともあり、この場合でも八月は「仲秋(ちゅうしゅう)」となる。

 一年に12回あるいは13回の満月があるのに、どうして「仲秋の名月」つまり、十五夜だけがこれほどもてはやされるのであろうか。これは、秋の澄んだ空気の中で空に昇る真ん丸いお月様を、特別に美しく感じて鑑賞する風習が生まれたのであろうと思われる。一方、十三夜の月は十五夜ほど丸くはなく、少し欠けている。その少し欠けている寂しさが、深まる秋のわびしさにふさわしく、「名残の月」とも呼ばれる。そして、十五夜と十三夜の月は、同じ場所で見るものとされている。

 中国や東南アジアでも、昔から「中秋節」には月を愛で、祝う風習がある。この日には互いに月餅(げっぺい)を贈りあう。私もタイのバンコックに着任中に、中国系の知人から月餅をいただき、甘いお菓子をイメージして食べると、塩漬けにした卵黄が小豆のあんの中から出てきたり、あん自体がしいたけや豚のひき肉といった豚まんの中身のようなものだったりして驚いた記憶がある。そもそも、中秋節の丸い月は家族の団欒の象徴で、月餅も月のような丸い形をしている。

 同じように日本でも、仲秋に月見団子を食べるが、それ以外に十五夜の月は「芋名月」といって芋を供えたり、十三夜の月はそれに対して「豆名月、栗名月」といわれ、枝豆や栗を供える。これは、ちょうど月見の時期と収穫の時期とが重なるので、収穫を祝う農耕行事とお月見が結びついたからだといわれている。

 明治の文豪、樋口一葉の小説に「十三夜」というものがある。幼なじみの男女、貧しい人力車の車夫になった男と、裕福な資産家に嫁いだ女が、月夜に車夫と客として久しぶりに出会い、互いの身の上を語り合うといった話であるがこの小説の中に、十三夜に枝豆や栗をお月様に供えることが現されている。

お月見 日本料理や和菓子には、月をイメージした名前のものが実に多い。たとえば、「田毎(たごと)」、「月冠(げっかん)」、「雲がくれ」といった、日本人の感性に訴えるようなものである。最もオーソドックスな和菓子の「最中(もなか)」は、中秋の名月を意味する「最中(もなか)の月」という菓子の名が縮まったもので、「最中」は「物事の中心」、「盛りの時」という意味があり「盛りの月」、つまり中秋の名月を表している。

 今回は時期的には十三夜ではあるが、代表的な十五夜の芋を使った料理をご紹介したい。


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 子芋の煎りだし

タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
人物 小谷 良孝
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