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連載コラム ビバ!!ベバレッジ
人間は水を口にしないと数日しか生命を維持できません。何でも体の70%以上が水分だとか・・・・それはさておいても、おいしい料理には、おいしい飲み物をあわせたいものです。もちろん食事中だけではなく、寒い日には一杯のコーヒーで体を温め、夜の静寂にもの思う時はブランデーをチビリチビリ。はたまた友人との愉しい会話を盛り上げる生ビール。夫婦で想い出話をする時のダージリンティー・・・・さまざまな場面で皆さんの傍らに、さりげなく登場するのはどんな『飲みもの』でしょうか。このコラムではそんな『飲みもの』の素顔にスポットを当てていきます。決してミズ臭い話ではありません。 チャんと読んでください。
料理と水の相性を知ろう
前回、ミネラルウォーターの説明の中で、水の硬度について少し触れましたが、今回は硬度について、さらにくわしくお話しましょう。
水には、マグネシウム、カリウム、カルシウム、リン、鉄、ナトリウムなどのミネラルが溶け込んでいます。この中で、水1リットルに溶け込んでいるカルシウムとマグネシウムの量を表したものが硬度です。具体的には、1リットル中のカルシウムの含有量を2.5倍、マグネシウムの含有量を4.1倍し、その2つを足した数値(カルシウムとマグネシウムの量を炭酸カルシウムに換算した数値)で表します。その硬度に基づいて、WHO(世界保健機構)では以下のように分類しています。

(1)軟水 0〜 60mg/
(2)中程度の軟水 60〜120mg/
(3)硬水 120〜180mg/
(4)非常な硬水 180mg/


日本では硬度100か120を真ん中として上を硬水、下を軟水と大まかに分ける場合が多いようです。また、100〜200ぐらいを中硬水として区別することもあります。
ちなみに、水道水の硬度は、土地によって異なりますが、基準値は300以下(目標値は30〜100)と決められています。つまり水道水がミネラルウォーターよりも硬度が高い場合もあるのです。
ミネラルの溶け込んでいる量が多い水(硬水)と少ない水(軟水)の特徴は、


●軟水・・・ クセがなく、まろやか。刺激が少ないため、赤ちゃんに負担をかけず、ミルクにも適当です。
●硬水・・・ 硬度が高いと苦みや渋みを感じますが、ミネラル不足を補うのに役立ちます。

それでは、料理を作るときは、軟水と硬水のどちらが向いているのでしょう?実はそれは、料理によって異なります。水に含まれるミネラル(特にカルシウム)は他のものと結合しやすい性質を持っており、これが料理に影響を与えているようです。

  軟水 硬水
お米 ご飯 洗米時が重要です。米がよく水を吸い、ふっくらと炊き上がります。 × カルシウムが米の表面に付着し、カルシウムの膜を作るので吸水を妨げます。
だし 昆布
(和)
昆布のうまみがよく抽出されます。 × カルシウムが昆布の表面に付着し、だしに昆布のうまみが抽出されません。
カルシウムが昆布の成分と結合し、アクになり、だしがにごります。

(洋)
× アクが出にくく、にごったスープになりがちです。
野菜の味がよく出ます。
カルシウムが血や肉の臭み成分と結合し、アクとなって出ます。
煮込み 野菜 やわらかく煮ることが出来ます。 歯ごたえが残ります。
肉から味は出てしまいますが、軟らかく煮ることが出来ます。 アクがよく出、肉にうまみを封じ込めます。ただし、硬度が高すぎると肉が硬くなります。
パスタ     カルシウムとでんぷんが結合し、麺にコシが出ます。
豆腐   水の違いが味に大きく影響します。 × マグネシウムが豆腐を硬くします。

この表を見ると、土地と水、料理の密接な関係がうかがえます。もともとヨーロッパの水は日本の水よりも硬度が高いことを考えると、日本の料理には日本の水が、ヨーロッパの料理にはヨーロッパの水が適していると言えるでしょう。ヨーロッパと日本で同じ料理を作っても味が異なるのは、水の違いも理由の一つなのです。
こういったことを踏まえ、フランス料理やイタリア料理のレストランでは、ミネラル分の多い水に加水し、硬度を調整して料理に用いているところもあります。

ところで、関東と関西の「だし」にずいぶん違いがあるのをご存知ですか?関西では江戸時代、西廻り航路(日本海航路)により北海道からの昆布が入荷しやすく、昆布だしが発達しました。これに対して関東(江戸)では魚(鰹節)を多く使うだしが発達しました。このだしの原料の違いには、物流のほかに、西と東の水の性質の違いが大きく影響しています。関西の水は軟水なので、昆布の味をしっかりと抽出することができます。これに対して関東ローム層がある関東(江戸)の水はやや硬水で、昆布のうまみが抽出されにくいので、魚を多く使うようになりました。関東のだしは魚の風味が強く、それを和らげるために、風味の強い濃い口しょうゆが多く使われるようになったのではないでしょうか。

【実験3】
軟水と硬水の違い〜ウィスキー
いろいろな硬度の水
硬水と軟水によってウィスキーの味はどう変わるのでしょう?スコッチモルトウィスキーにはモルトの香りが引き立つ軟水、ブレンデッドスコッチウィスキーには産地と同じである中硬水、国産ウィスキーには軟水がよいといわれています。
今回はいろいろな硬度の水で国産のウィスキー「サントリーウィスキー白州」の水割りを作り、味の違いを確かめてみました。また、ウィスキーの仕込み水と同じ水で水割りを作るとどのように感じるのか、白州と水源が同じ水で試してみました。
(水割りは全て、ウィスキー2.5:常温の水1の割合で作りました)


(1) アイスエイジ(軟水 硬度1.173)
非常に硬度の低いアイスエイジを使用すると、シンプルでさわやかな香りが出ます。まろやかで、雑味のないあっさりとした味わいです。
(2) ボルヴィック(軟水 硬度60)
一般に流通しており、飲みやすいボルヴィックです。複雑で甘みのあるスモーキーな香りが出ます。味にも甘みが感じられます。味わいは複雑ですが、バランスよく感じます。
(3) バルヴェール(硬水 硬度177)
硬水のバルヴェールを使用すると、ハマキのような甘く魅力的な香りが強く出ます。甘みや複雑さが強調され、個々の要素が際立つ印象です。
(4) 天然水 南アルプス(軟水 硬度30.4)
今回試飲しているウィスキーはこの水と同じ水源から作られています。少し複雑で甘い香り、スモーキーな香りが出ます。適度な甘みと複雑さがあり、まろやかさや、バランスの取れた一体感を強く感じます。やはり微量な成分までまったく同じ水だからでしょうか?

この実験から、水の硬度の違いによってウィスキーの味や、風味の強さが変わることが実感できました。水の硬度が低いと、ウィスキーの味わいがあまり引き出されず、あっさりとしたシンプルな味に、硬度がやや高い水では、ウィスキーの味わいが強く出て、風味や複雑さが増します。
硬度が1000以上の水でも試飲してみましたが、ウィスキーの複雑さや香りが抑えられ、逆にアルコールの強さが残り、ウィスキーの後に水を飲んでいるような、バラバラな印象を受けました。やはり水割りの大部分を構成する水の役割は大きいようです。
同じ実験をスコッチウィスキーとスコットランドの水でも試してみました。硬度は同程度の水でも、飲み比べてみるとバランスやまろやかさ、一体感などは格段にすばらしく感じました。

【実験4】
ダイエットにチャレンジ
コントレックス
ダイエットに向いているといわれる硬度の非常に高い水を飲み、体の変化を観察します。
コントレックス(硬度1551)をまず、1リットル飲んでみました。
・・・1時間後、腹痛に襲われることになりました。
私のように慣れていない者が硬度の高い水を大量に飲むと、おなかを壊してしまいます。これは、水分を大量に取ったため、腸壁が便から水分を吸収する量が減り、便が柔らかくなるのに加え、ミネラル分などが腸を刺激して排便が促されるためです。それによって、体内の老廃物が外に出て、新陳代謝が促進されるので、やせることにつながるのだそうです。また、ダイエット中にノンカロリーでミネラル分を補足できるというメリットもあります。

調べてみたところ、ミネラルウォーターのミネラル分を有効に吸収するには、コップ1杯ほどの量を何度にも分けて飲むのが効果的のようです。また、運動後やお風呂上り、就寝前、起床直後などに飲むと吸収がよいようです。運動やお風呂上りは体が水分を欲しているので当然といえますが、寝る前に飲むことによって長時間トイレに行くことがなく、水溶性のミネラル(尿として排出されやすい)をゆっくりと体に吸収させることが出来ます。起床時は睡眠中に失った水分(就寝中の汗の量は結構多いのです)の補給と失った水分により高くなった血液濃度を下げるためにも効果的なようです。




【豆知識】

◇ミネラルウォーターの紹介2

2回目は硬度別にいくつかの水を紹介します。( 硬度別のミネラルウォーター)




軟水
(1) アイスエイジ(ICE AGE)
  カナダ西北部トーバー湾を源泉とする天然氷河水。トーバー湾は西海岸のバンクーバーの北方320kmに位置します。氷河の中でろ過された硬度の非常に低い水で、硬度1.173の軟水です。
(2) 日田天領水
  採水地は大分県西部の日田市、阿蘇山近くの日田盆地で、三隈川の中州の深い地層から汲み上げられます。天然活性水素を多く含む、硬度31.5の軟水です。
(3) 天然水 南アルプス
  採水地は山梨県北杜市白州町、甲斐駒ケ岳のふもとに位置します。サントリーのウィスキー『白州』の仕込み水と同じ水源です。硬度30.4の軟水です。

中程度の軟水
(4) パンナ(PANNA)
  採水地は、イタリア中部のトスカーナ州、フィレンツェ近郊のスカルペリア村です。村はアペニン山脈の丘陵地帯にあり、周囲は自然保護地域です。硬度108.4、中程度の軟水です。

硬水
(5) バルヴェール(VALVERT)
  ベルギー南部のアルデンヌ地方、フランス国境の近くにあるエタールの森が水源です。硬度177の硬水です。バルヴェールとは「緑の谷」という意味です。
(6) ロケッタ(ROCCHETTA)
  採水地は、イタリア中南部で唯一海岸のないウンブリア州のグァルド・タディーノ。州都ペルージャの北東に位置します。硬度161の硬水です。歴代のミス・イタリアやスーパーモデルたちも愛飲し、別名「美しくなるための水」といわれます。

非常な硬水
(7) シャテルドン(CHATELDON)
  採水地は、フランス中央部のオーヴェルニュ地方、ピュイ=ド=ドーム県のシャテルドン。ヴィシーやボルヴィックとも近い場所にあります。微炭酸で硬度1158の非常な硬水です。ルイ14世が主治医から献上され、ヴェルサイユでも愛飲されました。別名、「水のドンペリ」。
(8) クールマイヨール(COURMAYEUR)
  採水地は、イタリア北部、フランスと国境を接するアオスタ州のクールマイヨール村。アルプス山脈のモンブラン南斜面といったほうがなじみ深いでしょう。硬度1612の非常な硬水です。
(9) ヴィトロガッティ(Vitorogatti)
  採水地は、イタリア南部、ナポリのあるカンパーニャ州のサレルノ市に位置します。硬度1677の非常な硬水で、二酸化炭素を含む微発泡水です。「テーブルウォーターの女王」ともいわれます。

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