今回訪れたのは、レ・パルク・サン・クルベールLes Parcs Saint Kerber社。牡蠣の品評会で何度も金賞を受賞している養殖業者です。お世話になったのは社長のフランソワ=ジョゼフ・ピショーFrançois-Joseph PICHOT氏。施設を案内してもらいながら、色々と説明をしていただきました。カンカル湾では潮の満ち引きが2kmにわたり起こります。そのために藻が繁殖しやすく、プランクトンが豊富で、水温は冬には5.6℃、夏でも19.2℃なので、牡蠣の成長に適していて、この養殖場では年間150トン収穫があります。では、作業工程を説明しましょう。
スマージュ・エ・ミ・ザン・ポシュSemage et mise en poches(放流)
この時稚貝はおよそ1グラムで、プラットの場合、岸に近すぎると感染症にかかりやすくなるので、沖合いの養殖場の泥土に1ヘクタールあたり2〜3トンほど撒きます。生後18ヶ月がたつと10gほどに成長しているので、1度回収して新しい土地に1ヘクタールあたり5〜7トンほど撒きます。その後、ほとんどは2〜4年成長させます。4年ものでだいたいの大きさは50〜80g。1トンの稚貝から20〜30トンの牡蠣が取れます。
クルーズも昔はプラットと同様に撒いていたそうですが、今ではコレクトゥールから外した後、網袋に入れ、50cmほどの高さの棚に並べて養殖しています。始めはひとつの袋に600個入れ、生後30ヶ月に成長させたら、今度は180個に詰め直し、また海に戻して大抵は5年物に成長させます。この間、年に3〜4回それぞれの袋をひっくり返す作業をします。そうしないと、貝殻が網にくっついたり、ひとつの大きな塊に集まってしまうのです。汽水域の棚に並べられた牡蠣たちは干潮時には太陽の光を浴び、水がないために自らの中に海水を溜め込むことを覚えます。ピショー氏曰く、「牡蠣の成長に大事なのは、太陽と強すぎない塩水。まるで、花を育てるのと一緒だね。土地の整備もするし、だから、僕らはジャルディニエ・ド・ラ・メールjardinier de la mer(海の庭師)って呼ばれているんだ。」
お礼を言い、帰りに海岸線を歩くとあちらこちらに牡蠣を売る露店が並んでいるではないですか。そこで、見つけたユイトル・ソヴァージュHuître sauvageなるもの。最近は数が少なくなってきている珍しい天然の牡蠣に出会いました。その場で牡蠣を開けてくれるので、潮風を感じながら食べる味は最高。これはクルーズでしたが、カンカルにはピエ・ド・シュヴァルpied de cheval(馬の蹄)と呼ばれる天然のプラットもあり、No.0000の上のサイズで、大きいものではkgにまで成長する牡蠣があります。秋、冬の一定期間しか出回らないので、残念ながら今回は出会えませんでした。
よく牡蠣を「海のミルク」といいますが、カンカルの牡蠣の濃厚さは「海のフォア・グラ」と言っても過言ではないでしょう。産地で潮風を感じながら食べる味。牡蠣好きはこれを求めにブルターニュを目指してはいかがでしょうか。私は、今度はピエ・ド・シュヴァルを求めに行くでしょう。
〈レ・パルク・サン・クルベールLes Parcs Saint Kerber〉
Les Parcs Saint Kerber内、 博物館
L’Aurore 35260 CANCALE
Tel 02.99.89.65.29/Fax 02.99.89.82.74 Saint-kerber@huitres-francaises.com
敷地内に牡蠣と貝の博物館を併設。 見学は、夏季は毎日11時、15時、17時にフランス語で、14時に英語、16時にドイツ語で案内。9月、10月、2月〜6月は平日の15時から、フランス語のみ。
今回の取材にあたり、下記で働いている辻調グループの卒業生、才神香織さんと齋藤圭さんに仲介役で協力をいただきました。ありがとうございました。
〈ブレッツ・カフェBreizh café〉
7 quai Thomas 35260 CANCALE
Tel 02.99.89.61.76 http://www.breizhcafe.jp