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日本でも料理とともにワインを飲む習慣が根付いてきました。私がホテルで働いていた20年前は、「料理とご一緒にワインはいかがですか?」とたずねてもビールを注文されるお客様が大半で、間違って「料理とご一緒になにかお飲み物はいかがですか?」と聞いた時に「じゃあコーヒーください」といわれ、困惑したこともありました。しかし、最近は幾度かのワインブームのおかげでワインの認知度が上がり、料理とともに気軽にワインを飲む時代になりました。とはいえ食前酒、それ以上に食後酒を飲まれる方は、まだまだ少ないようです。
そこで今回と次回のコラムでは、さらに楽しく食事し、食後を優雅に過ごすための食前酒と食後酒について、紹介したいと思います。
<食前酒とは?>
食前酒はフランス語でapéritif(アペリティフ)と言います。食事の前に胃を刺激し、食欲を増進させ、ひいては食事を美味しくいただくためにあり、食事前の胃の準備運動になる飲み物と思っていただければよいでしょう。食前酒には、アルコール度の低いもの、酸味や苦味のあるもの、炭酸を含むもの、できれば辛口のものが良いようです。すべての条件を含む必要はありませんが、最後にあげた辛口であることが重要(やや甘口くらいまではかまいません)で、甘味の強いものは血液中の血糖値を上げ、満腹感を感じさせてしまうためにタブーとされています(料理の最後に甘いデザートを食べるのもこのためです)。
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ジントニック |
以上のことから辛口の白ワイン、発泡性ワイン、甘口でないカクテル、お酒がだめならば甘すぎないフレッシュジュース、炭酸ガスを含むミネラルウォーターなどが適していると思います。
また、店によってはカクテル・メゾン(自家製カクテル)を持っている店もあるので、ソムリエやサーヴィスマンに相談してみても良いでしょう。
私ならば、食前酒にカクテルを飲みたい場合はホテルのレストランを選びます。ホテルのレストランはバーと併設されている場合が多く、あらゆるカクテルを注文することができ、その食前酒を飲みながらゆっくりと料理やワインを選ぶことができるからです。またはバーに先に入り、そこで食前酒を飲みながら料理を決めるのも良いかもしれません。小さなレストランの場合は、レストランに行く前に他のバーで食前酒を飲んでから食事に行き、食事が済めばまたそのバーに戻って食後酒を飲むというのも、粋な飲み方ではないでしょうか。
<食前酒の紹介>
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1 Kir キール
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アリゴテ 適量
クレーム・ド・カシス 1ティースプーン
ワイングラスにクレーム・ド・カシスを注ぎ、アリゴテを満たし、軽く混ぜ合わせます。
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キール |
世界的に有名な食前酒で、フランス、ブルゴーニュの北部にあるディジョン市の市長であったキャノン・フェリックス・キール氏が考案したカクテルです。氏はブルゴーニュの特産であるアリゴテ種の白ワイン(当時は酸味が強く、美味しくなかった)と同じく特産であるクレーム・ド・カシス(カシスの甘いリキュール)を混ぜ、酸味と甘みのバランスの取れた美味しいカクテルを作り、地元の産物を売り出しました。上記のレシピは現在のレシピで、当時はワインが2、クレーム・ド・カシスが1の割合で作られる甘いカクテルでした。しかしだんだんとクレーム・ド・カシスの量が減り、辛口のカクテルになりました。もちろん、甘いほうがお好みの方はカシスの量を増やしてもよいでしょう。
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2 Kir royal キール・ロワイヤル
- こちらはキールの白ワインをシャンパーニュに変えたカクテルです。炭酸があり、さわやかでリッチな味わいになります。こちらも近年ではクレーム・ド・カシスを減らし、辛口に仕上げます。なお、クレーム・ド・カシスをクレーム・ド・フランボワーズに変えるとキール・アンペリアルというカクテルになります。ロワイヤルは「王様の」、アンペリアルは「皇帝の」という意味です。
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3 Bellini ベッリーニ
- プロセッコ 3/4 (イタリア、ヴェネト州の発泡性ワイン)
白桃のピューレ 1/4
グラスに上記の材料を入れ、軽く混ぜ合わせます。
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ベッリーニ |
上記のレシピは本家のハリーズ・バーのレシピで、タンブラーグラス(水割りを飲むタイプのグラス)に注ぎます。白桃のピューレとはいえやや赤いもののようで、綺麗な薄赤色のカクテルになります。
日本では発泡性ワインとピーチネクターに、色と甘み調節のためでしょうか、グレナデンシロップが加えられ、背の高いシャンパンフルートグラスに注がれるレシピが多いようです(イタリアのバーテンダー協会のレシピではグレナデンを加えるのが通常のようです)。今回はピーチネクターを使い、色と甘み付けにグレナデンシロップを加えたレシピで作っています。
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4 Mimosa ミモザ
- シャンパーニュ 1/2
オレンジジュース 1/2
シャンパンフルートグラスにオレンジジュースを注ぎ、シャンパ−ニュを満たし、軽く混ぜ合わせます。
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ミモザ |
フランスで昔、シャンパーニュ・ア・ロランジュ(オレンジ風味のシャンパン)と呼ばれていたカクテルです。色合いがミモザの花に似ているためにこの名前になり、世界に広がりました。飲みやすいカクテルで女性に人気があります。
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5 Spritzer スプリッツアー
- 白ワイン 1/3
炭酸水 2/3
氷を入れた大き目のワイングラスに上記のものを注ぎ、軽く混ぜ合わせます。上記のレシピで薄いようならばワインを増やします。1対1で作る場合もあります。
アルコール度が低く、さわやかで飲みやすいカクテルです。パーティで飲まれるイメージがあります。パーティには、他にワインをオレンジジュースや炭酸で割り、切ったフルーツを加えた「サングリア」なども飲みやすくてよいでしょう。
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6 Bamboo バンブー
- ドライシェリー 1/2
ドライヴェルモット 1/2
オレンジ・ビターズ 1ダッシュ(ビターズボトルを一振り、3〜4滴です)
上記の材料をミキシンググラスで氷とともにステア(冷やしながら混ぜあわせる)し、カクテルグラスに注いだカクテルです。
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バンブー |
日本で生まれたカクテルです。訳すると「竹」という意味ですが、ネーミングがぴったりで名前のとおりさっぱりとしてきりりとしたカクテルです。
シェリーは酒精強化ワインですが、よく冷やして小さなグラスで飲んでも、食前酒にぴったりです。
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7 Campari orange カンパリオレンジ
- カンパリ 45ml
オレンジジュース 適量
グラスに氷と上記の材料を入れ、混ぜ合わせます。
オレンジジュースの甘さの中に程よい苦味をもった、綺麗なオレンジ色の、非常に飲みやすいカクテルです。昔から女性に人気があります。
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8 Spumoni スプモーニ
- カンパリ 30ml
グレープフルーツジュース 45ml
トニックウォーター 適量
グラスに氷と上記の材料を入れ、混ぜ合わせます。
カンパリオレンジより苦味と炭酸のさっぱり感のあるカクテルです。こちらも若い女性に人気があります。
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9 China blue チャイナブルー
- ライチリキュール 30ml
ブルーキュラソー 10ml
グレープフルーツジュース 45ml
トニックウォーター 45ml
グラスに氷と上記の材料を入れ、混ぜ合わせます。
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チャイナブルー |
スプモーニのライチ版と考えてよいでしょう。比較的新しく、流行のライチリキュールを使った綺麗な青色のカクテルです。あまりアルコール度は高くありません。
トニックウォーターを加えず、グレープフルーツジュースで満たすレシピもありますが、食前酒であれば甘味が抑えられ、苦味と炭酸が加わるトニックウォーター入りをお勧めします。
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10 Gin tonic ジントニック
- ジン 45ml
トニックウォーター 適量
グラスに氷とジンを入れ、トニックウォーターを入れ、軽く混ぜ合わせ、レモンスライスを飾ります。
アルコール度は低く、苦味のあるカクテルで、昔からある定番のものです。
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11 Saratoga cooler サラトガクーラー
- ライム 1/8個
ジンジャーエール 適量
グラスに氷とライムを搾りいれ、ジンジャーエールを満たし、軽く混ぜ合わせます。
アルコールが入っていないので、お酒を飲めない状況で、しかもジュースなどを注文しづらいレストランなどで非常に助かるカクテルです。通常のジンジャーエールであれば酸味のきいた甘いものになりますので、辛口のジンジャーエールにすこしシロップを加えるか、シロップを加えずに辛口に作ると食前酒に向きます。
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12 Sparkling mineral water ガス入りミネラルウォーター
- ペリエ、アポリナリス、サンペレグリノ、ティナント、ロケッタ、ヴァルス、ゴッチャブルー、ソーレ、トニースタイナー、シャテルドン、ハイドロキシダーゼなどがあります。グラスにレモンやライムをカットして搾り入れ、ペリエを注ぐ場合が多いようです。
有名な食前酒をいくつか紹介しました。さわやかでさっぱりとしたものが良いのですが、甘すぎないものであれば、どんな飲み物でも食前酒に向くと思います。グラス1杯のシャンパーニュやドライシェリーを注文される方もいますし、お酒に強い方はドライマティーニを飲まれる方もいます。ポイントを押さえれば自分の好みを優先して構わないのではないでしょうか。もちろん、店のスタッフに相談するのも得策です。
なお、フランス食品振興会(ソペクサ)では食前酒(アペリティフ)を広めるために6月第1木曜をアペリティフの日と定め、この日に各地でイベント開いています。
これを機会に、食事をさらに美味しくする魔法「アペリティフ」のこと、少し考えてみませんか?
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