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【ラ・ミーア・マンマ!イターリア!!】とうもろこし粉を使ったお菓子"ザレーティ"

02<西洋>ラ・ミーア・マンマ!イターリア!!

2012.03.07

<【ラ・ミーア・マンマ!イターリア!!】ってどんなコラム?>

皆さんこんにちは。新年も1カ月が過ぎ、寒い寒いと思っていた冬も終わり、春の足音が聞こえてきそうですね。
今回は、季節はまだ早いですがとうもろこしにスポットを当ててみました。私の大好物の1つで、昔祖父が家の裏庭で育てていたとうもろこしを一緒に収穫した思い出があります。私の出身地北海道ではとうもろこしの事をトウキビと呼び、夏になると給食にも登場し、むしゃむしゃと夢中でかぶりついて食べた事を思い出します。

最近はプランターでとうもろこしを育てる事も可能だそうなので、もう少し暖かくなってきたらとうもろこし作りにチャレンジしてみようかとも思っています。


とうもろこしは南米を原産地とし、紀元前からあると言われているほど古い歴史を持つ穀物です。ヨーロッパには15世紀末にかの有名なコロンブスがアメリカからヨーロッパ大陸に持ち帰り伝えたところから始まると言われています。

北イタリアでとうもろこし栽培が盛んになった理由は、寒冷な気候の山間部でも十分に生育したためということもありますが、特に16世紀に起こった北イタリア小麦不足の際には救荒作物として重要な役割を果たしたとされ、多くの庶民にとって長らく大切な食糧とされてきました。

とうもろこし粉を使ったイタリア料理でもっとも有名なものはポレンタPolentaでしょう。とうもろこし粉をたっぷりの湯と少量の塩、油などで煮上げた食べ物です。

ポレンタの本来の意味は、「穀類や豆の粉を粥状に煮込んだもの」を意味する「プルテスPultes」(注1)というラテン語で、古代ローマ帝国時代に小麦などの穀物を粥状に煮た料理があり、それが元になったといわれています。16世紀以降北イタリアの広域でとうもろこし栽培が定着した後はこの粥状の食べ物を作るのにとうもろこし粉を使うことが一般化し、トウモロコシの粉を粥状にしたものをポレンタと呼ぶようになりました。イタリアで食事の際に出されるポレンタはとても素朴な味わいで、伝統料理には、これに濃厚な煮込み料理を添えたものが多いですが、さっぱりしたポレンタととても合います。

出来立ては粥状でとろりとした口当たりのポレンタは冷えると餅のように固まりますが、これをスライスし再度焼いた「焼きポレンタ」も香ばしく、出来立てとはまた違う美味しさがあります。

イタリアでは夏から秋にかけ、とうもろこしの収穫を祝って「ポレンタ祭り」なるものが、ピエモンテ州のビエッラ やラツィオ州のモンテフラーヴィオで開催されているそうです。ソーセージや、煮込み料理などと一緒に食べて飲んで楽しむという何ともうらやましいお祭りです。

ポレンタ粉

ポレンタ用のとうもろこし粉。黄色いものと白いものがあります

とうもろこしは缶詰やポレンタ用の粉などに加工され、この粉は日常食のポレンタを作るためだけでなく、お菓子の原料としても親しまれてきました。イタリア北部にはピエモンテ州のビスコッティ・メリガやロンバルディア州のスブリソローナなどを始め、とうもろこし粉を使った実に多様な郷土菓子があります。素朴で優しい味わいのものが多いようです。

そういった素朴なとうもろこし粉を使ったお菓子の1つが、このザレーティZaleti。(注2)イタリア北部のヴェネト州をはじめ、北部から中部の一部までの広域で作られているお菓子です。生地を作る際、水のほかにワインやグラッパ(注3)を使う場合もあるようです。

ザレーティと一緒に、おいしいネットで以前紹介したイタリアのお菓子(注4)も盛り付けてみました。普段のお茶菓子として楽しむほかにも綺麗にラッピングを施すとちょっとしたプレゼントにもぴったりだと思います。

イタリアのお菓子

左からカントゥッチ、ブルッティ・マ・ブオーニ、バーチ・ディ・ダーマ、そしてザレーティ

ザレーティには各家庭に昔から伝わる様々なレシピがあり、レーズンや松の実を入れるレシピが多いようですが、今回はレーズンとピスタチオナッツを入れてみました。が、他にもフルーツの砂糖漬けやアーモンドなどのナッツ類を入れたり、お酒をラム酒などに変えても美味しくできると思います。いろいろ試して自分だけのザレーティを見つけてみてはいかがでしょうか。

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注1 通常はプルスpuls(プルテスはプルスの複数形) と表記されることもあります。

注2 ZaletiはGialletti (小さくて黄色い〔菓子〕)が語源になっています。Zaleti, Zaletti, Zaetiなど呼称は地域によって様々あります。

注3 ワインを作った後のぶどうから作った蒸留酒でアルコール度数が高く、レストランでは食後酒として提供されることもあります。

注4 ブルッティ・マ・ブオーニ、バーチ・ディ・ダーマは2006年11月22日公開「まんまネーミングなお菓子たち」を、カントゥッチは2006年9月28日公開「魅惑のイタリア菓子」をご参照下さい。

担当者情報

このコラムの担当者

茂木 紫穂子

このコラムのレシピ

ザレーティ

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