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【日本料理一年生】 52時間目 はりはり
2015年01月07日

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<【日本料理一年生】ってどんなコラム?>

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●はりはり●

 「大阪産(おおさかもん)グルメ」第三弾は、料理界の歴史遺産になりつつある「はりはり鍋」です。本来は、冬場の霜が降りるころにおいしい水菜と鯨をだしの利いた煮汁でさっと煮て作る料理で、水菜の「パリパリ」という食感からこの名前がついたとされます。
 私が子供の頃は、一般に肉といえば、「鯨肉」で、学校給食にもカレーシチューという献立に鯨肉のミンチが入っていました。お惣菜の関東炊(かんとだ)き(おでん)には、鯨の皮の部分から鯨油を抜いたコロを、湯や水に浸して戻し、コクを加えるために入れていました。私は辻調理師専門学校に入学して、フランス料理の授業で「キッシュ・ロレーヌ」で豚のベーコンが材料として出てくるまで、ベーコンというものは鯨でできているものとばかり思っておりました。
 日本では庶民の食べ物だった「鯨肉」ですが、鯨肉を食する文化のない国の動物愛護団体から「捕鯨は、動物愛護に反する。」という声が揚がり、多くの国が賛成したため、今では調査捕鯨も禁止になるのではといわれます。捕れないと当然値段も上がり、100gを10000円で販売している店も出ています。

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 さて、我々ホームページの担当者は、毎年ミーティングを行って内容を決めます。今年の「日本料理一年生」は、辻調理師専門学校の地元である大阪発祥の料理を紹介することとなり、バッテラ、夫婦善哉、はりはり鍋、けつねうろん(少し訛っています)と決まりましたが「はりはり鍋」に関しては、鯨の代わりに何を使えばよいか悩んでいました。このままでは、大阪の伝統食「はりはり鍋」を我々庶民は食べられなくなります。鯨の代わりを探していると、2014年3月8日(土)の朝日新聞、夕刊のコラム「関西食百景」に、「アヒルの血統 生でOK極上」という見出しがあり、私の目は釘付けになりました。
 かつて太閤さん(豊臣秀吉)が合鴨飼育を奨励し、大阪平野では盛んでした。「河内鴨」を使った「はりはり鍋」を「大阪産(おおさかもん)のはりはり鍋」としてはどうでしょう。私からの提案です。
 新聞を見た翌週、本校の教材担当部署に「河内鴨」について訊ねると、新聞に掲載された「ツムラ本店」とは取り引きがあると分かったので、今回の「はりはり鍋」は「河内鴨」を使うことにしました。早速、「ツムラ本店」にお電話し、朝日新聞の記事を読んだ旨を伝え、お話を伺いました。以下、お伺いしたお話をまとめます。
 創業約140年「ツムラ本店」のご主人のおじいさんたちは、地元に根付いた合鴨「大阪アヒル」を育てていらっしゃいました。天然の鴨よりくせが少なく、軟らかかったようです。「合鴨」という言葉もこの方たちが作られたとか。そもそも、真鴨を繰り返し交配して家禽化したものが「あひる」なので、鴨肉用として飼育されているのはすべて「あひる」です。昭和20年ころ、泥の田んぼで育てているあひるを、業者の間では「泥田びる」、略して「どたびる」とか「ひる」と呼んでいたようですが、あまりキレイな呼び名ではないので、「あひるがも」となり、略して「あひがも」、さらに「あいがも(合鴨)」となったのだそうです。戦後、輸入鴨肉との競争に負け、合鴨飼育業者は激減したようです。

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 今の「ツムラ本店」の河内鴨は、イギリス産合鴨チェリバレー種のヒナを独自の方法で育てたもので、1週間に1500羽ほどのヒナを孵化させます。生後、2~3週間で1万坪の広い敷地でストレスなく育てます。1羽当り0.6平方メートルの広さは一般的な飼育場の1.5倍で、通常より1か月長い75日飼育するそうです。胸肉(鴨ロース)は、時間をかけることで肉質が適度にしまり、ぐっと旨味が増して、味に深みが出てくるのだとか。コクを蓄えたつやつやの小豆色に育つそうです。
 与えるえさも、とうもろこし60%、大麦、小麦、醤油粕、小豆皮37%、魚粉3%。これは、ご主人が自分で食べながらたどり着いた飼料の配合で、醤油煎餅のような風味のえさが、肉を香ばしくするそうです。「ツムラ本店」の鴨ロースには、「河内鴨」という焼印が押されています。

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このコラムの担当者

タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
小谷良孝

辻調の御言持(みことも)ち
重松麻希

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はりはり

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